古谷大和インタビュー|忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』月下丸の恋愛観は?

古谷大和インタビュー『百花百狼 ~戦国忍法帖~』月下丸...

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月下丸は“理想の男性像に近い人”

――まずは“忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~”へのご出演が決まった際の率直なお気持ちについてお話しいただけますか。

古谷大和(以下、古谷) 『百花百狼 ~戦国忍法帖~』は乙女ゲームということで、これまで乙女ゲームという、恋愛を軸とした作品の役を演じることがなかったので「また新しい世界に挑戦できるんだな」と。それがすごく嬉しかったですし、新しい世界を描ける気持ちにワクワクしたのを覚えています。  

僕がお話を頂いてから徐々に他のキャストが発表されていきましたが、本当に素晴らしい方々ばかりだなと思いました。初めて共演させていただく方が多いのですが、でも名前は知っているという方々ばかり。すごく心強く、月下丸としてお芝居をさせてもらえることが楽しみになりました。  

――今回演じられる月下丸について、どのようなキャラクターだと捉えていらっしゃいますか?

古谷 お恥ずかしながら原作を知らなかったので、まずゲームをプレイしました。月下丸のルートを終えて、率直に感じたのは理想の男性像に近い人だなと、思ったんです。というのは、月下丸はヒロインの槐(えんじゅ)様に一途で、真っ直ぐ自分の信じたことを貫いて、時には掟を破ることもある。それって男から見てもすごく格好良いなと思って。  

どんな現場でも、すべて思い通りになるとか、やりたいことを完璧にこなすことは、なかなか叶いません。月下丸は自分の信じたこと、大切なものを守るために真っ直ぐ進んでいくので、恋愛とはまた違った部分で男から見ても憧れというか、格好良い人だと思います。芯がある人というだけでなく、その芯を大事に守って、かつ実現させていく……。行動力や忠誠心がとても格好良いですし、理想の男の人だと思いながらプレイしました。

――男性から見ての“格好良さ”という部分もしっかり描かれた作品だと。

古谷 他のキャラクターも魅力的ですけど、月下丸はとくに忠誠心というか、とにかく一途で、何があっても……という部分がありますよね。葛藤とかよりも、まず忠誠心が一番というのが潔いし、それを貫く姿が格好良いと思います。  

――本作は戦国時代や忍びがモチーフとなっていますが、衣装を着てみていかがでしたか?

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古谷 原作のイラストレーターの悌太さんのデザインがとても素敵で、感動しながらゲームをやってました! すごく格好良く描かれていますから、これを着こなせるのかなと撮影の時にすごくドキドキしましたけど、素晴らしい衣装さんたちのおかげで見事に仕上げていただいています。  

僕のイメージだと忍びって、もっと見つからないようにとか、バレないような衣装という印象があったんですけど、今回『百花百狼 ~戦国忍法帖~』に登場するキャラクターは月下丸をはじめとして皆格好良いし、劇中のセリフにもありますけど「その格好で走ったら目に付く」というような格好で……思い描いていた忍びとは少し違うなというのはありました。  

でも忍びとしての和の部分を残しつつ、戦いやすさ、走りやすさ、動きやすさがきちんと残って格好良く仕上げていらっしゃって、素敵だなと思いました。

原作ファンも舞台好きも楽しめるような作品に

――本作は「悲恋」をテーマとした重厚な物語が特徴となっています。古谷さんが考える見どころは?

