中村優一、鮎川太陽らが熱演！　舞台『NORN9 ノルン+ノネット』ゲネプロレポート

2016年にはテレビアニメ化もされたオトメイトの人気乙女ゲーム『NORN9 ノルン+ノネット』がついに舞台化。

“能力者”と呼ばれる特殊な力を持った少年少女たちが、“世界”と呼ばれる組織によって召集され、飛行船“ノルン”に乗って旅をする物語です。
乙女ゲームでありながら、ヒロインが3人存在し、1人のヒロインに対して3人ずつの攻略対象キャラクターがいることが大きな特徴となっています。

過去の記憶を持たない少女、こはる（築田行子さん）は、ある日“旅人”に“こはる”という名前を与えられ、17歳になる年に“ノルン”に乗るよう教えられます。

17歳になった彼女は、自分を迎えに来てくれた結賀駆（中村優一さん）の手をとり、“ノルン”に乗船することに。

駆は植物を自在に扱える能力を持っており、その能力で植物を育てたり、時には攻撃から皆を守ったりもできます。そんな駆の能力をうらやましく思うこはる。彼女の能力は、駆の能力とは正反対の力なのです――。

“ノルン”に乗船しているのは、いずれも個性豊かな少年少女たち。
まずこはるに船を案内してくれたのは、皆のまとめ役でもある遠矢正宗（鮎川太陽さん）。けだるそうに現れる神出鬼没なサングラスの男は室星ロン（松波優輝さん）です。

そんなロンを叱りつけるしっかり者の少女、久我深琴（西園みすずさん）は結界を張る能力を持っており、船を外部の襲撃からも守ります。そんな彼女を支えるのは幼馴染の二条朔也（安達勇人さん）。穏やかで中性的な雰囲気の持ち主です。
幼いころに“ある約束”をしている2人の複雑な関係性が今作の舞台のカギとなります。

宿吏暁人（橘龍丸さん）はぶっきらぼうに見えて面倒見がよく、皆の料理を作ってくれます。不知火七海（影山靖奈さん）はそんな暁人をいつも気遣っていますが、暁人の方は何故か七海に冷たく接していて……。
この2人の過去が明らかになるシーンも大きな見どころでした。

部屋に引きこもっている市ノ瀬千里（辻諒さん）は誰ともコミュニケーションを取りたがらず、そのくせ、どこか寂しそうにしています。
その場の空気をぱっと明るい雰囲気にしてくれるのが乙丸平士(竹田亮さん）と加賀見一月（本川翔太さん）。平士はテレパシーの能力、一月は他人に夢を見せることができる能力を持っています。

能力を公表しているのは駆、深琴、平士、一月の4人のみ。その他のメンバーの能力、そして彼らの能力は、何故"世界"に必要なのか――それは物語の中で解き明かされていきます。

深琴が自らの結界に違和感を覚えたある日、“ノルン”が襲撃されるという事件が起きます。
襲ってきたのは吾妻夏彦（鷹松宏一さん）とその部下の滝島雪（川岸銀次さん）。見たこともない銃を扱い、高い戦闘能力“能力者”たちを追い詰めます。

彼らの目的は“結界の能力者”の深琴を確保すること、“炎の能力者”を確保すること、そして“リセット”を否決させることだと言います。“リセット”――初めて聞く単語に深琴は戸惑い、動揺します。

そして混乱の最中、“ノルン”に1人の幼い少年が迷い込みます。彼の名は鈴原空汰（最上みゆうさん）。
空汰は自分が2018年の未来からやってきたと言います。今は1919年（大正8年）――それを聞いた空汰は「第1次世界大戦があった年だ」と言いますが、戦争なんてありえない、と語る“能力者”たちに空汰は混乱します。

深琴曰く、彼女の結界は内側から爆破されており、おそらく乗船者の中に内通者がいるという憶測にたどり着きます。突然現れた空汰、そして正体不明の内通者……疑心暗鬼になる彼らですが、リーダーの正宗の提案で二人一組でペアを組んでお互いを見張る、もとい、“守り合う”ことになります。

女子メンバー同士で組むのは外敵が現れた際に危険だから男女でペアを組むことになり、深琴は朔也を、七海は暁人を、そしてこはるは駆をペアに選びます。
正宗とロン、一月は平士と組むことになり、千里が空汰の面倒を見ることに。

空汰と触れ合ううちに見えてくる引きこもりの千里の過去、そして本当の気持ちが物語の中盤を大きく動かしていきます。

そして夏彦と“ノルン”の抗争の影で暗躍する“旅人”――結賀史狼（緑川睦さん）の存在。こはるに名前をくれた彼の本当の目的とは。
「この世界は生かす価値があるか、この世界は生きる価値があるか」。それぞれのキャラクターの過去と“能力”を通じて描かれるこの作品のテーマは観る人の心にぐっと刺さってくるはずです。

ゲネプロ終了後の囲み取材では、15名のメインキャストを代表して、座長の中村優一さんとヒロインを演じる3名よりコメントをいただきました。

久我深琴役：西園みすずさん
今回舞台オリジナルストーリーなのですが、皆それぞれが誰かのために生きていて、1人1人が強く優しいので、皆のことを好きになってもらえるのではと思っています。ぜひ沢山の方に観てほしいと思います。

不知火七海役：影山靖奈さん
原作を知らない方にも分かりやすい物語になっているので、原作を好きな方も、初めての方もぜひこの舞台『NORN9 ノルン+ノネット』の世界に浸っていただいて、テーマである「この世界は生かす価値があるか、この世界は生きる価値があるか」を持って帰っていただけたらと思っています。

こはる役：築田行子さん
沢山の愛が詰まっている物語になっているので、沢山の方に愛を伝えられたらいいなと思っています。

結賀駆役：中村優一さん
和気藹々としたカンパニーで、本当にストーリーと同じように皆が“仲間”になったなぁという感じがすごくしています。
この“仲間”たちと千秋楽まで突っ走りたいと思います。ぜひ劇場にお越しください！

乙女ゲーム原作でありながらも、多様なキャラクター性、そして“能力”を持った少年少女たちの心のふれあいが繊細に描かれたことで、人は何を以ってして“生きている”と言えるのか――そんなことを考えさせられる舞台でした。誰に感情移入して観るかによって、舞台全体の感想がだいぶ変わってくるかもしれません。それもまたヒロインが3人いるこの作品の特性だと感じました。

舞台『NORN9 ノルン+ノネット』は21日（日）まで草月ホールにて公演中。詳しい情報はぜひ公式サイトまたは公式Twitterにてご確認ください！