ぶつかり合うパイロット候補生たちと、そこに現れた新入生
宇宙からの侵略者・エネミーから地球を守るため、人類は人型兵器
“ヒューマノイドアームズ”を生み出し、戦いを繰り広げていました。
物語の舞台は、そんな“ヒューマノイドアームズ”に搭乗するパイロットを育成する、地球防衛組織“シャイニングユニバース”。
トップチームに所属するパイロット候補生、トキヤ・イチノセ(松村龍之介さん)、ナツキ・シノミヤ(山川宗一郎さん)、セシル・アイジマ(横井翔二郎さん)の3人は、優秀な成績とは裏腹にチームワークはイマイチ。
そんな3人のもとに、新人パイロット候補生、ヒロ・サニーライン(安里勇哉さん)が配属されます。一般人から候補生に採用されたヒロは、右も左も分からず、訓練でも足を引っ張ってばかり。しかしヒロの真っ直ぐな心根は、次第にナツキ、セシル、そしてトキヤの気持ちを動かしていきます。
特にヒロの純粋さが垣間見えるシーンが、
“アームズシンフォニー”について語るシーンです。
“アームズシンフォニー”とは、“ヒューマノイドアームズ”4機が完全にシンクロした時にのみ放つことができる粒子ビームのこと。「必殺技は男の子の夢です!」と目を輝かせて語るヒロでしたが、同調して一緒に必殺技の練習をするナツキ、セシルに対して、トキヤは終始呆れ顔。こんな調子では、シンクロ率100%を達成するなど夢のまた夢です……。果たして4人は、“アームズシンフォニー”を使うことは出来るのでしょうか!?
エースパイロット、トキヤ・イチノセの孤独な決意
そもそも、何故トキヤはそこまで頑ななのか。それには、彼の家庭事情が関係しています。
トキヤの父親は“シャイニングユニバース”の総司令官エンゲルバーグ・イチノセ(和泉宗兵さん)。トキヤは総司令官の息子として、常にトップを走らなければいけないと自分に課しているのです。
しかし父のエンゲルバーグは、トキヤ達のチームのシンクロ率の低さを指摘し、彼を正規パイロットに起用しようとはしません。思わずチームの改変を要求するトキヤに、エンゲルバーグは激昂。父には、息子に欠けている大切なものが分かっているようです。
トキヤがここまで必死に正規パイロットを目指すのは、単に総司令官の息子だからというだけではなくて――。父と子の複雑な心情とやりとりにも注目です。
“奇跡の子”と呼ばれる心優しい青年、ナツキ・シノミヤ
初めてエネミーが地球に上陸攻撃を行った際に起きた大規模災害
“ファーストコンタクト”。資料室でその映像資料を見ながら、ヒロはその災害時にただ一人生き残った
“奇跡の子”がナツキ・シノミヤであることを知ります。
“ファーストコンタクト”以前の記憶がないナツキは自身の家族の顔も覚えていません。それでも彼は、綺麗なものを綺麗と感じ、人を思いやる純粋な心の持ち主です。人と違うのは“ヒューマノイドアームズ”に共鳴する“シンパシー率”が他の候補生より高いということだけ。
ナツキが唯一覚えているのは、“ファーストコンタクト”以前の地球の青い空。
地平線のかなたまで続くような澄み切った青空は、今まで見たどんなものよりも美しかった、その美しい光景を取り戻すためにエネミーと戦うのだとナツキはセシルに語ります。
2人の姿をそっと見ていたトキヤは、自分にはない感性を持ったナツキの考えに、複雑そうな表情を浮かべるのでした。
明るい笑顔の裏側で――“アンノウン”として苦悩するセシル・アイジマ
一方のセシルも、出生の記録がないことから
“アンノウン”と呼ばれ、学園では有名な異端児でした。さらにセシルは
“プレコグニション値”と呼ばれる予知能力が異様に高く、相手の考えていることが手に取るように分かってしまうのです。
人の考えが読み取れるがゆえに、パイロット候補生たちのエネミーに対する怒り、恐れ、そして絶望の気持ちが流れ込んでくることにセシルは苦悩していました。
だからこそ、訓練を重ね、自らの力を制御できるようになったことで、やっと出来た仲間であるトキヤやナツキを大事に思っているのです。
相手の考えが読み取れるからこそ、対人演習が苦手だったセシルですが、ヒロとナツキの言葉に背中を押され、前向きに訓練に参加するようになります。“優しさ”は“強さ”になる――変わっていくセシルの姿は周囲にも影響を与えていきます。
個性豊かなオリジナルキャラクター達の見せ場も!