古谷 原作には月下丸ルートだけじゃなくて、色々なストーリーがありますよね。先ほども言ったとおり、僕は乙女ゲームの恋愛ものは初めてでとてもワクワクはしているんですけど、実際にゲームをプレイして、台本も読んで、僕が改めて感じたのは、愛の形って色々あるんだなと。  

今回は槐様と月下丸の男女の愛もあると思いますが、例えば黒雪と月下丸の兄弟愛もあるでしょうし、山倉猿之介と月下丸の友愛もあるし、親子の愛もある。愛の形ってさまざまだなと思う中で、そこを一つずつ見落とさずに演じたくて。ただ悲しいだけの愛を描くだけはなく、その中で生まれている愛を舞台で体現できるといいなと思います。  

その上で、槐様と月下丸との間に生まれていく、切ないけれど温まるような愛をちゃんと表現できたらなと。そこを表現するためには、やはり途中にある愛を大事にしないといけないと思います。  

――恋愛の作品は初めてご出演とのことですが、月下丸の恋愛観についてどのように思われますか?  

古谷 月下丸の愛は、現代で生活している人の多くはあまり体験できないような恋愛じゃないですか。従者と主という関係ですし。  
月下丸は主の槐様に恋をしてしまいますが、僕は必然に近いものだと思うんですよ。主って大切な人ですから、男女の愛とは違っていても、大切な人には愛が生まれると思うんです。だから月下丸が槐様に恋をしてしまうのは、とても自然なことのように感じました。  

シナリオの中では命懸けとなる場面も多くて、いつ命を失ってしまうかも分からない。それでも月下丸は槐様への愛から目を逸らさないというか……愛が生まれてしまう。この感覚は難しいけれど、きちんと考えて向き合わないといけないと思っています。僕だったら「恋愛をしている場合ではないのでは?」と思ってしまいそうで。  

敵と争って、死んでしまうかもしれない。そんな状況でただ1人の女性のことだけを考えていられるのか……。そういう意味で「何のために戦っているのか?」に落ち着いたところはあります。生死を賭けているのは槐様のためなのかなとか、稽古をしながら月下丸の気持ちに寄り添えるように。今すぐ共感は難しいかもしれませんが、僕ではなかなか体験できないような恋愛をしている月下丸の恋を、僕自身が「そうだね、それは好きになるよね」って納得して表現できるところまでいければいいなと思います。  

まだまだ100%納得するのは難しいですが、そこまでいけるように槐様と一緒に作り上げていきたいですね。僕の中の恋愛観と月下丸のもつ恋愛観は違うから、自分の恋愛観をいかに消して月下丸になれるかというのは大切にしなきゃと思っています。

――以前、numan編集部のインタビューでお話しを伺った際、沼(いま一番ハマっていること)として「体を絞る」ことを挙げていらっしゃいました。本作ではファンからアクションシーンも期待されていますが、トレーニングなどはされているのでしょうか?

古谷 インタビュー時の次に控えていた舞台『最遊記歌劇伝―異聞―』での役が上半身が裸の修行僧で、とくに優等生という立場でしたから一番説得力がないといけないと思って体を絞りました。まず視覚として説得力のあるキャラクターを描きたかったというのがあります。  

今回は脱ぐようなシーンはありませんけど、僕と月下丸は身長がほとんど変わらなかったんですが、彼は体重が僕より10キロ近く重くて。相当筋肉がないといけないと、そこを考えてトレーニングをしているつもりです。  

以前はまず見た目を変えるようなトレーニングを重視していたんですが、今は見えない分、中から筋肉をつけて説得力のある動きにしようと。アクションシーンもありますから、その時に軸がぶれたり、格好良くないなと思われないよう、月下丸を好きな方に納得してもらえる立ち回りができるようなトレーニングをしています。

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演出家・キャストたちと作り上げていく舞台

――同じく、インタビューの際に「稽古の時に演出家さんと話をする」とお話しされていましたが、本作ではどのような話し合いをなさったのでしょうか?

