アニメ『ハコヅメ』はドラマ好きにも勧めたい。原作ファンが感じた戸田恵梨香らの功績

2017年より『モーニング』にて連載中の泰三子による漫画『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』。

警察内では交番のことを「ハコ」と呼び、その「ハコ」で勤務する女性警察官の内情を描き出した作品です。
2021年には『ハコヅメ ~たたかう!交番女子~』としてテレビドラマ化もされました。
そして、2022年にはテレビアニメ化もされ、現在、もっとも注目すべき「警察漫画」だと言えるでしょう。

そんな『ハコヅメ』ですが、テレビドラマ版ようするに実写版で本作を知ったというファンが非常に多いのもまた事実。

ということで、本稿ではテレビドラマ版で本作にハマった人へ向けて、まだまだ知りたい『ハコヅメ ~交番女子たちの逆襲~』の魅力を紹介します。

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』17巻 (講談社)

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』17巻 (講談社)

via 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』17巻 (講談社)

元警察官!異色のマンガ家が描くリアルな事情

前述のように『ハコヅメ ~交番女子たちの逆襲~』は2017年より連載中の警察漫画です。
原作の泰三子先生は、元警察官という異色の経歴の持ち主で、自身が女性警察官時代に経験したことを作品に組み込んでいると言います。

もともと、目撃者の証言から犯人の似顔絵を作成する似顔絵捜査官としても活躍していたため、人の顔を描くのは得意だったという泰先生は、警察という仕事がどんなものなのか? 警察官はどんな生活を送っているのか? ということを伝えるために、10年務めた県警を辞め、漫画家に転身しました。​

警察を辞めて久しい現在でも警察官時代の身を守る癖などが抜けきっていないという泰先生は、異色の経歴の持ち主であるからこそ素顔は明かしていません。

すなわち『ハコヅメ』は、元警察官が描いた作品だからこそ、とてもリアルな警察の内情が描かれた作品と言えるわけです。

物語は、町山署の交番に勤務する新人警察官の川合麻依の視点から展開されていきます。
手っ取り早く公務員になるために警察官という職を選んだは良いものの、違反者だけでなく一般市民からも文句を言われる日々と想像を絶する激務に嫌気がさした川合。

辞表を提出しようと考えた彼女の前に、元刑事課のエースでしたが、後輩へのパワハラが原因で交番勤務となったという美人警察官・藤聖子がやってくることから幕を開け、2人のコンビが事件を解決したり、警察内部の恒例行事や暗黙のルールに直面していく様を描きます。

一見すると何ともコミカルなほんわか「日常系漫画」かと思われがちですが、意外にも生々しい犯罪の様子が描かれている部分が、最大の見どころと言えるでしょう。

例えば、痴漢などの性犯罪を描く場面では、女性警察官ならではの視点から、被害者、容疑者双方にどんな聴取が行われるのかというのを細かく描き切り、事件解決までの過程を丁寧に描き出している印象を大いに受けます。

こういった部分は、これまでの「警察漫画」にはなかった独特の視点のように思います。
容疑者たちが犯罪を犯すに至った背景なども浮き彫りにされており、彼らの表情の変化もしっかりと描写されています。
この辺りのタッチは流石の元似顔絵捜査官といったところではないでしょうか。

ドラマ版も大成功!戸田恵梨香に作者も驚く

そんな『ハコヅメ』は2021年に実写ドラマ化され、日本テレビ系の「水曜ドラマ」枠で放映されました。
漫画で描かれていた時点でリアルだったのですが、実写になり、よりリアルな描写が際立った内容になっていたと思います。

それでいて、本作特有の時折織り交ぜられる箸休め的なコメディ要素もしっかりと盛り込まれており、警察の内情をコミカルに映し出すことに成功したと言えるのではないでしょうか。

『ハコヅメ〜たたかう! 交番女子〜 DVD-BOX』画像

『ハコヅメ〜たたかう! 交番女子〜 DVD-BOX』画像

via 『ハコヅメ〜たたかう! 交番女子〜 DVD-BOX』より
さらにこの実写ドラマ化に当たって功を奏したのが、キャスティングでした。
主人公でショートカットの新人警察官の川合麻依役には永野芽郁さんが、美人先輩警察官の藤聖子役には戸田恵梨香さんという二人の人気女優を起用。

永野さんは川合の持つどこか天然な部分やおっちょこちょいな面を体現した素晴らしいコメディ演技を魅せ、戸田さんは凛とした女性像をしっかりと体現して魅せました。

特に戸田恵梨香さんに関しては原作の泰先生にとって感慨深いキャスティングでもありました。

似顔絵捜査官時代には俳優や女優を見ながら似顔絵の勉強をしていたという泰先生は、役柄によって表情が一変する戸田恵梨香さんのことをよく研究していたと言います。
ドラマ化に当たって戸田さんの名前が出た際には驚いたのだとか…!

