【考察4】『おそ松さん』2期16話『となりのかわい子ちゃん』でトト子が泣いた理由――キンちゃんとは“誰”だったのか?

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“普通の女の子”とひと味違うトト子のキャラクター

トト子の涙の理由を考える前に、そもそも、トト子とはどんなキャラクターだったのかを思い出してみましょう。

まず、自分が大好き。自分のかわいさを自覚しているだけではなく、それを堂々とアピールします。 そして、裏表がなく、思っていることを率直に発言するタイプでもあります。1期8話『トト子の夢』で、アイドルを目指した理由の話題になった際は、

「私は有名になって、ただチヤホヤされたいだけ! SNSに自信のある画像上げてさ、カワイイ! って騒がれたいの。あとそれを同級生とかに見つかって、あなたより上の人生歩んでますアピールしたいのよ〜!」

とコメント。1期24話『トト子大あわて』では、結婚相談所に見放された後、チビ太のおでん屋で飲んだくれながら、

「だって周りと差をつけたいんだもん。みんなにいい人生だねって言われたい。てか、みんなはそういうプレッシャーないの? ぶっちゃけ私、チヤホヤされたくて息してるとこあるけどなぁ」

と愚痴をこぼしていました。

また、どんなに売れなくても魚のアイドルを続けているように、自分の好きなものはとことん貫く性格でもあります。同じく1期24話『トト子大あわて』では、婚活パーティーで熱心に石油王を探していたにもかかわらず、彼から魚臭さを指摘された途端、「そんなの言ったらそっちだって石油臭えじゃねえか! 魚バカにすんじゃねえ!」と激怒し、強烈なボディブローと回し蹴りをお見舞いしていました。

このように、いわゆる“普通の女の子”とはかけ離れた感覚を持っているトト子。多くの女性が周りの目を気にして包み隠そうとすることを平然と言い放ち、自分の信条を貫くトト子ちゃんは、毒のあるキャラクターでありながらも視聴者にカタルシスを与えてくれる存在でした。

キンちゃんとは“誰”だったのか

そんなトト子が『となりのかわい子ちゃん』で繰り返していたのが、「誰? キンちゃん誰?」というセリフ。冒頭、キンちゃんに手を振る6つ子を目撃するシーンや、6つ子とキンちゃんのデートを尾行するシーン、居酒屋でキンちゃんを紹介されるシーンで「誰? キンちゃん誰?」と連発。そして、最後キンちゃんに謝罪されたあとも、キンちゃんを既に知っているはずなのに、号泣しながら「誰!? キンちゃん誰〜!?」と叫び続けていました。

トト子は基本的に、自分より劣っている女性がまったく眼中に入らない性格です。1期24話『トト子大あわて』では、婚活パーティーで石油王を探していることを女性3人組からバカにされた際、ショックを受ける様子を微塵も見せることなく、「庶民ってなんであんなにブスなんだろう?」とポカンとしていました。この話では、トト子が”嫉妬”や”コンプレックス”という、他人を羨む感情にまつわる言葉を知らなかったことも明らかになっています。

2期6話『ともだちがほしいジョー』では、ハタ坊が友達を探しているという相談に、「ふーん、でもトト子も友達いないからなぁ」と返答し、驚くチビ太に、「敵しかいない!」と言いながら高らかに笑っていました。なかなか強烈な性格をしているトト子は、周囲の女性から悪感情を持たれてしまうことも多いのでしょう。しかし、「他人から嫌われたくない」という感覚はないらしく、思い悩んでいる様子は見られませんでした。

ちなみに、『トト子とにゃー』(2期8話・9話・12話)で見られるように、同じアイドルの橋本にゃーのことは敵視しているようです。これは、橋本にゃーが同じアイドルで、同じように顔がかわいく、同じように性格もキツめなのに、自分よりも売れているという、自身の上位互換的な存在だからかもしれません。

それでは、キンちゃんはいかがでしょうか。 6つ子とのデートを目撃したとき、トト子は当初「モテないみんなからすると、トト子はちょっとレベルが高すぎるんだよね。だからああやって庶民をターゲットに変えたと……」などと、いつもどおりのテンションで自分を鼓舞していました。ところが、キンちゃんの性格を知るうちに、トト子の表情はどんどん重くなっていきます。 それは、キンちゃんが“根っからのいい子”だったからです。トト子の「誰? キンちゃん誰?」という言葉は、彼女がそれまでトト子の世界に存在しなかったタイプの女性であることの現れとも考えられます。

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