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浅沼晋太郎らの悪役が見事!『仮面ライダーガヴ』は“あの有名映画”のような世界観が楽しい。一方、原点回帰を感じる部分も

2024年9月から放送が始まり、早2か月あまり。「令和仮面ライダー」6作目にあたる『仮面ライダーガヴ』もそろそろ全体像がハッキリしてきました。放送開始当初は、その世界観はベールに包まれ、主人公の存在感も若干謎めいていたことから、なかなか物語についていくのが難しい作品なのか?という印象だった本作。

しかしながら、回を重ねるごとにその魅力が開花されていき、物語の行く末を考察するファンが急増。今では毎週の放送が待ち遠しく感じてしまうほどに、筆者もドハマりしてしまいました。なぜ『仮面ライダーガヴ』は人々を惹きつけるのでしょうか?その魅力に迫ってみましょう。

『仮面ライダーガヴ』テレビ朝日公式サイトより

『仮面ライダーガヴ』テレビ朝日公式サイトより

仮面ライダー史上初!カラフルでポップな「お菓子」の世界観

『仮面ライダーガヴ』の物語は、異世界から謎の青年・ショウマ(知念英和)が人間界へとやってくることから幕を開けます。お腹が減りすぎて倒れているところを少年に救われたショウマは、もらったお菓子をあっという間に平らげていきます。すると、不思議なことに、お腹から次々と「ゴチゾウ」と呼ばれる小さくて可愛らしい生命体が生まれてきました。実はショウマは「赤ガヴ」と呼ばれるガヴを腹部に宿しており、仮面ライダーガヴへと変身することができるのでした。

未知なる敵・グラニュートたちによって次々と襲われる人間たちを救うために、ショウマは仮面ライダーへと変身し、自身の過去に秘められた謎を追い求めながら、様々な仲間たちと出会い、一人の人間として成長していきながら、日々、グラニュートたちとの熾烈な戦いに身を投じていくのでした……。

「仮面ライダー」シリーズは、2000年に放送が始まった『仮面ライダークウガ』を皮切りに、日々進化を遂げ、毎年新機軸を打ち立てることで視聴者のマンネリ化を避けてきました。「令和」の時代に入ると、そういったスタイルはより顕著になっていきます。

初の女性ライダーがメインライダーに起用された『仮面ライダーゼロワン』、男女問わず多人数のライダーたちが一堂に会する『仮面ライダーセイバー』と『仮面ライダーギーツ』、主人公ライダーが2人存在する『仮面ライダーリバイス』と、その見た目や変身アイテムだけでなく、多様性の時代に相応しい実に多種多様な物語や設定が盛り込まれた作品が毎年登場してきています。前作『仮面ライダーガッチャード』もまたCG背景と実写を組み合わせた映像表現を駆使しながら主人公たちの学園生活を描き切るという新鮮な描写で楽しませてくれた作品でした。

そして令和ライダー6作目となる『仮面ライダーガヴ』は、史上初めて「お菓子」の力を使って変身する仮面ライダーが主人公。

これまでにもフルーツであったり、炭酸飲料を使ったりといった仮面ライダーは存在しましたが、老若男女問わず誰もが大好きな「お菓子」を変身アイテムとして昇華させたのは今回が初めて。それだけに、劇中の世界観はカラフルでポップ、非常に可愛らしいものになっています。

チョコの“ワクワク感”も再現。まるでティム・バートン監督作品のよう

主人公ショウマの服装を初め、仮面ライダーもまたパープルを基調にイエローやブルーといったカラフルなカラーリングが目を惹きます。さらに戦い方に関しても、ポップな印象を大いに与え、変身プロセスでは身体にグミが纏わりつくような過程を辿り、パンチやキックを繰り出すとジューシーなグミが弾けるようなエフェクトで演出。

極めつけは戦いによるダメージでボディのアーマーが崩れ落ちると、ゴチゾウの力で欠落部分が再生されるという、斬新な戦闘スタイルが非常に印象的です。基本フォームのポッピングミフォームは「グミ」をモチーフにしていますが、その他にも「ポテトチップス」をモチーフにしたザクザクチップスフォーム、「マシュマロ」をモチーフにしたふわマロフォーム、「キャンディ」をモチーフにしたグルキャンフォームなどが存在。

さらに2号ライダーは「チョコレート」をモチーフにした仮面ライダーヴァレン(チョコと言えばヴァレンタイン!)で、顔や身体に板チョコが貼りついたようなフォルムになっています。変身プロセスの中で板チョコの銀紙を剥がす“あのワクワク感”を表現しているのは、個人的に天才的発想だと思いました。

そんな可愛らしい世界観の本作は、現在、巷で大きな話題となっており、変身アイテムとして使用される「ゴチゾウ」は売り切れ続出の状態に!

あまりにも可愛すぎるデザインであることから、たくさん集めて並べたいというファンが多数出現。中でも女性ファンの割合が多いように感じ、先日、筆者自身もとあるおもちゃ売り場へゴチゾウを求めて赴いた際、何人かの女性ファンたちが目をキラキラさせながら抱えるようにしてゴチゾウたちをレジへ連れていく姿がありました。

そういった意味でも、本作は新たなファン層の獲得にも成功している作品と言えるのかもしれません。お菓子がテーマの作品ということで、さながらティム・バートン監督作品、特に『チャーリーとチョコレート工場』や『アリス・イン・ワンダーランド』を彷彿させる部分も多いですね。

改造人間の悲哀も…。古参ファンも惹かれる原点回帰

しかしながら、作品全体がポップな雰囲気で覆いつくされているわけではありません。中にはとてつもなく重い、シリアス描写までも組み込まれています。例えば、主人公のショウマは異世界から人間界へとやってきた存在であり、人々は仮面ライダーという存在にも慣れていません。

そのため、しばしば周囲から化け物や怪物と揶揄される場面があり、その都度苦悩する姿を見せるのです。

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zash

子供の頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。

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