『機動戦士ガンダム00』舞台レポート|前山剛久「抱きしめたいな、ガンダム!」

ぶつかり合う信念と……コックピット!? これが"ガンダム"の舞台だ!

パトリック・コーラサワー:瀬戸祐介

パトリック・コーラサワー:瀬戸祐介

パトリック・コーラサワー役:瀬戸祐介さん
”ガンダム“というと戦闘モノ、ロボットアニメと捉えられがちですが、初代(ファースト)と呼ばれる『機動戦士ガンダム』 から常に描かれているのは、シビアな戦争の狭間で、もがきながらも生きる濃厚な人間ドラマ。
舞台版『ガンダム00』でも、約2時間30分という限られた時間の中で、様々な不条理に立ち向かうガンダムマイスターたちの姿が描かれています。

誰もがまず気になる"モビルスーツ戦闘"の演出方法は、役者が乗っている高さ2m以上に及ぶコックピット(ガンダムの操縦席)を模したシートが、アンサンブルたちの手によって縦横無尽に駆け巡るという手法をとっています。
このコックピット同士が衝突するような挑戦的な演出と、時に嘆き叫び、時に怒り吠えるキャストたちの感情溢れる演技によって、ステージは紛れもない“戦場”となるのです!!

またさらに注目すべき演出は、ビームサーベルの登場。
主人公の刹那・F・セイエイ(橋本祥平さん)と、ガンダムに執着するユニオン軍のグラハム・エーカー(前山剛久さん)の戦闘シーンでは、グラハムの愛機"フラッグ"で追い詰められた刹那が、ビームサーベルを抜刀し、切りかかります! 
その瞬間、光るビームサーベルと同じ色の照明が舞台上を鋭く横切り、観ている観客席も思わず「おおっ!」と声を上げそうになる大迫力です。

アニメでは、モビルスーツに乗っている時のキャラクターたちはヘルメットをかぶっており、さらにモニター越しに戦っているのでその表情はカットインの演出になりがちです。しかし、実際に俳優同士が刃を交え、その表情がよく見えるという舞台ならではの演出になったことで、刹那VSグラハムは勿論、因縁のある相手同士の戦闘が、一層熱く表現されています。

特に印象的だったのは、アレルヤ・ハプティズム(鮎川太陽さん)ソーマ・ピーリス(希代彩さん)の"超兵"対決! 
人為的に能力を高められた、いわゆる強化人間同士の戦いです。普段は大人しいアレルヤですが、別人格のハレルヤに意識をもっていかれ、戦闘も口調も荒々しいものに。
「てめぇも俺と同じだろ? 脳も身体もあちこちいじくりまわされた化け物だよなぁ!?」とコックピットから乗り出しピーリスの胸倉をつかむハレルヤ。負けじと睨み返すピーリスの鋭い瞳にも痺れるものがあります。

アレルヤ・ハプティズム:鮎川太陽

アレルヤ・ハプティズム:鮎川太陽

アレルヤ・ハプティズム役:鮎川太陽さん

吹きすさぶ名言の嵐! 印象的なシーンが続々と

刹那の「俺が、ガンダムだ!」を始め、歴代のガンダムシリーズ同様に名言が多い『ガンダム00』。

やはり『ガンダム00』で名言といえば、ガンダムに対してセンチメンタリズムな運命を感じている乙女座の男・グラハム・エーカーなしには語れません。優秀なパイロットではあるグラハムは、ガンダムに対して性能では劣る愛機"フラッグ"にて、ガンダムに打ち勝つことに執着します。
中でもやはり印象的だったのは、ロックオン・ストラトス(伊万里有さん)が操縦するガンダムデュナメスを追い詰めながらの「抱きしめたいな、ガンダム!」 ! しかも舞台ではコックピットを物理的に掴むのです(笑)。

ビリー・カタギリ:一内 侑、グラハム・エーカー:前山剛久

ビリー・カタギリ:一内 侑、グラハム・エーカー:前山剛久

(左)ビリー・カタギリ役:一内 侑さん、(右)グラハム・エーカー役:前山剛久さん
グラハムの印象が強すぎて見逃されがちですが、意外と名言が多いのが人革連のセルゲイ・スミルノフ(加藤靖久さん)。超兵であるピーリスを紹介され、「彼女はまだ乙女だ」と一言。ピーリスに"勝利の美酒"という言葉を教えたのもまたセルゲイです。