ヒロやエンゲルバーグの他にも、個性の強いオリジナルキャラクターが登場します。
ニ番手チームのリーダー、レグスター・サクラバ(柏木佑介さん)は、ヒロを唆して自分のチームに引き入れようとしたり、訓練中に突然勝負を挑んできたりと、トップチームであるトキヤ達に何かと絡んできます。傍若無人かと思いきや、実はチーム思いの熱い男で、後輩にも慕われている様子。
そんなレグスターのチームに新人として配属されたのはラプラス・カールソン(石渡真修さん)。田舎育ちで人とのコミュニケーションに慣れていないという彼は、「都会では尊敬する相手にはこうするんだと思って……!」とチームメイトの頬にキスをするなど、無邪気な言動で周囲を振り回します。
ヒロやラプラス、新入生たちの加入でざわめく“シャイニングユニバース”ですが、学園の片隅では、ある異変がおこりはじめていていました。
強大な敵に立ち向かうなかで、パイロット候補生たちが見つけ出す、戦う意味とは、仲間とは――そして、本当の“強さ”とは。
星のように輝くライトの下で! レビューコーナーも目が離せない
「劇団シャイニング」の名物であるのが、物語本編終了後のレビューコーナーです。
過去3作の「劇団シャイニング」とは構成を変えて、まず披露されたのは、今作の原案となった「うたの☆プリンスさまっ♪ シアターシャイニング」のテーマソング『ポラリス』!
イントロが流れると、パイロットスーツから煌びやかな衣裳に着替えたトキヤ、ナツキ、セシルがコックピットに座って登場! 足を組んで色気たっぷりの表情で現れた3人、本編とのギャップにクラクラします。歌もダンスも非常にクールです。
『ポラリス』の後に披露されたのは、舞台オリジナルソング。
トキヤのソロ曲『ALIVE』は彼の本音がこらえきれず溢れたような切ない1曲。トキヤ・イチノセ役の松村さんの切れ味のあるダンスも見どころです。
ナツキ、セシルのデュエットソング『STAR MATE』は振り付けも含めてかわいらしい1曲。客席へのファンサービスを欠かさないセシル・アイジマ役の横井さん、長い手足を大きく使ってパフォーマンスするナツキ・シノミヤ役の山川さん、どちらも魅力的です。
最後に披露されたのは『SHINING REVUE』で生まれた楽曲『SHINING LOVE~感謝と愛を~』。観客とステージを繋ぐ「劇団シャイニング」お馴染みの曲とパフォーマンスで、会場のボルテージはMAXに! 興奮冷めやらぬままの終演となりました。
まとめ
「劇団シャイニング」シリーズの新たな幕開けを飾った『ポラリス』。衣裳、演出、脚本等の揺るぎないクオリティの高さに加え、シリアスな本編と華やかなレビューコーナーのメリハリ、役者陣の熱い芝居とパフォーマンスは観る人を裏切りません。10月からは俳優陣による旅番組『たびメイト』の放送も始まる「劇団シャイニング」、今後の展開も非常に楽しみです。
執筆:通崎千穂 @tsu_otometsu
編集:白鳥雅@numan_miyabi
■DATA
劇団シャイニングfromうたの☆プリンスさまっ♪『ポラリス』 |
公演日程 |
【東京】2018年9月13日(木)~9月23日(日) 【大阪】2018年10月5日(金)~8日(月・祝) |
会場 |
【東京】AiiA 2.5 Theater Tokyo 【大阪】梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ |
チケット取り扱い |
イープラス(http://eplus.jp/gs-polaris) |
キャスト |
トキヤ・イチノセ役:松村龍之介 ナツキ・シノミヤ役:山川宗一郎 セシル・アイジマ役:横井翔二郎
ラプラス・カールソン:石渡真修 エンゲルバーグ・イチノセ:和泉宗兵 レグスター・サクラバ:柏木佑介
ヒロ・サニーライン:安里勇哉
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アンサンブル |
池田謙信、岩倉隼人、小川恭平、小山蓮司、坂本和基、澤邊寧央、細川晃弘、堀部佑介
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原案 |
「うたの☆プリンスさまっ♪ シアターシャイニング『ポラリス』」 |
脚本・演出 |
ほさかよう(空想組曲) |
音楽 |
Elements Garden |
主催 |
劇団シャイニング |
公式サイト |
http://gs-polaris.com/ |
公式ツイッター |
@gekidan_shining |
Copyright |
©劇団シャイニング |