numan編集部
声優、アニメ、舞台、ゲームまで!オタク女子のための推し活応援メディア
声優として『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』の神宮寺寂雷、『BLEACH』の藍染惣右介などを演じるだけでなく、吹き替え、ナレーション、作家、アーティスト活動と、様々な方面で活躍し数々の代表作を持つ速水さん。
本書では幼少時代から高校生活、単身上京、声優になるきっかけ、声優人生への想いと取り組み、BL作品やネオロマンス作品出演時のエピソード、そしてこれから――と、色々な面が語られています。
また同『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』の有栖川帝統でおなじみ、そしてまさかのお笑いコンビを組んだ新進気鋭の声優・野津山幸宏さんとの師弟ロング対談も収録。
芸歴40年を越えてなお、こうして最旬を更新し続ける速水さんの止まらぬ快進撃。その原動力となった経緯や向き合い続ける思いを、本書から見ていきます。
INDEX
その上で役を演じるということは“人として豊かになる”ことが必要であり、言葉に感情がこもらなければキャラクターを作り上げることが出来ないことにも言及しています。
演じる感情は、ふだんの自分の延長線上にあるものしか出せないことから、とても重要なこと。
“たくさん恥をかき、語り合うこと”の大切さ、勇気を出して自分の中の何かを振り切って開かなければキャラクターの魅力は表現出来ないことや、実生活では自分の思考で選ばれた言葉を話すからこそ、感情がこもっているのだと伝えます。
どんなに可愛くて萌える声を出せてもそれだけでは作り物でしかない。自分の生の声で、生の表現ができるか
個人的に、今まで、声優という仕事は鍛え抜かれた選ばれし民の『声優独特のテクニカルな発声』ありきだと思い込んでいただけに、この辺りを拝読しつつ(地声だと……地声の持つ力が一番だなんて衝撃過ぎる)と目からウロコが大量にこぼれ落ちる音が聞こえそうになりました……!
自分がもともと持つ“地声”で、ふだんから読書などで磨いた感性を活かしたリアルな表現がどこまでできるか、という“自分自身の全体像”そのものから取り組み方が問われていることを、読み進めるうちに気づかされます。
BL作品については、BLという言葉が一般的になる前の時代、何も知らずに収録に向かうと『そういう関係』の場面が! おっとこれは騙されたぞ、と驚いた思い出を笑いもまじえて語ります。
その後、『炎の蜃気楼』では速水さん自身が演じる橘義明と、関俊彦さん演じる仰木高耶が20年以上もドロドロした関係を息長く演じ続けてきたことや、“男性が男性を好きになってしまった何か、好きの言葉よりも根深いところにある感情”の内面を表現出来ればという思いから生まれる役への解釈も吐露。
(BLは)“好き”という言葉よりも深いところにある感情……(中略)そんな内面を表現できればと
また、宇宙を統べる女王を育てるために守護聖が女性候補をレクチャーしていくゲーム『アンジェリーク』シリーズの光の守護聖ジュリアスについては、ライブで自身の曲を一緒に歌ってくれたり、長く応援してくれる“リーカー”と呼ばれるファンへの温かな思いも感じられました。
僕らと一緒にひとつひとつ歳を取っていくわけです。みんなで一緒に大人になっていこう、ということでいいんじゃないか。僕はそういうふうにも考えてるんです。
速水さんファンならばファン冥利に尽きる自慢の“推し”であることを再確認でき、そうでない人もこんなにもファンの方々へと思いを寄せている温かみのある描写は、きっと胸が熱くなるはずです。
本書内で速水さんが『怒られてもそこで自分の姿勢を改め、わからないことを聞いて一生懸命勉強する』と記しているように、野津山さんは“不勉強で失敗して速水さんに怒られたことを、すぐ糧に変えられるメンタル強めな部分”が評価されています。
人に楽しみを与えることができる天性のもの。それを野津山くんは持ってる(速水)
共演中の『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』についても話はおよび、野津山さんは“同じステージに立っていると、いつもよりも一層、速水さんのストイックさを感じます。芸歴が長くても常に現在進行形で、本当にすごい”と、その存在感と挑戦する姿勢に驚きを隠しません。
野津山さんは初めての経験として『相手なしで収録する特殊性のある現場』がヒプノシスマイクだったことも明かし、その時経験した気持ちについてストレートに吐露。それを受ける速水さんとのラリーは、そのあともテンポよく続きます。
同じステージに立っていると、いつもより一層、速水さんのストイックさを感じます(野津山)
この師弟対談の文面を目で追っているうちに、なぜかだんだん動物の親子癒やし動画を見ている時のような気持ちになってきました……。温もりをありがとう、ラッシュスタイル。
余談ですが、この対談では速水さんが「今度は『M-1グランプリ』にでも出場してみようか(笑)」と野津山さんに呼び掛けるシーンもあり「このあと、本当に実現したんだ……」とM-1コンビ結成のきっかけを覗き見してしまったような気分になりました。
そして巻末で速水さんは、少し先の未来に向けて“去年よりも一昨年よりも、これから僕の活動は活発になる”と断言。今よりもアグレッシブに攻めていくことを明かします。
最旬の今よりも、さらにその先へ。芸歴40周年を越えてなお、演じ手として、教え手として自身の進化を加速させていくベテラン声優・速水奨さんから、これからも目が離せません。
大きく広げた羽の中で、慈しむように丁寧に後進育成に尽くしながらも、あくまで自身の演じ手としては『攻め』のスタンスは崩さないという、その大胆な男気を併せ持つ姿。
変わり映えのない明日を待ち望まず、時計の針は左には進まないことを知りつつも
ときにアグレッシブに、ときに華やかに、決して後ろには下がらない歩みを見せる速水さん。
本書で明かされるその“華”の秘密を、声優志望の方にも、そうでない方にもぜひその目で確かめていただきたいと強く感じる一冊でした。
書名:速水奨 言葉に生きる、声に込める
著者:速水奨
定価:本体1200円+税
ISBN:978-4-86113-349-7
Cコード:0074
判型:四六判ソフトカバー
発売日:2019年9月10日
発行:くびら出版
発売:サンクチュアリ出版
【対談】速水奨×野津山幸宏
【付録】出演作品リスト
■M-1グランプリ2019に出場
野津山幸宏と師弟コンビを組み、コンビ名「ラッシュスタイル」でM-1グランプリ2019に出場します。
1回戦(9月1日(日)新宿シアターモリエール)を通過し2回戦に挑みます。
二人の活躍に目が離せません。
<代表作>
超時空要塞マクロス(マクシミリアン・ジーナス)
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(ヴァニラ・アイス)
ご注文はうさぎですか?(チノの父 タカヒロ)
BLEACH(藍染惣右介)
Fate/Zero(遠坂時臣)
ラップバトルプロジェクト「ヒプノシスマイク」(神宮寺 寂雷)
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