『トクサツガガガ』第1話に隠れオタから共感の声「大事なことは特撮が教えてくれた」

第一話が放送されるや否や、全方位のコダワリ女子に共感を呼んだNHKドラマ『トクサツガガガ』。

あまりにクオリティの高い“作中劇”としての特撮シーンも圧巻ながら、主人公の仲村叶のガチオタっぷりに「お前は俺か」と共感した方も多いのでは。

特撮オタクの仲村叶(小芝風花さん)は、商社に勤めるOL。彼女は、周囲に特オタであることを隠しながら生きています。このドラマでは、隠れオタであるがゆえに生まれる葛藤や、心の声(そしてときどきそれがモロに声や仕草に出てしまう様子)が描かれるのですが……これがもう、全オタク女子の胸に響きまくる“あるある”に満ちているのです。

『トクサツガガ』第二話の放送日。そこでおさらいも兼ねて、第一話で飛び出した”全力で同意せざるを得ない名言の数々”をご紹介したいと思います!

「大事なことはすべて特撮が教えてくれる」

叶の“推し”は『獅風怒闘ジュウショウワン』のリーダー、シシレオー。徹夜で『ジュウショウワン』を観てしまい疲れ果てていたにも関わらず、叶は通勤電車でお年寄りに席を譲ります。
その行動を見ていた同僚に絶賛され、「どうしたら仲村さんみたいになれるの?」と聞かれたときに心の中で叫んだひとことがこれ。

「特撮を見たらいいんだよ……! 大事なことはすべて特撮が教えてくれる!」

席を譲ることに躊躇した叶の脳内で「弱き者を見捨てていい理由にはならない」とシシレオーが叫び、行動に移すことができたのです。

ズルをしない、嘘をつかない、優しい大人になる……それはすべて、子どもの頃に(特撮から)学んだことだと。彼女の語りに同僚たちは感心しているけれど、叶にとっては「今の私があるのは特撮のおかげ」なのです。

特撮に限らず、オタク女子にとっては愛する作品や推しの存在は活力の源。「毎日を生きていけるのは推しのおかげ」という気持ちで日々を過ごしている人は多いはず。

「好きなものを悪く言われるのって、すごく怖いことなんだよ!」

男性の家にフィギュアがあってドン引きした……そんな人への偏見を語りながら「(好きなのもがあるなら隠れないで)堂々としたらいいのに」と話している社員の姿を見て、思わず休憩エリアに駆け込んだ叶。

「自分の好きなものを悪く言われたり、嫌われたりするのって、ものすごく怖いことなんだよ!」

もう「わかる、わかるよぉおぉ!」としか言いようがない!! 趣味をカミングアウトできないのって、無理解よりも「自分の好きなものを否定されること」への恐怖のほうが圧倒的に大きい。

「堂々としたらいいのに」と言う周囲の人々に対して、「(堂々と)したらしたで否定するくせに!」と思ってしまう気持ちもわかりますよね……。
叶が彼女たちに放った「好きな番組がゴルフで5年ぐらい中止になる呪い」はニチアサ特有ですけども。

「なんで特撮のグッズは主張が激しいんだよ……」

自分がオタクであること、作品のファンであることを誰かに気づいてもらいたい。その一方で、そうと気づかれるようなものを身に着けたり、オーラを出したりすることは絶対にダメ。そんな最大のジレンマとして掲げられたのは……。

「仲間は欲しいがオタバレしたくない、である」

隠れキリシタンに例えられてしまった隠れオタの心理。擬態すればするほど仲間には見つけてもらいにくくなり、わかりやすく十字架(オタグッズ)を掲げればオタバレの危険が増す……。

「なんで特撮のグッズはあんなに主張が激しいんだよ……」とうなだれるほど、オタクグッズはひとめでそうとわかりすぎて、気軽に身に着けられないという。そのあたりの苦悩まで、わかりみが深すぎます。

「私の金ぇ、何に使おうが私の自由やろがい!」

毎日お弁当を作るのは、節約して特撮の円盤を買うため。それを「女子力が高い」と同僚にからかわれた叶は、やりきれない気持ちに……。

「むしろ女は死! 女死力だ……!」

一方で叶は、推しのスイングを引き当てたいがために、1回300円のガチャガチャにお金を注ぎ込むときには「10回までなら売り上げに貢献したるわ!」「私の金ぇ、何に使おうが私の自由やろがい!」と思い切りの良さを見せるのです。

徹底された叶の”推しへの貢献”の姿勢には共感しかありません。円盤、グッズ、イベント……私のお金は推しのために使いたい。なんなら、今日働いてるのも推しのためですよね。

「特ソン以外に歌える歌がない……!

個人的に「それな~!!」と同意しまくってしまったのが、同僚たちとカラオケに行くことになった叶が顔面蒼白になるシーンです。ここでは彼女の心の声として、こんな嘆きが。

「どうしよう……私、特ソン以外に歌える歌がない……!」

”特ソン”を”アニソン””キャラソン”に置き換えてもいいかと思うのですが、これ本当にその通りすぎます。オタク同士のカラオケやヒトカラなら何時間でも歌えるけど、いま流行りの歌やバンドはこれっぽっちも知らない……という。

「自分の趣味ばかりで一般的なものをたしなまなかったツケ」とまで(幻覚のカラオケ怪人に)言われてしまって、叶は一体どうなるのか?

そんな絶体絶命のオタバレ危機を、叶は「参加者はみんなリアタイ世代、子どもの頃に観た懐かしの特ソン”エマージェイソンのテーマ”」を歌うことで脱します。その際に叶にアドバイスをくれたのは、特撮ヒーローの「エマージェイソン」なのですが……彼の”歌い方アドバイス”がまた的確すぎる!

「テンションはおさえ気味に歌う!」「英語と早口の部分は、難しくて歌えない感じで濁す!」「シャウトとセリフは歌わない!」「テレビサイズで流れない部分、ブリッジ部分は総じてスルーだ!」

せっかく好きな特ソンを歌うのだから、セリフから抑揚まで完コピして歌いたいのがオタクの心情。でもそこを敢えて抑えてオタバレを防ぐための”歌い方のコツ”をこれでもかと伝授してくれています。

第二話からも見逃せない!

「己の生活を守るため、正体を隠すのは悪ではない」……エマージェイソンのセリフは、叶だけでなく、すべての隠れオタを支えてくれる力強いエールだなあと思いました。「隠してるからって、推しへの愛が浅いわけじゃないんだよ~!」という隠れオタの心情を、叶が代弁してくれているような気もします。

また、作中劇である『獅風怒闘 ジュウショウワン』や、『救急機 エマージェイソン』などの特撮キャラの登場シーン、グッズや主題歌などのクオリティの高さ、声優の豪華さもオタクとしては見逃せないポイント。そういう点も含めて「オタクの心情を理解しすぎ」なリアリティが、『トクサツガガガ』の魅力といえるかも。

これからも職場では特オタであることを隠しつつ、同志を見つけオタ活に励んでいくであろう叶。その姿を、イチ「オタク仲間」として見守って行きましょう。

執筆:森本マリ

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numan編集部

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