筆者の印象としても、ドラマ版のキャストは原作の雰囲気を踏襲したキャスティングになっている印象を受けます。

ドラマ版にも負けないアニメ版の小気味良さ

そして2022年、『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』は、待望のアニメ化がされることになります。
ドラマ版が大ヒットした後だけに、期待と不安の両方がのしかかっていたかと思いますが、それに負けない出来の良さ。
アニメ版は原作の良さをより引き出した内容になっており、画面狭しと躍動する登場人物たちの姿が実に小気味よく描き出されている印象を受けます。

TVアニメ「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」PV第1弾【2022年1月放送開始!!】

そんな中で驚かされたのが、声優たちの演技です。
実力派が揃ったキャスティングで、コミカルなシーンではしっかり笑わせ、シリアスなシーンではグッと物語を締めてくれていました。

これはあくまでも筆者独自の感想ですが、若山詩音さん石川由依さんといった声優陣の演技がドラマ版キャストと似通っている点が多いのです。
これは、もしかしたらドラマ版の演技に寄せている可能性も高い!
そのため、ドラマ版から入ったファンも違和感なくスムーズに受け入れることができたでしょう。

特にドラマ版でも話題になった「地獄の合コン」が描かれるエピソードなんていうのは、似通っている部分が多数あり、見比べてみるとかなり面白いこと請け合いです。
それだけドラマ版の再現度が高かったのかもしれません…。

真実は定かではありませんが、そういった意味でも今回のアニメ版はドラマ版で『ハコヅメ』の虜になったファンたちにおススメしたい作品でもあるわけです。

TVアニメ「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」番宣CM【2022年1月5日(水)放送開始!】

アニメ版は一話で2つのエピソードが描かれる形で、非常に見やすい構成になっているのも魅力的です。
ドラマ要素とコメディ要素のバランスも良いため、手軽に楽しめる作品です。

ドラマ版しかまだ観たことがないという方々は、ぜひとも、原作やアニメ版の世界にも足を踏み入れてみてください。きっと『ハコヅメ』の新たな魅力に気づかされることでしょう。

(執筆:zash)

アニメ『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

Blu-ray BOX『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』上巻

Blu-ray BOX『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』上巻

via Blu-ray BOX『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』上巻
■イントロダクション
「警察官なんて、もう辞めてやる!」
公務員試験を片っ端から受けて、合格したのは警察官だけ。 考えつく限り、最も浅い理由で警察官になった川合麻依は後悔していた。 こんなに激務で嫌われ者だって知ってたら、 絶対に警察官になんてなってない!

辞表を握りしめて、第二の人生を歩むことを決意する川合のもとに、 新しい指導員としてやってきたのは、警察学校を主席で卒業し、 “ミス・パーフェクト”の異名を持つ元刑事課のエース・藤 聖子。
後輩へのパワハラが過ぎて、 刑事課から交番に異動してきたという藤の噂に怯える川合だったが、 さっそくペアとしてパトロールに向かうことに……。

新人警察官・川合と元刑事課のエース・藤の凸凹ペアを中心に、 個性豊かで魅力的な警察官たちが巻き起こす
笑って驚いて、ときどき涙しちゃうお仕事コメディが今、幕を開ける! 臨場せよ! これがリアル(?)で新しい交番女子の物語だ!

■スタッフ
原作:泰 三子(講談社「モーニング」連載)

監督:佐藤雄三
シリーズ構成:金月龍之介
キャラクターデザイン:土屋 圭
副監督:石田 暢
美術ボード:橋本和幸、横松紀彦

美術設定:杉山晋史
色彩設計:大野春恵
撮影監督:畑中宏伸
3D監督:田中康隆
編集:塚常真理子
音楽:信澤宣明
音響監督:小泉紀介
音響効果:山谷尚人
録音スタジオ:スタジオT&T
音響制作:マジックカプセル

制作プロデューサー:芦川真理子、豊田智紀

WEB hakozume-anime.com
Twitter @hakozume_anime

©泰三子・講談社/ハコヅメ製作委員会

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numan編集部

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