また、A.E.U.のエース、パトリック・コーラサワー(瀬戸祐介さん)は登場するなり、カティ・マネキン(平湯樹里さん)大佐に不遜な態度を注意され、ビンタされます! 「2度もぶった!」と初代のガンダムを思い出させる名言を発するコーラサワーですが、これ以降、彼はマネキン大佐にぞっこんになってしまうのでした。

セルゲイ・スミルノフ:加藤靖久、ソーマ・ピーリス:希代 彩

セルゲイ・スミルノフ:加藤靖久、ソーマ・ピーリス:希代 彩

(左)セルゲイ・スミルノフ役:加藤靖久さん、(右)ソーマ・ピーリス役:希代 彩さん
ティエリア・アーデ(永田聖一朗さん)

ティエリア・アーデ(永田聖一朗さん)

ティエリア・アーデ役:永田聖一朗さん
名シーンの再現も多く、ティエリア・アーデ(永田聖一朗さん)が自身の操縦するガンダムヴァーチェの真の姿、ガンダムナドレの姿が現れる瞬間は、プロジェクションマッピングも使用した大胆な演出に! 計画段階よりも前にナドレの姿を敵前に晒してしまったことに自己嫌悪するティエリアが「俺は……僕は……私は……。」と苦悩するシーンも再現されています。

人間ドラマにも注目! マイスターたちのそれぞれの過去とは

刹那・F・セイエイ:橋本祥平

刹那・F・セイエイ:橋本祥平

刹那・F・セイエイ役:橋本祥平さん
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(左)刹那・F・セイエイ役:橋本祥平さん、(右)ロックオン・ストラトス役:伊万里 有さん
刹那、ロックオン、アレルヤ、ティエリアといった4名のガンダムマイスターたちはもちろん、ガンダムが所属する武装組織ソレスタルビーイングのメンバーの物語も、舞台では掘り下げられています。

子供のころに、アリー・アル・サーシェス(窪寺昭さん)の洗脳により、自らの両親までも殺し、少年兵に仕立て上げられた刹那は、誰とも慣れ合えません。
同じガンダムマイスターのロックオンは、4人の兄貴分のような存在。刹那に自然と接していくうちに、彼らとの距離も縮まっていきます。
しかし、刹那は過去に、ロックオンの家族の生死に関わる戦闘に参加していたのでした。その事実を知り、苛まれる刹那。仇とも言える存在が目の前にいることを知ったロックオンもまた、苦悩します。

アレルヤは、別人格ハレルヤの凶暴さが己の本質なのではないかと悩み恐れます。
最も理知的にみえるティエリアさえ、量子コンピュータ“ヴェーダ”の指示に依存し、ヴェーダなしには自分の指針が決められません。
一流の戦士でありながらも、人間としてはそれぞれが未熟な部分を残すガンダムマイスターたち。

そんな彼らが、サーシェスの非道なやり口、暗躍するリボンズ・アルマーク(赤澤燈さん)を前に、仲間として互いを認め、共闘する過程も本作の大きな見どころといえるでしょう。

アリー・アル・サーシェス:窪寺 昭

アリー・アル・サーシェス:窪寺 昭

アリー・アル・サーシェス役:窪寺 昭さん
リボンズ・アルマーク:赤澤 燈

リボンズ・アルマーク:赤澤 燈

リボンズ・アルマーク役:赤澤 燈
ソレスタルビーイングのメンバーそれぞれの再現度も非常に高く、特にスメラギ・李・ノリエガ(立道梨緒奈さん)はプロポーションまで非常に原作に忠実でセクシー。
お酒好きでだらしのない女性かと思いきや、一流の戦術予報士というところがたまりません。そんな彼女ですが、作戦失敗で仲間を危険に晒してしまったことを悔やみ、「たまらないのよ、こういうのは……!」と1人こっそり激昂するシーンもは、胸が締めつけられるものがありました。
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左から、リヒテンダール・ツエーリ役:阿瀬川健太さん、フェルト・グレイス役:松村芽久未さん、スメラギ・李・ノリエガ役:立道梨緒奈さん、クリスティナ・シエラ役:小林未往さん、ラッセ・アイオン役:澤田拓郎さん

まとめ

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2.5次元舞台の可能性をさらに広げた今回の『ガンダム00』の舞台化。プロジェクションマッピング、音と光の演出を取り入れつつも、ぶつかり合う感情、重なり合うビームサーベルと、役者陣の熱い芝居と殺陣が、世界観を構築していました。今作を皮切りに演劇の世界に"武力介入"してきたガンダムシリーズ、今後の展開にも注目です!

