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小野賢章『腐女子、うっかりゲイに告る』第3話 ゲイが女性と付き合う意味って?

NHKよるドラ『腐女子、うっかりゲイに告(こく)る』。

ゲイであることを隠して生活する高校生・安藤純(金子大地さん)と、そ腐女子である三浦紗枝(藤野涼子さん)2人が直面する葛藤や、周囲を巻き込んで築き上げられていく関係性が描かれます。

そして同じくゲイであるミスター・ファーレンハイト(声:小野賢章さん)。ネット上だけの友人でありながら、純が唯一すべてを打ち明けられる彼の言葉が、純の心と物語を動かしていきます。

第4話の前に印象的なシーンとともに振り返っていきましょう!

第三話「The Show Must Go On」あらすじ

「普通」を手に入れるため、紗枝と付き合うことに決めた純。亮平(小越勇輝さん)から、女っ気のない純がもしかしてゲイなのではと心配していたことを打ち明けられ、「よかった、安心した」と言われます。

マコト(谷原章介さん)との待ち合わせに使っているバーを訪れた純は、オーナーでレズビアンのケイトさん(サラ・オレイン)に、彼女ができたことを明かしました。しかし「ゲイに彼女ができたこと」を「よくある話」と流され、「あなたはショーを始めてしまった」と伝えられます。

嫌になっても、全部放り投げて舞台から降りるまでは許されない、と。迎えに表れたマコトとバーを去る純に、ケイトさんは笑って「いつでも味方だからね」と声をかけるのでした。

その後、ホテルの部屋でマコトに別れ話を切り出します純。コンドーム無しで強引に抱かれそうになった話を聞いたファーレンハイトは、純がちゃんと断ったと聞いてホッとしますが、純がこだわる「普通のセックス」に疑問を提しました。

子孫繁栄が普通なら、避妊具を使うことは?男女でするのが普通なら、祖父と孫ほど年の離れている場合は?次々と問いかけられますが、純は「何が普通か」について、考えたこともありませんでした。

そして、純は来る紗枝との「本番」に向けて「練習」を開始。しかし、まったく効果はありません。当日、いよいよ紗枝との行為に及ぼうとしますが……。

マコトの想い「僕はコウモリだ」

純と訪れたホテルの一室で「既婚のゲイって普通?」とたずねられたマコト。「普通かどうかは難しい」と答えた上で、イソップ物語のひとつである『卑怯なコウモリ』の話を引き合いに、こんなふうに語ります。

「僕はコウモリだ」
「あるときは異性愛者あるときは同性愛者そうやって自分を使い分けている」

獣の一族と鳥の一族、敵同士であるどちらにもいい顔をしながら生きていたコウモリ。やがて両方の一族が和解したように、異性愛者と同性愛者が分け隔てなく暮らせる社会が実現したとしても、卑怯だった自分を認めてくれる場所はない、と。

それは、ゲイであることを隠しながら「普通の」男性として家族を持ち、生活を営んでいるマコトが、ゲイとして恋人と関係を持ち続けている自分を評した言葉としては、これ以上にないほど痛烈な皮肉でした。

純はこの日、別れ話を切り出すつもりでホテルに来たわけですが、純の呈した疑問と、それに対するマコトの答えが、もしかすると純に別れを決心させたのかもしれません。

みずからを「卑怯」というマコトの姿こそ、そのままいけば、いずれ純自身の姿にも重なるのですから。

紗枝の想い「安藤くんにもぐりまくって、それで愛してやるの」

試験勉強を一緒にするため、純の自宅にやってきた紗枝。ベッドの下をのぞいて「エロ本」を探しているところを目撃され、「三浦さんじゃないんだから」と純に言われてしまいます。BLとエロ本は違う、と反論しつつ「口が悪い!」と純に文句を言う紗枝。

紗枝はそんな純の言動に対し「私を試してたんでしょ?」と問いかけます。口が悪い人は、相手の愛情を試している、甘えているんだ、と語る紗枝。

「安藤くんは何考えてるかわかんなくって、不安になることも多いけど」
「深読みして深読みして安藤くんにもぐりまくって、それで愛してやるの」

だから安心していい、とほほえむ紗枝をたまらず抱きしめる純。「僕もちゃんと好きだから」と語りかけ、ベッドに紗枝を押し倒すのですが……。

紗枝を好きだという気持ち、紗枝を愛おしく思う気持ちは、たしかに純の中にあるのでしょう。だからこそ「三浦さんとなら」「普通の恋人」「普通のセックス」が実現するはずだと……そう思っていたのにできなかった。

紗枝の素直で一直線な愛情表現と、純の葛藤のコントラストが強く、とても切なくなってしまいます。

ファーレンハイトの問い「君はどうして普通になりたいんだ?」

紗枝とのセックスに失敗したことを涙ながらにファーレンハイトに打ち明けた純。僕は普通になれない、永久に「異常」なままだと嘆く純に、ファーレンハイトは「君はどうして普通になりたいんだ?」と問いかけます。

その質問に、少しずつ答えていく純。「家族がほしい」「母さんを悲しませたくない」「みんなから気持ち悪いって思われたくない」……。

「他には?まだあるだろ?」

そうたずねられて、やっと純がしぼり出した答えは「自分を気持ち悪いって思いたくない」でした。純の本心を聞き、さらにたずねるファーレンハイト。

「純、僕は気持ち悪いかい?」
「キミは、キミの敬愛するフレディを、なんかやたらと声のいい気持ちの悪いゲイのおっさんだと思いながら彼の曲を聴いていたのかい?」

純はとっさに否定し「違う、君は最高の友人で、フレディは世界最高のアーティストだ」と答えます。純にそう答えさせることで、ファーレンハイトは“ゲイだからといって気持ち悪いなどということはない”と純に納得させたのです。

僕もキミほど魅力的な人間には出会ったことはない、とファーレンハイトに言われ、ようやく笑顔を見せる純。しかし一方のファーレンハイトは、恋人の死に直面していたのでした

第4話、温泉旅行で純が見るものは

紗枝との家デートの失敗、思わぬファーレンハイトからの告白と、心が晴れない純ですが、次回は紗枝とともに温泉旅行に出かけている様子。ところが、その温泉で、純はばったりマコトに遭遇してしまいます。

予告動画に流れる「この子となら、本当の僕のままでも……」という純のつぶやきが切ない……。波乱の予感しかしない第4話は、今夜放送です。

執筆:森本マリ

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