古谷 演出の宮城陽亮さんとは初めてお会いしました。今回は原作があって、脚本があって、その上で宮城さんが納得できる状態の台本を僕たちが受け取って。ゲームの月下丸ルートだけでも2時間では終わりませんから、舞台にまとめるために苦肉の策でゲームのシーンや台詞を削ることもあります。  
でも舞台の台本にはないけれど原作にはあるから、シーンがないだけで“きちんとあった”と表現するためにどうしようか、という話はしました。原作のある作品はまず原作とキャラクターを忠実にやりたいと思っているので、そこは見落とさずにやりたいなと。  

総合プロデューサーの黒谷通生さんも、原作の方々も寛容といいますか、作品を丸々物まねしなくていいと言ってくださる方々なんです。キャストとしてはやりやすい環境ですし、自分が思い描いている像で作り上げられるから素敵だと思います。そうした寛容な部分は受け止めつつ、ちゃんとキャラクターを表現してシーンを一つひとつ作っていくというのは細かく行っているつもりです。そういうディスカッションは本番までずっとたゆまずしていきたいと思います。

――初めて共演される方が多いそうですが、他の出演者の方々とはどのように舞台を作り上げられているのでしょうか?

古谷 皆さんとても真っ直ぐで、キャラクターを理解しようとして愛していて……なかには初めて舞台に立つ方、アクションが初めてという方もいますが、作品を良くしようと稽古場で励んでいる姿を見ていて、とても心強いと思います。  

僕はただただ月下丸というキャラクターの立ち位置のおかげで中心に立たせてもらいますが、引っ張っていかなきゃなという気持ちになると焦ってしまって……それはあまりいいことではないのかなと。でも、この方たちと一緒なら大丈夫、本番もきっと乗り越えられると思えるような稽古ができています。  

例えば、小笠原健さんは石川五右衛門のお芝居はとても格好良いんですけど、芝居から外れたら場を和ませてくれるような方で。それは彼の人間性もあると思いますけど、色んな現場で場数を踏んでいる方ですから“こうしたら稽古場が和やかになる”みたいなことを考えてくださっているんだなと思います。  

百地蝶治郎の山口大地さんも普段は寡黙なのに、話すときはすごくユニークで、それを天然で出せる方なので和みます。皆が笑ってしまう環境なのが嬉しいですね。ただいるだけで皆が笑ってしまうような方って大好きなんですよ、僕はそういう人間じゃないから憧れもあります。  

僕は悲しい物語こそ稽古場は笑っているべきだ、面白いコメディこそ稽古場は真剣であるべきだと思っています。今回でいえば稽古場は常に楽しく笑ってやっているほうがきっといい作品になると思っています。
それを汲んでくださる方がいて、楽しんでいる方がいて……すごくいい環境でやらせてもらっていると思います。

――最後に、公演を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。

古谷 原作が好きで舞台を見に来る方もいるでしょうから、今まで舞台を見たことがない方に「舞台って素敵なんだな」と思ってもらえるようにしたいです。  

ゲームを知らないけど舞台が好きで見に来てくださる方には『百花百狼 ~戦国忍法帖~』って素敵なんだな、と思ってもらえるような作品に仕上げたいですね。原作のお話しを大切にして、舞台ならではの良さも、両方良いとこどりで表現できるよう本番に立ちますので、楽しみにしてください。

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プロフィール  
古谷大和(ふるや・やまと)
1991年5月4日生まれ、東京都出身。  
2019年1月31日から舞台「夢王国と眠れる100人の王子様 On Stage」ロッソ役で出演。

公演概要 忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~

忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~

公演日程:2018年12月13日(木)~12月16日(日)

場所:全労済ホール/スペース・ゼロ

出演:古谷大和/花房里枝(elfin’)/山口大地/糸川耀士郎/辻美優(elfin’)/小笠原健/坂口湧久/早乃香織/竹石悟朗/緑川睦/天野眞隆/望月京奈/和田篤希/橋本全一/笠原竜司

原作:ディースリー・パブリッシャー/レッド・エンタテインメント「百花百狼 ~戦国忍法帖~」

企画・制作:レジェンドステージ

主催:百花百狼THE STAGE製作委員会

公演サイト :http://legendstage.jp/hyakka/

(C)RED (C)D3 PUBLISHER (C)百花百狼THE STAGE製作委員会

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numan編集部

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