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舞台『ジョン万次郎』は、若手実力派俳優で『仮面ライダー』シリーズなどで活躍した溝口琢矢さんが主演。万次郎の波乱万丈の人生を描いた作品です。
囲み会見で溝口さんは、「ジョン万次郎は周りの人に支えられて成長していった人物です。色々な人から色々なものを吸収して、彼がどう成長していったのかを見て頂けたらと思います」とコメント、緊張感を見せながらも今日から始まる公演にワクワク感を隠せない表情を見せていました。
物語は、万次郎たち土佐の漁師たち一行が荒波の中遭難する場面からスタート。たどり着いた島で数ヵ月過ぎたある日、遠くに捕鯨船が。最初は初めて見る異国人に「人食い鬼じゃー!!」と慌てふためいたものの、万次郎は「あの人たちの言葉を覚えたいんじゃ」と持ち前の好奇心旺盛な性格からグイグイとメリケン(アメリカ)人たちと距離を縮めていきます。ハワイ島を経て、彼らとの生活を重ねる中で、ホイットフィールド船長(細貝圭)から耳にした言葉「Never give up」が、万次郎の胸に強く刻まれることになります。
文化の違いや差別による苦しみに遭いながらも、少年から青年への日々を異国の地で生き抜く万次郎の姿は、観る者を一気に引き込んでいきます。
万次郎とともに歩む五右衛門を演じた石原壮馬さんなど、同世代の俳優たちの正面からぶつかっていく姿や、ジョリーと武市半平太という二役を見事に演じ切った荒木宏文さん、また、勝海舟の軽やかで人情味あふれる人柄を笑いを交えて演じた山崎樹範さんの存在感もこの作品の大きな見どころ。
ちなみに、勝海舟とジョン万次郎の思わず笑ってしまうコントのようなワンシーンもあり、おそらく本番での日々の変化も楽しみな場面の一つになるはずです。
囲み取材では、「ジョン万次郎は、初めてアメリカに渡った日本人として有名ですが、学校の授業では習わない部分や知られていない部分も多かったりします。その中で、今回、舞台を通して“こうした人生を歩んだ人なんだ”ということが伝わったらいいなと思います」とコメントしていた溝口さん。その言葉通り、ジョン万次郎の人生に驚かされ、出会った人たちとの交流の深さにその都度、心動かされます。
物語の終盤、“開国”に向けて揺れ動く日本の中で、ジョン万次郎が思いの丈を吐き出すように語り尽す場面は圧巻。感情を爆発させ、溢れる思いを叫びつつけるジョン万次郎の姿は、今を生きる人への大きなメッセージとしても響いてくるはずです。
ジョン万次郎という歴史上の人物が、溝口琢矢さんをはじめとする若い俳優たちの背中を押し、それが舞台上で大きなパワーとなって湧き上がってくるこの作品。
間違いなく、観終えた時に爽快感を残してくれる作品です。
取材・文/田部井徹(トリーヌ)
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