柴田捺美
サンリオを初めとしたKAWAII文化をこよなく愛するライター兼イラストレーター。その他占い、アニメ、BLなど得意と好きを生かして幅広く執筆を行う。
最近、X(Twitter)をザワつかせている大型新人声優がいるのをご存じでしょうか? STAR FLASH所属の新人声優・熊谷日向さんです。
よくいただくご質問についていくつか回答します!
Q.好きなトムとジェリーのトムの絶叫は?
A.ア゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛ッ゛!゛!゛Q.年齢は?
A.13歳Q.好きな声優は?
A.熊谷日向Q.結婚願望は?
A.来世に期待— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 22, 2024
突然「好きなトムとジェリーの絶叫」を披露したり、崎陽軒の醤油びんの写真を上げて「ピグレットすぎる」と呟いたり……。
崎陽軒さんでシュウマイを買うと頂ける醤油入れ、かなりピグレットだった pic.twitter.com/qjUMv54wXa
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 20, 2024
一つひとつの投稿に類まれなギャグセンスを発揮する熊谷さんは、今年(2024年)8月20日に公式アカウントを開設後、わずか1週間でフォロワー1万人を突破。
4ケタのいいねがつくツイートも多く、もはや「バズ量産声優」とも言っても過言ではないでしょう。
一方で、彼の素性を知る人はそう多くいません。タイムラインに流れてきたネタツイを見た人たちからは、「あの芸人みたいに面白い声優は一体誰なんだ?」と、戸惑いの声が多く上がっています。
それもそのはず。声優デビューしてわずか3ヶ月あまりの26歳で、9月10日に「声優としての初仕事を終えた」と呟いていたため、アニメ作品などの出演はこれから。
声優として初の仕事を終えました。 pic.twitter.com/EPOYfh1BlY
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) September 10, 2024
それなのに、光の速さでファンを獲得し、ネット民をザワつかせている彼は一体?……ということで、numanがどこよりも早くインタビューを実施! 熊谷さんの知られざる過去の話や、声優デビューに至るまでのお話をたっぷり伺いました。
※「XではなくTwitterと呼び続ける」熊谷さんに合わせ、本記事ではあえて「Twitter」と表記しております
というかツイッターはユーザーを「ツイッタラー」って表現できるけれどXはどう表現するの?エクソシスト?
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 22, 2024
INDEX
ーー「Twitterに彗星のごとく現れた大型新人」と、話題になっていました。この“バズ現象”について、率直にどう思われていますか?
熊谷日向(以下、熊谷):
正直、私自身が一番この状況を理解できていないんですよね(笑)。
例えるならば、台風の目にいるみたいな感じで。Twitterで皆さんが話題にしてくれているのを、「なぜこんなことになっているんだろう」と真ん中から眺めている気分です。
注目していただけるのは本当にありがたいことだなとは思っているのですが、その理由が分からないですし、何よりも実感が持てないんですよね(笑)。私としては、とくにバズらせようと思ってツイートしているつもりはなく、ありのままに呟いていただけだったので。
皆さんからのリプライやいいねが多く届くようになったのは、アカウントを開設した日からでした。最初の自己紹介ツイートをして寝て、翌朝起きたらすごいことになっていることに気づいたんです。
ーーアカウント開設初日に、いきなり反応があったのですね。周りの反応は?
熊谷:
両親はあんまりSNSに詳しくないので、たくさんの方から反応があったことを伝えても、「なんかよく分からないけど、すごいね」というシンプルな感想でした。
事務所の方からは、たしかアカウント開設して3〜4日後くらいに「すごいことになっていますね」という連絡が来ました。その連絡が来るまでは、自分から特に報告はしなかったですね。
実は昨日事務所から連絡があって
「熊谷さん、何でこんなにフォロワー増えてるんですか!?」って訊かれたんですけれど
「私が1番よく分からないんです…🫨」「あ、炎上商法とかには手を出してません!勘弁してください!!🙇」と答えるしかなかったです
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 22, 2024
ーー事務所の方は、すでにバズっていることをご存じだったのですね。ツイートを見るとかなり自由につぶやかれている印象があるのですが、事務所からは何かフィードバックはありましたか?
熊谷:
内容に関しては、とくに指摘はなかったです。マネージャーは「それが熊谷の持ち味だから、ツイートする内容は自由にしていいよ」と言ってくれているので。
ただ、お恥ずかしながら以前ちょっと尖った言葉遣いをしてしまったことがあって。その時はもちろん、指摘をいただきました。
それ以外は、「タレントの個性を伸ばしたい」という事務所の方針もあってか、基本的にSNSに関して任せてもらっています。ツイートの内容に限らず、普段からそういう雰囲気があります。
ーー事務所の理解があってこそ、熊谷さんの才能がいかんなく発揮されているのですね。率直な疑問なのですが、なぜそんなにギャグセンスがあるのでしょうか?
