『ONE PIECE』ジョイボーイ、実在の本にヒントが?解放のドラムやビンクスの酒も伏線なのか?【第1043話考察②】

週刊少年ジャンプ15号に掲載された『ONE PIECE』第1043話“一緒に死のうよ!!!”​では、象主(ズニーシャ)の「ジョイボーイが…!! 帰って来た!!!」という宣言と、“にかっ!”と笑うルフィの口元が映し出される衝撃のラストが読者を震撼させました。

ルフィ=ジョイボーイの図が確定しつつあり、読者の考察も白熱する中、ジョイボーイのモデルと見られる人物が描かれた実在の本が話題になっています。その人物は、“太陽の神ニカ”にもよく似ているのだそう。 
さらに、空島の宴シーンと「ビンクスの酒」にもヒントが……!

※記事の性質上、本編の内容に触れています。

DVD『ONE PIECE Eternal Log “...

DVD『ONE PIECE Eternal Log “SKYPIEA"』画像

via DVD『ONE PIECE Eternal Log “SKYPIEA"』より
まずは“ジョイボーイ”の基本情報を再度確認しておきましょう。

・空白の100年に実在した人物
・魚人島の人魚姫との約束を守れなかったことを謝罪するポーネグリフを残した
・上記の約束を果たすため、ジョイボーイに代わって約束を果たしに来る者が現れるという言い伝えがある
・ジョイボーイが現れるまでにワノ国を開国しなければならない
・ラフテルに“とんでもねェ宝”を残した
・象主(ズニーシャ)の仲間

と、詳細な人物像は明かされずとも空白の100年やラフテルなど『ONE PIECE』の物語の核を担う超重要キャラであることが分かります。

カイドウもその存在を知っており、第1043話ではジョイボーイの帰還=ルフィがジョイボーイとして覚醒(?)したと考えられるような描写が読者をザワつかせました。

ジョイボーイの元ネタが話題に。ルフィ・太陽の神ニカとの共通点に鳥肌!

ネットでは考察や議論が飛び交うなかで、ジョイボーイの元ネタになったと思われる人物が描かれた本「想像と幻想の不思議な世界―エンサイクロペディア・ファンタジア」(著:マイケル・ページ、挿絵:ロバート・イングペン、 出版社:教育社)が話題にのぼり、注目を集めました。

世界中の古い民話や伝説、ファンタジーや神話、寓話に登場する妖怪や妖精、魔法の世界……などが辞典のような形で紹介されているこの本。ジョイボーイのモデルになったと思われる同名の人物が掲載されています。

本著によれば、ジョイボーイは「人間の抱えるあらゆる欠点や問題を絶えず笑い飛ばして、思わず引きずり込まれてしまうリズムで太鼓をたたきながら、人間の苦悩をいやし」、「ジョイボーイの音楽を聴いたものは、誰でもそれに合わせて踊ったり歌ったりせずにはいられないようになり、ついには、その肩から絶望という黒いマントを振り落としてしまう」のだそう。

どんなことも笑い飛ばしてしまう陽気さはまさにルフィを想起させるような人物像ですね。

DVD『ONE PIECE Eternal Log “...

DVD『ONE PIECE Eternal Log “ARABASTA"』

via DVD『ONE PIECE Eternal Log “ARABASTA"』
また、ジョイボーイは「歌い、踊り、歓呼の声をあげたいという人間の欲求を具現化した西インド諸島の人物」で、「寒冷地の祭礼に華を添える踊り子の神の親類」さらに、元々奴隷であったことも記載されています。
この点を合わせると、「人を笑わせ、苦悩から解放してくれる戦士」で、神の名をもつ伝説の存在、太陽の神ニカも近しく感じられます。
この本の情報は、巷で噂されるルフィ=ジョイボーイ=ニカの仮説を裏付ける一つの理由となりそうです。

自由を愛し、宴が大好きで、どんな時も明るいルフィの言動は本の中のジョイボーイのよう。
意図せずともアラバスタや空島、魚人島など、立ち寄った国々の奴隷同然の状況で苦しむ人々を結果的に救う形になっていたここまでのルフィたちの旅。それはまさに伝説のジョイボーイや太陽の神ニカの存在に通じているようにも思えますね。

DVD『ONE PIECE エピソード オブ 空島』初...

