東京事変の“名探偵コナン”への愛。『永遠の不在証明』での遊び心と様式美がたまらない

カルチャーライターの曽我美なつめと申します。
アニメやマンガを愛するガチオタクである一方で、これまで約10年ミュージシャンとしても活動し続けるかたわら、現在は音楽ライターとしても活動している私。そんな私が音楽オタク&アニメオタクの両側面からご紹介していきたいと思います。

今回は現在絶賛上映中の映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』主題歌である東京事変『永遠の不在証明をピックアップ致しましょう。

東京事変 - 永遠の不在証明

鳥肌が立つほど…コナンの映像に緊迫感が増す

劇場版『名探偵コナン』シリーズの通算24作目『緋色の弾丸』。今作ではお馴染みのコナン一行と、物語のキーパーソンの一人であるFBI捜査官・赤井秀一を始めとした「赤井ファミリー」の活躍が描かれています。

本来であれば2020年4月に公開予定のはずが、今なお世界を覆う新型コロナウイルスの影響により公開延期を余儀なくされた本作。日を改めちょうどほぼ1年後となった2021年4月に満を持して上映が始まり、現在も連日多くの人々が劇場に足を運んでいるそう。

実は今回これに伴い劇場版予告ムービーも、2021年版へとバージョンアップしたものが上映前に新たに公開されていました。

劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』新予告【2021年4月16日(金)公開】

2020年公開版に比べ、今回の映像はより東京事変の主題歌にフォーカスされたものに。公開延期を逆手に取った緊張感のある演出や、『緋色の弾丸』ならではの「RELOAD=再装填」と銘打ったタイトル。これらを盛り込み、映画本編の緊迫感や迫力をさらに増した映像ともなっています。

余談ですが筆者自身もこの予告を劇場の大画面で見る機会があり、その迫力に思わず全身に鳥肌が立ちました。決して熱心なコナンファンではない私ですら、大きな衝撃を受けたこの映像。それを見たファンの皆さんの感動は、筆舌に尽くし難いものだったことでしょう。

散りばめれた、東京事変の遊び心や様式美

また今回、この劇場版制作に伴って描き下ろされた東京事変の主題歌『永遠の不在証明』。
楽曲の歌詞は東京事変のオフィシャルサイトでも公開されており、公開当初はその内容が一部コナンファンの間でも大きな話題となっていましたね。

サイトに公開された歌詞は、形式としては非常に珍しい縦書き。ですが実は東京事変ファンからしてみれば、この形はさほど珍しいものではありません。

これまでリリースした音源でも彼らが歌詞の縦書きスタイルを取る事は多く、あわせてここまで字数をきっちり揃え見た目にも美しいレイアウトとする所まで、ある意味東京事変というバンド恒例の「遊び心」や「様式美」だったりもします。

ですが今回この『永遠の不在証明』の歌詞が縦書きで掲載されたことで、この曲に非常に面白い深読みの余地が生まれました。

それが多くのコナンファンも目にしたであろう、「歌詞を右から読むとコナンの心情、左から読むと赤井の心情を表している説」です。

以前本メディアでも掲載されたこの説(※)についてはコナンファン、もっと言えば赤井秀一ファンにとっては常識の「彼が左利き」である事実も、より強力な裏付けとなっているようですね。
またその他にも『緋色の弾丸』や『名探偵コナン』という作品に纏わるワードが、曲中に多数散りばめられています

(※)深すぎる…!劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』東京事変の歌詞がすごい。ある考察にファン騒然
https://numan.tokyo/column/CgO4m

なかでも主人公のコナンや、今作のメイン人物・赤井秀一。あるいは彼と肩を並べる人気キャラの安室透や、物語のキーパーソンの一人・灰原哀。
彼らに通ずる、「複数の顔を持ち、全てを人に明かせない苦しみや葛藤の中で、それぞれ抱える謎と真実に向き合っている」という一面。

それが非常に東京事変らしい、椎名林檎さんらしい豊かな表現で歌詞に現れている。それこそが、この曲が大勢のコナンファンに熱い支持を受ける要因のひとつでもあるのでしょう。

東京事変の『名探偵コナン』リスペクト

事実、東京事変は主題歌の担当決定にあたって、非常に強い『名探偵コナン』への愛とリスペクトを持って制作に挑んだ模様。
彼らの制作への意気込みは、当時発表された以下のコメントからもうかがい知る事ができます。

“この度は名探偵コナンの新作『緋色の弾丸』主題歌をご注文くださり、ありがとうございます。最早クラシックと呼ばせていただくべき大人気シリーズの映画ですし、同時にこのような暗躍モノこそ、我々東京事変の十八番です。恐縮しつつも、今作本編の余韻という火種に、油を注いで着火するような一曲をご用意致しました。ぜひ劇場へお運びくださいませ。東京事変2O2O”(出典:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』公式サイトより)

東京事変 - 「永遠の不在証明」スペシャルスポット・ムービー

さらに劇場版公開直前、実は東京事変のオフィシャルYouTubeチャンネルではこんな動画も公開されています。

永遠の不在証明』スペシャルスポット・ムービーと題されたこの作品。映像内では東京事変のメンバーが、まるでコナン映画に出演しているかのようなユニークなアニメムービーが展開されています。

世良真純のように颯爽とバイクに跨り、あるいはコナンのようにキックボードを乗りこなすボーカル・椎名林檎さん。羽田秀吉を彷彿とさせる衣装のキーボード・伊澤一葉さんに、赤井秀一の如きスナイパーとして描かれたギター・浮雲さん

ドラム・刄田綴色さんが蹴りを食らわせるシーンも予告動画のオマージュとなっており、ベース・亀田誠治さんのコナンを思わせる風貌に思わずくすりとした事変ファンも多い様子。

東京事変×名探偵コナンの、遊び心満載な唯一無二の世界観が楽しめるこちらの映像。バンドと作品どちらのファンにも、ぜひ見て頂きたいスペシャルムービーともなっています。

ぜひ劇場版を見た方もそうでない方も、あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。

(執筆:曽我美なつめ)

東京事変プロフィール

2004年、椎名林檎が東京事変の活動を表明。 フジロックフェスティバルに初参戦、ホワイトステージのヘッドライナーを務め、入場規制がかかるほどの衆目を集める。
デビューシングル「群青日和」、1stアルバム『教育』をリリース。 05年、伊澤一葉(Key.)と浮雲(G.)が参加、現メンバーが揃い制作した2ndアルバム『大人(アダルト)』がチャート第一位を獲得。 06年、08年には複数のアーティストを招いてのイベント「SOCIETY OF THE CITIZENS」を主宰した。 07年3rdアルバム『娯楽(バラエティ)』、10年4thアルバム『スポーツ』、11年5thアルバム『大発見』とテレビのチャンネル名を冠したオリジナルアルバムをリリース。
2012年1月解散を発表。 メンバー全員が夫々作詞作曲した楽曲を持ち寄ったラストアルバム『color bars』リリース。 2月に「東京事変live tour 2012 Domestique Bon Voyage」を開催、2月29日の日本武道館公演をもって活動を終了する。
公式サイトより引用)
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numan編集部

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