曽我美なつめ
音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。
そんな彼女たちの光と影、そして組織と対峙する強い意志を思わせるフレーズが歌詞に散りばめられているようにも聞こえてくるのです。
例えば、「ここを望んだ」というフレーズからは、両親を殺され独り取り遺された過去から過酷なFBIの道を選んジョディの決意や、逃げ出したくないと“灰原哀”で居続けることを選んだ灰原の決意が垣間見えるよう。「幸福の下味に合っていない」とは、どれだけ幸せで楽しい時間や仲間に囲まれた現在があろうと、重い過去を払拭することはできない。そんなジョディ・灰原両者の心情に重なるようにも読み取れます。
さらに二人の事実上の宿敵となるベルモットも、本EDでは印象的な形で度々登場。FBI捜査官には「腐った林檎」と称される彼女。秘密主義な“千の顔を持つ魔女”は非常に強力な相手ですが、だからこそ裏を返せば自分自身も本当の素顔がわからない。
彼女がアップで映し出されるサビの「フルコースすら味がしない」というフレーズからは虚無感・空虚さが滲み出ているようにも思えてしまいます。
このように、ピックアップされた女性キャラのバックボーンや背景が、映像や楽曲の歌詞共に満載となっている今回のED。毎話物語の最後に見ることでさらに気づきを得られるような、そんなEDでもあることでしょう。
『名探偵コナン』の物語のスパイスでもある、多様な顔を持つキャラクターたち。主人公のコナンや近年人気が急上昇している赤井に安室、そして今回のEDでスポットの当たる女性陣も、もちろんそんな登場人物の一人でもあります。
「多様な顔を持つ一人の女性」という共通点を持つ『名探偵コナン』と「クウフク」を歌唱するヨルマチ。両者のコラボによる化学変化で、これまでとはひと味違う魅力的な女性キャラたちの影と光、そして彼女たちの強く美しい一面もしっかりと描かれたEDの意味を噛みしめながら聞いてみると、また違う一面が見えてくるかもしれません。
(執筆:曽我美なつめ)
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