【第2回】「賢雄、オーディションへ行け!」で声優スタート/堀内賢雄さん60th独占インタビュー(1/3)

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――夏に行われたイベント60th Anniversary “生まれ直しやりなおし”も大盛況でした! キャリアとして35年目になりますが、これまでを振り返ってみていかがでしょうか?

堀内賢雄(以下、賢雄) 60歳ということで、この先どこまで生きられるかわかりませんが、還暦として”生まれ直す”ところまでたどり着いたことが、自分の中で偉いね! って(笑)。ちょっとほめての60歳。付き合う人が、俳優業界の方ばかりなので芝居環境の中で培ってきた30数年だったかなぁと思います。

――賢雄さんはどのような若手時代を過ごしたのでしょうか?

賢雄 若手時代は居残りばかりしていましたが、残されることが嫌ではなくて、「ますます俺、うまくなっちゃうんだな」っていう気持ちでやっていましたね。たてかべさん(※1)の事務所・オフィス央に入って、「賢雄、アンドロメロスのオーディションに行け!」と言われて行ったのが最初です。
元々DJをやっていたため歯切れのいいしゃべり方ができたためか、オーディションには受かるんです。ただ、演技経験はない。だからうまくもなければテクニックもない。「お前は何もわかっていない。明瞭にいい声だけでしゃべりやがって、芝居のしの字もわかっていない」と散々言われ続けて、歯切れよくしゃべることの何が悪いんだって、思っていましたね。

――賢雄さんにも、若手ならではの苦悩の時代があったんですね。

賢雄 20代は本当に居残りばかりでしたからね(笑)。今振り返れば、その頃は、自分をさらけ出すしかなかったんです。ものづくりという意味で欠落している役者だったので、監督がなんとかしなきゃいけないという、むしろ使命感をもってしごいてくださいました。現場で少しずつ一人前にしてもらったなと感じています。

――仕事に嫌気がさすことはなかったのでしょうか?

賢雄 現場でしごかれていると、はじめのうちはめげて、行くのが嫌になるんです。だって、行けば怒られますし(笑)。とくに、笑いや泣きがセリフにあると、なかなかうまくいかない。その当時は自意識過剰だったから、周りの人ばかり意識してしまい、恥ずかしくなって、笑えないし泣けないのです。そうすると監督から「ちゃんと笑えー!!」って怒鳴られる。怒鳴られて笑えるか、なんて思っていましたが(笑)。
ここであきらめて辞めてしまったらすべて終わりなわけでしょ? それがだんだん変わっていったのはやっぱりたてかべさんのおかげだなと思いますね。一緒にいてくれて、「いいんだよその感性で、突っ走れ、好きなように」って。心の支えになりましたね。

――たてかべさんに肯定していただけたんですね。

賢雄 鬼のような監督だと思っていた人も付き合っていくうちに、ああ愛情だ、ってどんどん思えていくんですよね。しごかれるのが光栄なことだと思えるようになったのは5、6年経ってから。僕は学生時代に野球をやっていたんですが、バッターボックスと同じなんですよ。何度も立てば、球筋が見える。ずーっとやっていれば、芝居がわかってくるんです。

――ご自身で芝居がわかってきたな、と実感した作品は何でしょうか?

賢雄 『アンドロメロス』(※2)は、全然わからないでしょ。『サイコアーマー ゴーバリアン』(※3)はひどくわからないでしょ。『超攻速ガルビオン』(※4)……あ、もうぜんっ然わからない(笑)! そのころは地獄の千本ノックと居残りでした。永井豪さんの『ゴッドマジンガー』(※5)、山寺宏一(※6)くんと共演した『チップとデールの大作戦』(※7)あたりでようやく芝居がわかってきたかなぁ。

――それまでの作品と、どこが違ったのですか?

賢雄 自意識過剰が少し直ってきたことと、お芝居は自分だけが目立っていてはだめっていうことがようやくわかってきたことでしょうか? DJ時代は、目立つために個性的なことばかり考えていましたから、その延長で、作品の理解やキャラクターづくりよりも、自分の声で演じようとか、自分を目立たせよう! という気持ちがあったんじゃないかな。あくまで作品の中のゾルバでありチップであり、と芝居の流れの中でのセリフだということが、わかってきましたね。


(※1)たてかべさん……たてかべ和也氏。1983年当時のオフィス央の社長で、賢雄さんをはじめ、『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけ役の矢島晶子さんら、多くの才能を見出した。また、自身は『ドラえもん』のジャイアン役の声優としても有名。2015年逝去。
(※2)『アンドロメロス』……1983年放送の特撮番組。賢雄さんは、その中のアンドロウルフ役でデビューを飾った。
(※3)『サイコアーマー ゴーバリアン』……永井豪とダイナミック企画原作による、1983年のロボットアニメ番組。
(※4)『超攻速ガルビオン』……国際映画社が手掛けた最後のロボットアニメ番組。1984年放送。
(※5)『ゴッドマジンガー』1984年放送の永井豪原作によるロボットアニメ。マジンガーシリーズの外伝作品にあたる。
(※6)山寺宏一……山ちゃんこと、七色の声を持つ男とうたわれる声優。
(※7)『チップとデールの大作戦』……『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』のこと。1989年から放送されたディズニーアニメ。





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aichu

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