小波津亜廉&横田龍儀インタビュー!舞台『ノラネコシティ』猫耳をつけると背中がムズムズ…とは?

12月3日に幕を開けた、舞台『ノラネコシティ』
登場人物全員がノラネコシティで生活する猫役ということで、猫耳ビジュアルも話題を集めている本作。あるものを求めてノラネコシティにやってきた黒猫のクロを演じる小波津亜廉さん、売れっ子俳優のアッシュを演じる横田龍儀さんに舞台の見どころをお聞きしました。
舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

クロとアッシュの性格は自分と真逆!

――舞台『ノラネコシティ』はどんなお話ですか? おふたりの作品への第一印象は?

小波津亜廉(以下、小波津) 舞台はノラネコシティという街で、特殊な能力を持っている人たちがいて、いろいろな事件が起きたり、その人たちのドラマが描かれる群像劇です。最初に原作を読んだときに感じたのは、自分がこの人だったりあの人だったりしたら、どんな風に立ち回るんだろうなということ。ファンタジー作品ですがリアルなんですよね。

横田龍儀(以下、横田) そう、すごくリアルなんです。ノラネコシティの世界観を現実世界に置き換て見られちゃう。

小波津 だから、いろいろと衝撃的でした。あまりこういう作品に触れることは多くなかったですし。

横田 僕も今回のお話をいただいて原作を読んだときにまず思ったのが、登場人物はみんな猫で黒猫が不吉だと言われていたりしますが、これって人種差別にも置き換えられるよなって。能力者と非能力者の格差も貧富の差なんかに置き換えて考えられるし。この舞台を通して、自分や社会のことを改めて考えさせてくれるような作品だと思いました。人ではなく猫として演じるからこそ、じゃあ現実ならって考えちゃうとけっこう……。

小波津 辛かったりするよね。

横田 そうなんですよね。俺がこれをどう演じれば、お客さんに伝わっていくんだろうというのはすごく考えています。

小波津 ファンタジーだけどリアルなんだよね。

横田 こういう言い方がいいのか分かりませんが、うまい発想だなって。

小波津 たしかに! 猫たちの社会がどういう風になっているのかって分からないじゃないですか。もしかしたら、強い猫と弱い猫がいて差別があったりするかもしれない。そういう想像が膨らむ作品だし、人間社会にも置き換えて考えられる。お客さんにも両方想像してもらえるんじゃないかなって思いました。

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉インタビュー

――小波津さん演じるクロ、横田さん演じるアッシュはそれぞれどんな役どころでしょう?

小波津 クロは抱えているものがあって。黒猫という存在が虐げられてきたという過去もあり、ノラネコシティで龍儀くん演じるアッシュと出会って変わっていくのかな? どうかな? という役どころです。クロ自体もなかなかつかみどころがなくて。僕、黒猫についてもいろいろ調べたんですが、けっこう恥ずかしがり屋な性格が多いみたいで。一般的な黒猫ほど恥ずかしがりではないと思うんですけど、クロも異質な存在ではあります。ネタバレにならない範囲で言うと、探し物をしているんですけどそれを見つけられるのか……?

横田 アッシュについて僕が思ったのは、正義感が強い。普通だったら、それは見逃してもいいんじゃないか、触れないほうが生きていくには楽なんじゃないかっていうものにあえて接して茨の道を行くような人――というか猫ですね。売れっ子のスーパーモデル兼若手俳優としてノラネコシティの住人からも知名度がありつつ、有名になって環境が変わっても一貫した強さを持っているのがアッシュです。

――おふたりは今回が初共演とのことですが、小波津さんがクロ役、横田さんがアッシュ役とお聞きになった際はどうでしたか?

小波津 今回が初対面ではありましたが、龍儀くんと共通の知り合いは多くて。龍儀くんがアッシュ役と聞いたときに龍儀くんだったらクロと真逆な僕を受け止めてくれるんじゃないかと思って(笑)。クロって達観していて人との関わり合いが苦手なタイプですが、僕はおしゃべりだし前のめりに人と関わっていくタイプなので、このギャップを龍儀くんなら受け止めてくれるんじゃないかなって勝手思ってました。

横田 あはははは!(笑) 僕もね、アッシュとは真逆で自分はクロタイプなんですよね。

小波津 それね! どっちも真逆なのが面白い(笑)。

横田 まあ、クロタイプっていうかたんに人見知りなんですけど(笑)。自分からはなかなか行けないので、グイグイ来てもらえると本当に嬉しいです。共通の知り合いもいて舞台も拝見したことはあったのですが、クロ役ということもあって今日会うまでは実は怖い人なんじゃないか……って思ってました!

