金子大地、小越勇輝『腐女子、うっかりゲイに告る』第8話最終回 ゲイは病気なんかじゃない

NHKよるドラ『腐女子、うっかりゲイに告(こく)る』。

ゲイであることを隠して生活する高校生・安藤純(金子大地さん)と、腐女子である三浦紗枝(藤野涼子さん)2人が直面する葛藤や、周囲を巻き込んで築き上げられていく関係性が描かれます。

そして同じくゲイであるミスター・ファーレンハイト(声:小野賢章さん)。ネット上だけの友人でありながら、純が唯一すべてを打ち明けられる彼の言葉が、純の心と物語を動かしていきます。

そんな『腐女子、うっかりゲイに告(こく)る』も、今回で最終回。印象的なシーンとともに振り返っていきましょう!

第8話「Don't Stop Me Now」あらすじ

「彼からもらった『QUEEN II』を彼の墓に供えてくれ」--心の支えだった親友、Mr.ファーレンハイト(声・小野賢章さん)との最後の約束を果たすために、彼の自宅を紗枝と訪れた純。玄関先でファーレンハイトの母親(内田慈さん)と対面し「(同性愛が)治らなかったんですね」と言われた純は「治るとか治らないじゃない、ただそういうふうに生まれてきただけ」と、はっきり伝えます。

ファーレンハイト部屋で"ある秘密"を知った2人は、墓にCDを供えた後、海岸を訪れます。QUEENのボーカル、フレディが「男女の関係にはなれなかったけど、魂の深いところでつながっていた」という恋人のメアリーのために作った曲を一緒に聴きます。

そして改めて「大阪へ行く」「これまでと違う生き方ができるか試したい」と決意を語る純。紗枝はそんな純を「遠距離は無理」と振ることで、背中を押しました。

純の大阪行きを寂しがる亮平(小越勇輝さん)を通して、小野から「俺は『シアー・ハート・アタック』が一番好き」という伝言を受け取った純。実は小野もQUEENなのだと気づき「俺は『オペラ座の夜』が一番好き」と亮平に言付けます。亮平自身も純との友情をたしかめ、別れを惜しみつつも抱きついてはしゃぐのでした。

大阪へ行く前に、動物園でマコト(谷原章介さん)と最後のデートをする純。楽しい一日の最後に、マコトから若い頃の苦悩や結婚を決めた理由を聞かされます。

そして「この前聞かれた質問の答え」として、純と妻が溺れていたら「妻を助ける」と純に伝えるマコト。純はそのマコトの決断を「あなたがそういう人でよかった」と受け入れ、2人は別れます。

4月、大阪で大学へ通いはじめる純。母(安藤玉恵さん)も大学まで見送りに来ていました。
純の持っているQUEENのCDを聴いたことを話し「これからもっと純くんのこと知らなくちゃいけないから」という母に笑顔を返し、紗枝からの「がんばれ!!!」というメッセージに励まされ、純はついに新生活の扉を開きました。

ファーレンハイトとの別れ

ファーレンハイトの自室に入り、遺影を見た純と紗枝は絶句。ブログでは「20歳」と自称していたファーレンハイトですが、そこに映っていたのは、学生服に身を包んだ中学生でした。

ずっと彼の言葉に支えられ、憧れつづけてきた純は、激しく動揺。
「中二病かよ……!」思わず遺影を机に叩きつけそうになる純を、あわてて紗枝が制止しました。

ファーレンハイトに、悩みのすべてを打ち明け、精神的によりかかっていた純。その相手が自分より幼い少年であったことを知った衝撃は計り知れません……。

いまの自分なら、むしろファーレンハイトの悩みを受け止め、支えられたかもしれない。きっと純は、そう感じたのだと思います。観ているこちらでさえ、そう思います。

彼が年下だと分かっていれば、もっとかける言葉があったかもしれない、できることがあったかもしれないと……。「バカ野郎……」と涙をこぼした純の姿には、死を選んだ親友への腹立たしさと、悔しさが色濃くにじんでいました。

その後、海岸を訪れ、紗枝に“振られた”純は、ファーレンハイトの幻影に出会います。

制服姿で純の隣に腰かけ「振られちゃったね。本当に素敵な女性なのにね」というファーレンハイトの言葉に「うん、本当に」と同意する純。しかし、波打ち際ではしゃぐ紗枝に声をかけられると同時に、その幻影は立ち消えてしまいます。

