違和感なさすぎ！フランス王妃は同人作家？SNSで話題の漫画に「発想が天才」「貴婦人の嗜みか…」

多くのオタク女子が嗜んでいる「同人誌」。その語源は、明治時代に同じ志を持つ人々が集まって製作した本や雑誌を指します。現代では人気漫画の二次創作や、自主制作のオリジナル漫画などさまざまな種類があり、各地で同人誌即売会が開催されています。
基本、同人誌は自腹で製作するので、お金や時間が必須。

「もしも、お金とヒマをもて余した貴族が同人活動に勤しんでいたら」……そんな“妄想”を具現化したのが、花園あずき先生（@genjihikaru）の『同人誌即売会（ベルサイユ）にいらっしゃい』。花園先生がツイッター上に全編を公開すると、またたくまに話題になりました。

「発想が天才すぎる」「違和感なさすぎ」「同人は貴婦人の嗜みか…謎の説得力がある」などと絶賛された本作をご紹介します♪

舞台は、18世紀のフランス。世界美術史屈指の華やかさを誇る「ロココ芸術」が席巻していた時代です。とにかくド派手さが正義であり、貴婦人たちはドレスや髪飾りに夢中。
なかでも、かのフランス王妃マリー・アントワネットは、貴族たちのファッションリーダーに君臨し、贅の限りを尽くしました。それと同時に、彼女が辿った悲劇的な最期は、今もなお語り継がれています。

……というのは史実でのお話し。本作のパリで大流行しているのは「同人活動」だったのです！

王妃マリー・アントワネットは同人誌即売会（以下、ベルサイユ）の主催者であり、超人気の作家貴婦人（同人作家）でもありました。まさにベルサイユの女王……！

そんな花の都・パリに移り住んできたのが、地方貴族の「わたし」。
彼女は田舎になかった「同人ショップ」に行ったり、アニメの放送をリアルタイム視聴したりと、都会の生活を謳歌します。

立派な貴婦人になるために、ベルサイユ宮殿でのオールジャンル即売会に参加した主人公。規模の大きさやサークルのクオリティの高さに圧倒されながらも、王妃さまと運命の出会いを果たすのでした。

主人公のスペースに訪れた王妃は彼女のの才能を見出し、アトリエに招いてくれたのです。さらに主催サークルにまで誘われ……憧れの液晶タブレットの貸し出しや良い印刷所の紹介までしてくれるという王妃。

同人活動に夢中になるそのお姿に感動を覚える主人公なのでした。

作中にはほかにもデュ・バリー夫人とカップリング受け攻めで対立したり、コピー本をギリギリまで入稿したりなど、“同人作家あるある”が満載！　華やかなベルサイユの様子とは裏腹に、執筆活動の過酷さも描かれます。

さらに史実と同人活動との絶妙な“リンク”も必見です。
たとえば、作家貴婦人たちが着ているドレスは、1760年頃～80年頃のフランスで実際に流行していたデザイン。歴史ではファッションの流行とともに変化しますが、本作では同人熱の広がりとともにドレスが変化していきます。

作家貴婦人の必需品、台車（キャリーバック）の車輪に裾を巻き込まないドレス「ローブ・ア・ラ・ポロネーズ」や、可動性が高くてパイプ椅子に座りやすい「ローブ・ア・ラングレース」が、多くの作家貴婦人に愛されたとか。

オシャレにも同人活動にも手を抜かない、それがベルサイユの掟……！　

『イラストでわかる　麗しのドレス図鑑』（マール社） を発表し、同人文化を愛する、花園先生ならではの視点にも注目です。そんな花園先生からコメントもいただきました！

「軽い気持ちで描いた漫画でしたが、多くの方に読んでいただけて嬉しいです！
同人イベントに初参加したときは会場の空気に圧倒されて、別世界に来たんだなと実感したものです。
今は外出自粛などでなかなか同人イベントに行けませんが、いつかまた同人誌即売会（ベルサイユ）でお会いできる日を楽しみにしておりますわ。ごきげんよう、みなさん」

ロココ時代の華やかさと、同人活動の過酷さを同時に楽しめる『同人誌即売会（ベルサイユ）にいらっしゃい』。ぜひ、お楽しみあそばせ！

協力：花園あずき先生（@genjihikaru）
執筆：清談社