小波津 え~!(笑)

横田 ほんとほんと。僕、今日は入りが先だったので、メイクさんに「小波津さんてどんな人ですか?」って聞いて探ってましたもん!

小波津 でもね、第一印象は怖いって言われがち。話していくうちに「この人おバカなんだな」ってバレちゃう(笑)。ふたりとも舞台上では自分とは真逆のクロとアッシュを演じるのって面白いよね。

横田 楽しみです!

舞台『ノラネコシティ』横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』横田龍儀インタビュー

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この群像劇を、誰視点で見るべきか?

この群像劇を、誰視点で見るべきか?

――原作の小説や脚本を読まれて、今作はどんな舞台になりそう、どういうところに力を入れたいと思われましたか?

小波津 今回僕ら演者が大事にしなきゃいけないのは、集中力

横田 そうですね。

小波津 登場人物にそれぞれのドラマが描かれていますが、話の本筋は一緒なので。ひとつのストーリーのなかでそれぞれのドラマが時間軸を行ったり来たりしながら描かれています。だから、お客さんに流れをつかませるのが僕らの仕事だと思っていて。逆にカチッとはまったときは引き込まれると思うんです。あとは、舞台上で行われていることに対して、何が起きてこうなっているのか、この先どうなるのか推理してほしいです。

横田 難しい舞台だけど、テンポ感はよくなりそう。

小波津 テンポは絶対いいと思う!

横田 役者陣はシビアに覚えなきゃいけないことがいっぱいありそうだけど、そういう一連がひとつにはまったときに僕らもお客さんも見ていて気持ちがいい作品になるんじゃないかと思います。

小波津 アンサンブルさんとの関わりも重要そうだよね。

横田 うんうん。出演メンバーみんなが協力して、ひとつの作品を作り上げていくなかで、お客さんはそれを見ながらパズルのピースを集めてもらって。最後に合致するのか、人によっては合致しないかもしれない……。そのなかで自分はこういう意見を持ったよって話せる作品になると思います。

小波津 けっこう場面転換も多いので、お客さんは目を離しちゃうと大変そう。

横田 トイレに行っていられないですね(笑)。

舞台『ノラネコシティ』横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』横田龍儀インタビュー

――いろいろな視点でドラマが描かれるということですが、原作や脚本を読まれる際おふたりは“誰視点”で見られてましたか?

小波津 僕はけっこうアッシュ寄りに見ていたかも。

横田 そうなんだ!

小波津 最初は自分の主観で見ていて、ノラネコシティには「Ψ(サイ)」の特殊能力者がはびこっているからアッシュを主体として見たときに彼ってなんでこんな行動ができるだろうと思って。人気俳優で超売れっ子モデルのアッシュが忙しくしているなかでも、本当にやらなければいけないことを優先できる。自分ならこんな風にできるだろうか? って思いながら見てました。

横田 僕はね、ウィッカーシャム(神里優希さん)の視点で見てました。

小波津 ウィッカーシャムか~! 一番人間っぽいもんね。

横田 ウィッカーシャムは「Ψ(サイ)」の能力を持たない猫なので、その葛藤が普通の人間が抱えているものと近いかなと思って、原作や台本を読んでいるときも共感しました。あと今回は、原作と台本でちょっとだけ変わっている部分があるので、ドーラ視点で見るのも面白そうです。

小波津 たしかに、ドーラ視点も面白そう!

――ノラネコシティにはいろいろな「Ψ(サイ)」能力の持ち主がいますが、おふたりが実際にあったらいいなと思った能力は?

小波津 うーん、ドーラの能力かなぁ。自分と人の場所をチェンジできる能力って便利そう。

横田 俺は、特殊能力はいらないです! 能力があるから、こういう争いとかが起きるんだから、必要ないんじゃないかって思っちゃいました。

小波津 でもあったら便利だよね、夢があるし。

横田 それはまあね……。可能なら台本をすぐに覚えられる能力がほしい!(笑)

小波津 それは最高!(笑) あと、見た目を瞬時に変えられる能力もいいよね。

横田 体形とか気にせず、好きなものを食べられますよね。

小波津 役の幅も広がりそうだしいいなって思います。

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

猫耳をつけると背中がムズムズ?