誰もいない砂浜、たしかにそこに見えていたファーレンハイトに「バイバイ」と小さく告げる純。心の拠り所だったファーレンハイトとの「本当のお別れ」の瞬間は、切なくもまぶしいものでした。

「俺も純くんのこと大好きだ!」

純の大阪行きを惜しむ亮平は、純に「俺に恋してた時期はあるの?」とたずねます。その質問に「亮平のことは大好きだけど、付き合いたいと思ったことは一度もない」と答える純。

その答えを聞いて「今のマジ?」と問いただす亮平に、純は「亮平を恋愛対象として見たことはない」と念を推しますが「じゃなくて、俺のこと大好きってところ!」と亮平に返され、当たり前だと笑います。

その瞬間、満面の笑顔で喜び、純に飛びつく亮平。

「ありがとう。俺も純くんのこと大好きだ!」

紗枝をめぐる恋愛感情や、純が同性愛者であることがクラスで明るみになったときの一幕など、きっとこの数ヶ月は亮平にとって、純との関係を見つめ返す時間だったのだと思います。

純と亮平は幼なじみであり、親友でもあり……でもそれが、揺らいではいないか? 起こった出来事を通して、変わってしまっていないか? いつも明るく、強く、純と紗枝を支え続けてきた亮平ですが、心の奥底では不安だったのだということが、このやり取りでわかります。

そんな亮平の不安を払拭したのは、純が意識せずに言った「大好き」というシンプルなひとこと。きっと距離が離れても、2人の友情は変わらず続いていくだろうと感じさせてくれる、素敵なシーンでした。

「僕をちゃんと見てくれて、本当にありがとう」

引っ越しの前日、紗枝とともに「最優秀賞」を受賞した紗枝の絵を観に出かけた純。紗枝が何を描いたのか知らなかった純は「どんな絵描いたの?」とたずねますが、「見てのお楽しみ」と紗枝ははぐらかします。

そうして純が目にした絵は、最初に一緒にでかけた水族館で、泳ぐペンギンに手を伸ばす純の姿でした。

『恋に落ちて』という作品名を「はずかしいタイトル」と茶化す純に、「別れた彼氏の絵が展示されてる時点で死ぬほどはずかしいんだから今更」と開き直る紗枝。「ほかに感想は?」とたずねます。

純は、紗枝をまっすぐ見つめて「ありがとう」と言います。

(三浦さんと出会って、僕の人生は変わった--)
「僕をちゃんと見てくれて、本当にありがとう」

純の言葉を聞いた紗枝は目を輝かせ「『上手だね』より、ずっとうれしい」と言うのでした。

その後突然、紗枝が「なぜ同性愛者がこの世に生まれてくるか、答えが分かったかも」と言い出しました。その答えを聞きたいという純に、紗枝はこう言います。

「神様は腐女子なんじゃないかな?」

真剣な表情からだんだん苦笑いを浮かべる純。「なるほど。あきれるほど納得したよ。やっぱり三浦さんって面倒くさいね」という純の言葉に「口悪い!」と返し、笑う紗枝。

わかったふりをしたくない、お互いを知りたい、自分をもっと知ってほしい。そう願い続けた2人は、たくさんの苦しい時間を経て、望んだ場所にたどり着いたんだ、と感じました。

それは、普通の男女の関係ではないかもしれない。いわゆる恋愛感情でもないかもしれない。事実、2人は別れたし、この先「恋人」になることも、きっとないんだと思います。

それでも、人生のかたわらに、これからもずっとずっとお互いの存在があるはずです。

これからの純

苦しいときも辛いときも、もちろんうれしいときも。お互いがお互いを「ちゃんと見ていてくれる」人として、どんな言葉でもくくれない関係を築いた純と紗枝。作品を観始めたときは、正直に言って、こんなに美しい結末を迎えるとは予想もしていませんでした。

大学生活の第一歩を踏み出すときに「いってきます」と紗枝にメッセージを送る純、「がんばれ!!!」と励ます紗枝。たったひとことのやり取りの中に、どれほどの想いと意味がつまっているか、これまでの物語を見届けた身としては感極まる最終回でした。

新しい環境で生活をはじめたからといって、急に純の人生が簡単になるわけではないでしょう。それでも純には、紗枝という最強の味方がいて、亮平という無二の親友がいて、もっとあなたのことをわかりたいと言ってくれる母がいます。

これからの純はきっと、今までと違った考え方、生き方ができるはず。そんな予感を感じさせる、最後のシーン。晴れやかな純の笑顔が、とっても印象的でした。

執筆:森本マリ

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