熊谷:
うーん、「ギャグセンスが高い」と自分で言うのはすごく恥ずかしいのですが(笑)。毎日、くだらないことを考えることにリソースを費やしているんですよね。
つい先日26歳になったばかりなのですが、同じくらいの年齢の方が将来のことや社会問題のことについて真剣に考えている間、私は本当にくだらないことばかりを考えているんです。
もともと楽観的な性格なので、あまり将来について深刻に悩まないのもあるかもしれません。毎日ぼーっとしながら、変なことばかり考えて過ごしているんですよ(笑)。
ーー「変なこと」とは、例えばどのようなことですか?
熊谷:
昨日だと、トイレ中に便座に座ってぼんやりしていた時、「人類はもっとウォシュレットに感謝するべきなんじゃないか」と、ふと考えこんでしまったんですよね。だって、あんな便利な道具ってないじゃないですか。
今考えると、本当にくだらないことですが(笑)。
ーー着眼点がすごい(笑)。そういう“くだらないこと”をつい考えてしまうのは、元々そういったお笑いが好きだったから?
熊谷:
以前からオードリーさんのコントや、千鳥さんや博多華丸・大吉さんの漫才は好きでよく見ていたのはありました。ただ、それらにものすごくハマっていたかといえばそうではなくて。お笑いの劇場に足を運んで観ることはほとんどせず、TV番組やYouTubeの公式動画でネタを観て楽しむ程度でした。
マンガだと『ギャグマンガ日和』が大好きなのですが、それが今の僕の思考に影響を与えるかというと、そうでもないですね。
「面白いことを考えよう」と意識せずとも、気がつくとついくだらないことを考えては、ツイートしてしまうんです。
ーー熊谷さんのツイートは、なんとなくネット民特有のギャグセンスも感じます。ニコニコ動画や匿名掲示板はよく見ていたのでしょうか?
熊谷:
ニコニコ動画は、学生時代に少し観ていましたね。特に好きだったのは、「フタエノキワミ」や『チャージマン研!』のMAD動画。ちょっと懐かしいアニメを活かしたギャグ動画が好きでしたね。
スマートフォンを初めて持ったのはたしか高校生の時でしたけど、その前から家族共有のパソコンでニコニコ動画やお笑い芸人さんの動画を観ていました。
私がこれまでにハマってきたエンタメコンテンツ全般に言えることなのですが、自分の年齢よりも一世代上のものが好きなんですよ。ドラマだったら『古畑任三郎』シリーズ、アニメだと『マクロス7』が好きで。
「録画してある古畑任三郎、この回誰が犯人だっけ…」
『え〜、今日は、私の宝物を紹介しますぅ…』
「あ〜、この回か…好きだけど前見たばっかだしいいかな…」
「………」
「………………」
「……………………………」
「なんか最後まで見ちゃったわ…」
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 23, 2024
とくに『マクロス7』は、主人公・熱気バサラが大好きなんです。かれこれ10年くらい“推し”ですね。彼の姿を見ると、パワーとエネルギーがもらえる気がします。
好きなアニメ発表ドラゴン
マクロス7>🐉
ぼっち・ざ・ろっく!>🐉
まほプリ>🐉
オーラロードが開かれるやつ>🐉
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 23, 2024
ーー『マクロス7』は1994年放送開始なので、熊谷さんが生まれる前のアニメ作品ですよね。何をきっかけに視聴したのでしょう。
熊谷:
中学生の時に『スーパーロボット大戦シリーズ』(以下、『スパロボ』)というゲームをプレイしていて、それをきっかけにロボットアニメ作品をいろいろ見始めたんです。そのうちの一つに『マクロス7』があって、いつの間にかハマっていました。
実はこの『スパロボ』は、声優を目指すきっかけとなった作品でもあるんです。
ーー「『スパロボ』が声優を目指すきっかけになった」とは、どういうことでしょうか。
熊谷:
神谷明さんの演じ分けを聞いて、「声優ってすごいな」と感動したんです。
当時私がプレイしていた『スパロボ』には、『ゲッターロボ』の流竜馬と、『闘将ダイモス』の竜崎一矢、そして『大空魔竜ガイキング』ツワブキサンシローが登場していたのですが、この3人の主人公をすべて神谷さんが演じていました。
つまり、ゲーム中で流竜馬が「ゲッタービーム!」と技名を叫んだあとに、竜崎一矢が登場して「必殺! 烈風! 正拳突きぃぃぃ!!」と、そしてツワブキサンシローが「デスパァァッサイトォッ!」と叫ぶのですが、すべて神谷さんの声なんですよ。
もう、キャラごとの演じ分けがすごいんです。それに加えて、決めセリフを一言聴いただけですごく元気をもらえて。
「声一つでこんなにエネルギーを与えられるなんて、声優ってすごいな」と思ったのを鮮明に覚えています。それが、声優という職業を目指したきっかけでした。
ほかにも、憧れている声優さんはたくさんいます。先ほどもお話しした通り少し前の世代のアニメが好きなので、家弓家正さんや山田康雄さんなど、ご存命なら80代以上の方が多いですね。
ーー『スパロボ』にハマった中学時代から、声優を目指されていたのですね。卒業後は、声優の専門学校や養成所に通われたのですか?