――衣裳ビジュアルのお写真も公開されていますが、撮影はいかがでしたか?

小波津 ウィッグに猫耳をつけてもらっていて。ただ、猫耳ってそれぞれが理想としている猫耳像があるじゃないですか(笑)。

横田 わかります、わかります(笑)。

小波津 自分が理想とする猫耳になれているのかっていうのは常にあって。おかげ様で皆さまからの評判もすごくよかったんですけど、猫耳をつけてるときはこう、背中のあたりがちょっとむず痒い感じがありました。撮影はすごく楽しかったんですけど!

横田 しっぽもつけさせてもらったりして。

小波津 逆に猫耳とかしっぽって舞台上で演技をするときにどう活かすかだよね。猫って感情がしっぽや耳に出るじゃないですか。そこを活かした、猫であり人であるという、人と猫をミックスしたようなキャラクターづくりができたら面白いんじゃないかと思ってます。

横田 しっぽを握ったりするシーンもありますからね。台本にあるところだけでなく、台本にないところも自分たちで考えて作っていけたら面白いだろうなと思います。ただ、猫耳をつけてるときはやっぱりむず痒かったです(笑)。

小波津 あとクロは黒塗りもするんで、人にくっつくような人懐っこいキャラクターじゃなくてよかったって改めて思いました。僕かなり汗っかきだからメイクがついちゃう……。

横田 冬場でよかった!

小波津 たしかに、夏場だとヤバかったかも……メイクが汗で流れてクロがシロになっちゃうところでした。

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉インタビュー

――ノラネコシティの猫役ということで、猫観察などもされていますか?

横田 今回の舞台が決まる前からなんですけど、猫とか犬の動画を見るのが大好きなんです。ただ、今回の役が決まってからは見方がちょっと変わりました。怒ってるときの動きとか、あの背骨の動きを人間として表現するなら? とか。猫らしさをたくさん出したほうがいいのか、やり過ぎないほうがいいのかも考えたり。

小波津 いろいろ試したいよね。動画として投稿されている猫って飼い主さんに大事に大事にされてる猫ちゃんだから、リアルな野良猫ってどうなんだろうとも思います。

横田 たしかに、東京で野良猫ってあんまり見ないかも。

小波津 あんまりいないので、街中に野良猫がいると目が追っちゃいますね。目が合って、むこうがどう感じてるのかは分からないんですけど……。こっちが引いても向こうは動かないけど、こっちが一歩でも前に出るとパッて逃げていくから。いろんなところで出会える猫たちの動きも観察したいよね。

横田 それが実は俺、猫アレルギーで……。

小波津 そうなの!?

横田 猫は見るの好きだし、猫カフェとか行って触りたいくらいなんですけど残念ながら……。

小波津 猫アレルギーで猫役かぁ……。

横田 そうなんです。実家で犬は飼ってたんですけど。

小波津 うちも犬飼ってた。同じ動物でも犬と猫だと全然違うよね。犬って呼んだら来てくれるけど、猫は呼んでも来ないじゃないですか。人が忙しいときに邪魔するかのように寄ってくるのって羨ましいなって思います。

横田 猫ってめっちゃ天邪鬼ですよね。道端で猫を見かけて、かわいいなぁでも触れないんだごめんねって離れようとすると寄ってくるんですよね……。

小波津 あはははは!(笑)

横田 違う違う違う、来ちゃダメ来ちゃダメって(笑)。

小波津 羨ましい、俺はすぐ逃げられちゃう

横田 たぶん、好きで触ってきそうとか分かってるんじゃないかな。

小波津 人の心を分かってそうだよね。

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自分がノラネコシティで生活するなら

自分がノラネコシティで生活するなら

――舞台『ノラネコシティ』の登場人物で、ご自身が親しくなれそうだと思う人は?

小波津 いなくない?

横田 いないかもしれない。

小波津 みんなクセが強すぎて……。アッシュは唯一受け止めてくれそうだけど、超忙しくしてるから親しくなっても一緒にいられなさそうだし。クロにいっぱい話しかけたら「お前うざい」とか言われてへこんじゃうと思うし。まあ、どの登場人物とも友達になれるって勝手に思ってますけど!(笑)

横田 俺はそうだな、友達になるとしたらアビー(三井淳平さん)かな。ちょっと性格が似ているというか、せっかちなところとか車に乗ってるときのアビーに親近感がわくというか。

小波津 龍儀くん、スピード狂なの?