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』は大千穐楽の大阪公演のライブビューイングが決定しています! こちらもぜひお見逃しなく!

執筆/通崎千穂(@tsu_otometsu
編集/白鳥雅(@numan_miyabi

■DATA

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』
日時・会場 【東京公演】
2019年2月15日(金)~2月18日(月)
日本青年館ホール

【大阪公演】
2019年2月23日(土)~2月24日(日)
森ノ宮ピロティホール

キャスト 刹那・F・セイエイ:橋本祥平
ロックオン・ストラトス:伊万里 有
アレルヤ・ハプティズム:鮎川太陽
ティエリア・アーデ:永田聖一朗

グラハム・エーカー:前山剛久
ビリー・カタギリ:一内 侑
スメラギ・李・ノリエガ:立道梨緒奈
フェルト・グレイス:松村芽久未
ラッセ・アイオン:澤田拓郎
リヒテンダール・ツエーリ:阿瀬川健太
クリスティナ・シエラ:小林未往
セルゲイ・スミルノフ:加藤靖久
ソーマ・ピーリス:希代 彩
カティ・マネキン:平湯樹里
パトリック・コーラサワー:瀬戸祐介
アリー・アル・サーシェス:窪寺 昭

リボンズ・アルマーク:赤澤 燈
ヨハン・トリニティ:坂垣怜次
ミハエル・トリニティ:船木政秀
ネーナ・トリニティ:伊藤優衣

原作 『機動戦士ガンダム00』(『機動戦士ガンダム』シリーズより)

脚本・演出 松崎史也

監修 水島精二

公式サイト http://www.gundam00.net/stage/
公式Twitter @stage_g00
企画 サンライズ

主催 バンダムライブエンタテインメント実行委員会

制作 Office ENDLESS
バンダイナムコライブクリエイティブ

Copyright ©創通・サンライズ

舞台版ストーリー

西暦2307年。
化石燃料は枯渇したが、人類はそれに代わる新たなエネルギーを手に入れていた。3本の巨大な軌道エレベーターと、
それに伴う大規模な太陽光発電システム。しかし、このシステムの恩恵を得られるのは、一部の大国とその同盟国だけだった。
3つの軌道エレベーターを所有する3つの超大国群。アメリカ合衆国を中心とした『ユニオン』。中国、ロシア、インドを中心とした『人類革新連盟』。ヨーロッパを中心とした『AEU』。各超大国群は己の威信と繁栄のため、大いなるゼロサム・ゲームを続ける。そう、24世紀になっても、人類は未だ一つになりきれずにいたのだ……。

そんな終わりのない戦いの世界で、「武力による戦争の根絶」を掲げる私設武装組織が現れる。モビルスーツ「ガンダム」を所有する彼らの名は、ソレスタルビーイング。
ガンダムによる全戦争行為への武力介入がはじまる。

Blu-ray&DVD情報

舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』Blu-ray&DVD
発売日:2019年7月26日

Blu-ray
品番:BCXE-1443/価格:8,800円(税抜)/260分予定(本編ディスク:約140分、特典ディスク:約120分)
本編ディスク:リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD50G/16:9<1080i High Definition>
特典ディスク:リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD50G/16:9<1080i High Definition>

DVD
品番:BCBE-4950/価格:7,800円(税抜)/260分予定(本編ディスク:約140分、特典ディスク:約120分)
本編ディスク:ドルビーデジタル(ステレオ)/片面2層/16:9(スクイーズ)/ビスタサイズ
特典ディスク:ドルビーデジタル(ステレオ)/片面2層/16:9(スクイーズ)/ビスタサイズ

Blu-ray&DVD共通特典
■特典ディスク(メイキング映像)
■ブックレット(16P予定)
■PV&CM

※収録内容、特典、仕様等は予告なく変更になる場合がございます。

発売・販売元:バンダイナムコアーツ

公式HP:http://www.gundam00.net/stage/
公式Twitter:@stage_g00

©創通・サンライズ

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numan編集部

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