お宝を求めて世界中を股にかける神出鬼没な大泥棒……ルパン三世。そんな日本人なら誰もが知っている世紀の大泥棒の誕生秘話というのは、謎が多く、これまで大きなベールに包まれてきました。いかにして、男は“ルパン三世”となったのか? その秘密がついに明かされる時がやってきたのです。
2022年12月16日よりDMMにて配信開始となる『LUPIN ZERO』は、何者でもない少年・ルパンが、“ルパン三世”となるに至ったその経緯を描き出す作品です。誰もが気になる本作、「ZERO」を視聴した筆者がレビューをお届けします。
『LUPIN ZERO』ティザー
モンキー・パンチ原作による『ルパン三世』は、1967年「漫画アクション」にて連載が開始され、その歴史の幕が上がりました。
その後、1971年に初めてテレビアニメ化されると、以降も、時代に合わせて『ルパン三世』は様々な変遷を辿っていき、現在までに、テレビアニメ計6シリーズに加え、映画、番外編、テレビスペシャル、OVAなど数多くの作品が世に送り出されており、日本が誇るアニメ文化発展を中心で支えてきた作品と言えるでしょう。
『ルパン三世』は、主に主人公のルパンを中心に、凄腕の早撃ちガンマンである次元大介、石川五右衛門の末裔である剣士の石川五ェ門、どんな男も魅了する美貌の持ち主である峰不二子の4人で構成された一味が、お宝を求めて奔走し、彼らを追う銭形警部と“おいかけっこ”を繰り広げる様を描いてきました。
『LUPIN ZERO』
その中に、標的となる“宝”の背景など、心温まるストーリーを加えることで人々の心を掴んできたと言えるわけですが、肝心のルパン一味、とりわけルパン三世の出自や人生というのは、そこまで大きく描かれてきたわけではなく、ほとんどがベールに包まれている印象でした。
そんなルパン三世のオリジンつまりは“始まり”となるストーリーがようやく明らかになるのが、今度の『LUPIN ZERO』というわけです。
『LUPIN ZERO』場面写真より
タバコに拳銃…規制が緩かった“昭和”な世界観がいい
『LUPIN ZERO』の物語の舞台となるのは、『ルパン三世』原作が誕生した1960年代、高度経済成長期の日本。
未だ名もなき中学生のルパンが、不良相手に、拳銃を携えて真っ向から挑む次元大介という男に興味を惹かれるところから始まります。
『LUPIN ZERO』場面写真より
その後、ルパン少年はたまたま訪れたナイトクラブで次元と再会するも、育った環境の違いから最初は突き放されてしまいます。しかし、そのナイトクラブで大人の妖艶な魅力を漂わせるクラブシンガーの洋子をめぐる“ある事件”に巻き込まれてしまったことから、事態は急変。共に事件解決へと奔走する中で、次第に心が通じ合っていく様を描きます。
『ルパン三世』という作品に共通する魅力の一つとして、どこか懐かしい古き良き時代の世界観が描写されているというのがあると思います。
それは現在になっても変わらない魅力だとは思いますが、『LUPIN ZERO』に至っては、そういった古風な描写がより顕著に表れている印象を受けます。
『LUPIN ZERO』場面写真より
というのも、本作を視聴していてまず最初に驚かされるのが、そのレトロな作画です。
1960年代の日本を舞台としている作品であるだけに、作画に関しても当時の雰囲気に寄せている節があるのです。いまだ日本のアニメが黎明期にあった60年代から70年代のテレビアニメを彷彿させる昭和の香りを漂わせたアニメーションを堪能することができるのです。
さらには、中学生であるはずのルパンと次元大介が普通に飲酒したり、タバコを吸いながら拳銃をぶっぱなし、劇中には「堅気」だ「ヤクザ」だといった物騒な言葉がわんさか飛び交う昭和っぷり。
『LUPIN ZERO』場面写真より
高度経済成長期の日本に生きた世代は思わず身構え、当時を知らない現代の若い視聴者たちは規制の緩かった時代に想いを馳せることができる。まさに老若男女問わず家族で楽しめる作品になっているのです。
長く『ルパン三世』を観てきたファンは、エンディングでも鳥肌が立つこと請け合いです。
少年から‘‘ルパン三世’’へ。泥棒になる葛藤も
『LUPIN ZERO』の魅力はそれだけではありません。何と言っても、本作の最大の見どころは、
ルパンの過去がしっかりと描かれている点です。
前述のルパンと次元の出会いの場面もさることながら、大怪盗アルセーヌ・ルパンの子孫である少年ルパンが、偉大な家族を持つことへの苦悩であったり、父を超える泥棒となることへの葛藤というものが明確に描かれており、これまでの『ルパン三世』にはなかったとても斬新な表現が多いようにも感じました。
それでも、型破りな方法で事件を解決していく様やルパンと次元の絶妙な距離感での掛け合いなどは『ルパン三世』らしい部分でもあり、温故知新を非常に大切にした製作陣の気持ちを垣間見ることが出来るでしょう。
まだまだ未熟な少年であるルパン役と次元役に起用された畠中祐さんと武内駿輔さん、2人の声優が魅せる新しくもどこか懐かしさを感じさせる演技も素晴らしく、幅広い世代のルパン好きが納得できる作品に仕上がっていること請け合いです。
少年はいかにして、大泥棒ルパン三世となったのか…そのベールに包まれた過去がついに明らかになる!
アニメ『LUPIN ZERO』作品概要
『LUPIN ZERO』キービジュアル
少年は、如何にして“ルパン三世”となったのか?
舞台は昭和30年(1960年)代。まだ何者でもない中学生のルパンが、のちの相棒・次元と出会い、ある女性を救うべく危険な事件に立ち向かう!
1967年に連載を開始した、モンキー・パンチの人気漫画『ルパン三世』。
ベールに包まれた彼のビギニングをついに描き出す『LUPIN ZERO』は、原作でも描かれている「少年ルパン」編からヒントを得つつ、懐かしくも新しいオリジナルストーリーが展開される。
ルパン役に畠中祐、次元役に武内駿輔と若手人気声優を起用、多くの『ルパン三世』シリーズを手掛けるテレコム・アニメーションフィルムが制作し、レトロでユニークな世界観を現代に蘇らせた。
これは、誰もが知っている大泥棒の、誰も知らない「はじまり」の物語。(全6話)
■DMM TVにて独占配信
■スタッフ
原作:モンキー・パンチ
監督:酒向大輔
シリーズ構成:大河内一楼
設定考証:白土晴一
キャラクターデザイン:田口麻美
音楽:大友良英
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
製作:トムス・エンタテインメント
■キャスト
ルパン:畠中祐
次元:武内駿輔
洋子:早見沙織 しのぶ:行成とあ ルパン一世:安原義人 ルパン二世:古川登志夫
■コピーライト表記
原作:モンキー・パンチ ©TMS
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