DVD『ONE PIECE エピソード オブ 空島』初回限定版

via DVD『ONE PIECE エピソード オブ 空島』初回限定版
実は今回紹介した「想像と幻想の不思議な世界―エンサイクロペディア・ファンタジア」では「お菓子の町」「巨人」といった題材も扱われているそう。尾田栄一郎先生が『ONE PIECE』の世界を創り出すのに着想を得るアイテムの一つとなっているようです。

現在はプレミアがつきなかなか入手しづらい状況ですが、緻密に練られた『ONE PIECE』の世界を紐解くヒントがたくさん眠っていそうです。

“解放のドラム”不思議なリズムも伏線?

前項で紹介したジョイボーイのモデルは「思わず引きずり込まれてしまうリズムで太鼓をたたきながら、人間の苦悩をいやす」とのことでしたが、800年ぶりに帰ってきたという『ONE PIECE』のジョイボーイも、「ドンドトット」と独特な“解放のドラム”の音を響かせていました。

この「ドンドトット」のリズム、実は空島でのキャンプファイヤーの宴シーンでも登場していたのです。
「黄金前夜祭」と宴に興じる麦わらの一味。楽しげな太鼓のリズムが「ドンドトット」と何度も鳴り響いています。

Blu-ray『ONE PIECE エピソード オブ ...

Blu-ray『ONE PIECE エピソード オブ 空島』通常版

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この空島のキャンプファイヤーのシーンといえば、ルフィのシルエットが太陽の神ニカと酷似していることが話題にのぼったことも記憶に新しい。

そして尾田栄一郎先生が「これは空島を始める前に一番描きたかったシーン」とも語っており、思い入れのある貴重な場面であることも伺えます。
また、エネル戦が終わった後の空島の宴でも「ドンドトット」のリズムが登場するのですが、その他の島や国で開かれた宴でこのリズムが登場したことはないのです。

空白の100年や太陽の神ニカとの繋がりも噂される空島で登場したリズムがジョイボーイの“解放のドラム”と同じだというのは、何か意図があると考えて良さそうですね。

名曲「ビンクスの酒」歌詞とリズムにも注目

そして“解放のドラム”でもう一つ注目したいのが『ONE PIECE』作中で生まれ、キャラソンとしてもファンの間で親しまれている名曲「ビンクスの酒」。

以前、この曲はラフテルへの旅やDの一族、空白の100年について歌ったものであるとの考察も紹介しましたが、歌詞には「嵐がきたぞ 千里の空に 波がおどるよ ドラムならせ」と“ドラム”のフレーズが……!

これは“嵐がきた”“波がおどる”といった表現が、“解放のドラム”にのせてやってくるジョイボーイをさす比喩だとも捉えられそう。
上記の通り「ビンクスの酒」がラフテルや空白の100年などについて歌われている曲なのであれば、ジョイボーイに関する歌詞が盛り込まれていても不思議ではありませんよね。

DVD『ONE PIECE Log Collectio...

DVD『ONE PIECE Log Collection “BROOK”』画像

via DVD『ONE PIECE Log Collection “BROOK”』より
また、実際に「ビンクスの酒」を聴いてみると、陽気な歌を支えている太鼓のリズムが常に「ドンドトット」と鳴っているようにも聴こえます。

キャラソン化する際に、原作で描かれた歌の意味がどこまで盛り込まれているかはわかりませんが、これも不思議な一致。
ぜひ今一度「ビンクスの酒」も聴きこんでみてはいかがでしょうか。

(執筆:まりも)

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