『ゴールデンカムイ』杉元と尾形が抱える深い“闇”。二人に影響するアシリパの存在とは…

一方、凄腕スナイパーの尾形百之助は、作中でもっとも「しゃれにならない闇深さ」という声も。
その要因は家族にありました。第七師団の元師団長である花沢中将と、その妾であった母親、そして本妻の息子・勇作の存在です。

花沢中将が会いにこないことに心を病み、毎日彼が好きな料理を作っていた母。尾形はそれをやめさせようと鳥を撃ち落としては持ち帰っていましたが、最後は「お葬式に花沢中将が来れば母も会える」と母を手にかけてしまいます。

その後、尾形の心に波風をたてたのが軍で出会った勇作です。尾形は純粋に自分を慕う勇作の性格に、これが両親に祝福されて生まれた子どもなのだと納得。しかも、勇作は戦争で人を殺さない“旗手”という高潔な役割でした。

誰より尾形に向き合った勇作。しかし、戦争で人を殺しても何も思わないと言った尾形を「罪悪感を感じない人間がいて良いはずがない」と抱きしめたとき、それが引き金になったかのように尾形に殺されてしまうのです。
尾形は殺した動機を、勇作が戦死したと聞いたらあなたが自分を想うようになるか確かめたかった、と花沢中将に語ります。
尾形は冗談を言って笑ったり、アシリパの恋心に杉元より気づいていたり、決して感情が皆無のサイボーグのような人間ではありません。
ただ、全く自分を見ない母に何を訴えても無駄なので、悲しみなどの感情を抑える癖がついた可能性はあるでしょう。母を殺したのは、自分ができるのはそれしかなかったから。

また、花沢中将に「愛情のない両親が交わって出来る子どもは、何かが欠けた人間に育つのですかね」と問うたことから、人の持っているものが自分は“欠けている”という自覚がありました。
大人になるにつれ、尾形の心には「罪悪感を感じない自分はおかしい」「他者と感情を共有できない」といった苦痛が育っていったのかもしれません。

今の自分を認めているなら、勇作の発言もスルーして殺したりもしないはず──しかし、自分を全否定する勇作の言葉が見事に突き刺さり、勇作を殺したら罪悪感を感じられるか? 半分は望む気持ちで試したのではないでしょうか。

殺害のタイミングからすると、尾形が花沢中将に語った“花沢中将が自分を想うか確かめたかった”という動機は後付けで、父の愛情を引き出そうとしたという印象も受けます。

二人に影響するアシリパの存在。尾形を殺すのは杉元か?

21 件
  

この記事のタグ

Comment

コメントはまだありません

編集者一覧

  • 小日向ハル
  • 二階堂宗一郎
  • 結城まひろ
  • 佐伯圭介
  • 白鳥雅
  • 乙女企画とは