横田 アビーほどではないですが、前の車がめちゃくちゃ遅いと「この速度だと渋滞が起きるぞ?」とか考えちゃいます。

小波津 うちはね、母親が運転するとき元気になるタイプだったので、その反面教師で冷静に運転してます。でもやっぱり、熱くなる瞬間はあるよね。東京って交通量も多いから。

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

――ご自身がキャットランド市(ノラネコシティ)で生活することになったらどうしますか?

小波津 僕はけっこうのらりくらりと冒険すると思います。ドーラのところに置いてもらったりどこか1か所で働くんじゃなくて、いろんなところに行っていろんな人に会ってみたい。

横田 一般市民でも銃を持たないといけないような場所なので、僕はすぐにノラネコシティを出ると思います。

小波津 そっかー。俺は海外旅行するときも、危ない場所でも念入りに下調べして現地の知り合いについてきてもらって、危なくない時間帯にちょっとだけ見に行ったりするほうなんだけど。

横田 俺はもうそれを想像するだけでいいかなってなります(笑)。

小波津 日中の警察がいるような時間帯にちょっと見るだけでも、まあまあ勇気がいるからね。

横田 俺は今回の劇場「新宿FACE」がある歌舞伎町ですら、プライベートなら行くの迷います。人もいっぱいいそうだし。

小波津 たしかに、僕も人ごみは苦手なんだよね。沖縄出身なんで、人とすれ違ってぶつかるようなことって東京で初めて体験した。

横田 そうなんですよ! 僕も福島県の川内村ってところ出身なので、人が多いところが苦手で……。

小波津 東京に出てきて、人とぶつかっても何も言わずに通り過ぎるとか、そもそも避けようとしないとか、「すみません」って声かけても誰も止まってくれないとか本当にびっくりした。

横田 ノラネコシティもそんな感じなのかもしれないですね。

――舞台『ノラネコシティ』への意気込みをお願いします。

横田 最初にも少しお話したとおり、視点を変えると現実世界にも置き換えられる作品なので、自分の生きている世界のどこかでこういうことが起きているかも……と意識してもらって皆さんの視野を広げるお手伝いができれば嬉しいです。僕ら演者も精一杯演じさせていただきます。脚本・演出の久保田唱さんも本当に素敵な方なので、久保田さんの演出に僕らもいろいろ提案をしてより楽しい舞台にしていきたいと思っています。

小波津 たくさんの登場人物がいて、たくさんのドラマが描かれるなかで、主軸としての本筋をいかにお客様に伝えられるのかが今回の鍵になってくると思います。ありがたいことに久しぶりの主演ということで、自分が共演者やスタッフの皆さんをぐっと押し上げられるような立ち回りができたらいいなと思っています。ぜひ劇場に足を運んでくださいね。

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

舞台『ノラネコシティ』小波津亜廉&横田龍儀インタビュー

撮影/徳永徹

ストーリー

生き抜くために必要なのは「力」か、それとも――

違法ドラッグと超能力が跋扈する犯罪超過都市――通称『ノラネコシティ』。
その一角で今日もまた、厄介な事件が巻き起ころうとしている……。
犯罪が日常茶飯事のこの街に、あるものを求めてやってきた『黒猫』クロ。
そこで彼が見たものは、特殊能力『Ψ』を持つもの、持たざるもの…
軍警が追う『絶対に捕まらない』薬の密売人、
新人女優につきまとう『透明な』ストーカー、
そして『悩み』を抱えたスーパースター、
彼らの視点が交差するとき、事件の真相が浮かび上がる…。

舞台概要

舞台『ノラネコシティ』

【原作】「ノラネコシティ」ビーズログ文庫アリス・KADOKAWA
著者:木崎ちあき、イラスト:鈴木次郎
【公演期間】2022年12月3日(土)~12月11日(日)
【会場】新宿FACE
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町7F
【スタッフ】 脚本・演出:久保田唱
【キャスト】 小波津亜廉/飯窪春菜、三井淳平、田中晃平、新井將、神里優希、北澤早紀(AKB48)/横田龍儀
【公式サイト】http://noranekostage.delight-act.com
【公式Twitter】@noraneko_stage

© 2022舞台「ノラネコシティ」製作委員会

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numan編集部

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