熊谷:
いえ。高校卒業後は大学に入って、心理学部を卒業しました。
もちろん声優になる夢はあったのですが、どこか「声優として生きていくには、現実的に難しいのかも」と考えているところがあって。高校2〜3年生の時、いざ大学受験を目の前にすると不安を覚えるようになったんです。
まだ声優になると決断できないのであれば、とりあえず大学を卒業して別の進路を考えておこうと思い、大学受験をしました。
ーー心理学部を選ばれたのは、心理士など別の職業に就く道を考えていたから?
熊谷:
具体的には考えていませんでした。実は、大学進学を選んだ後も「声優になる」という夢を諦めきれていなかったんですよね。
もともと勉強が得意な方ではなくて、会社員として働くイメージをできていなかったのもあります。「声優になりたい」という気持ちのほかに、「声優にしかなれないのかもしれない」という気持ちもあって。
心理学部は人の感情や行動心理について学べるので、学部を選ぶ時に「声優の仕事に役立つかも」と思ったんです。演じるキャラクターの感情を理解することに、心理学の知識が生きるのではないかと。
ーー進学を決めても、声優になる道を捨てきれなかったのですね。では、演技を本格的に学ばれたのは大学卒業後?
熊谷:
はい。実は大学を卒業してすぐ、音楽レーベル兼声優事務所の新人オーディションを受けたんですよ。そこに2年ほど所属して、歌や声の演技について学びました。
音楽レーベルの事務所を選んだのは、「アニメソング界の大王」であるささきいさおさんのような、“歌える声優”への憧れがあったから。声優を目指すきっかけは神谷明さんの演技でしたけど、当時は歌への憧れもあったんです。
でも結局、歌唱に関しては力不足だったのもあって、その時はデビューに至らなくて。それから、今年(2024年)6月に現在の事務所に入りました。
今はまだ所属して日が浅いので、事務所が主催している定期レッスンのほかに、自主トレーニングをして過ごしています。
ーー自主トレーニングでは、主にどのようなことをしているのですか?
熊谷:
朝ごはんを食べたらまず発声練習をして、その後はジョギングして肺活量を鍛えて……腹筋を鍛えると発声が良くなるので、筋トレもしていますよ。健康な身体と声を作るために、できる限りの努力をしています。
デッドリフト、名前にデッドが付いているの不穏だし これをやる方はむしろ生命力に溢れているはずだから「生き生きリフト」が良いんじゃないかと思っている
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) September 20, 2024
ーーストイックですね。自主トレ以外の時間は、何をして過ごしているのですか?
熊谷:
アニメを観たりゲームをしたり、お笑いの番組を観たりしていますね。最近だとモグライダーさんの『まいにち大喜利』がお気に入りです。
実はこの前お話を頂いた仕事が、大喜利イベントへの登壇で(笑)。その勉強も含めて、空いている時間によく観ています。
いただいたお仕事の1つに「イベント会場での大喜利」があるんですけれど、これ新人芸人だと思われてる?
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 27, 2024
大喜利の仕事をいただいた時は、驚きました。(その時は)まだ声優としての仕事をする前だったので。でも、自分にやらせていただけるなら何でも頑張ろうと思って、一生懸命準備をしています。
ーーいきなり声以外の仕事が舞い込んできたのですね。でも先日「声優としての初仕事をした」とツイートされていました。念願だった声の仕事をしてみて、いかがでしたか?
熊谷:
そうですね……最初の仕事を終えただけなので、プロとしてはまだまだだと思うのですが、中学生の時から抱いていた夢への第一歩を踏み出せた実感がありました。たぶん、人前でなければ泣いてしまっていたと思います。
今日こうしてインタビューでお話しする機会をいただけたのも、Twitterをフォローしてくださっている方々がいるおかげだと思うので、これからも皆さんに自分の演技を聞いていただく機会をつくれたらと思っています。
そのために、地上波放送のアニメに出演することが次の目標です。ゆくゆくは、自分が声優を目指すきっかけとなった『スパロボ』だったり、そのほかにハマってきたゲーム作品にも出演できたりしたらとても嬉しいですね。
今の自分ができることを精いっぱい取り組んで、声優として成長していきたいです。
仕事ください(直球)
— 熊谷日向 (@KumagaiHinata) August 29, 2024
(企画・取材・執筆=柴田捺美)
柴田捺美
サンリオを初めとしたKAWAII文化をこよなく愛するライター兼イラストレーター。その他占い、アニメ、BLなど得意と好きを生かして幅広く執筆を行う。
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