「私すぎる…」SNSで共感する人続出のキャラ『いしよわちゃん』、人気の秘密は“リアルさ”にあり?生みの親にインタビューしてみた

うさぎやイヌなど動物をモチーフにしたかわいらしいキャラクターは、一昔前までは“子どものため”というイメージを持つ人が多かったのではないでしょうか。ですが、近年では大人でも“キャラクター推し”が増え、街中でもキャラクターグッズを身につけている人を老若男女問わず見かける機会が多くなりました。

そんな現在、SNSを中心に特に注目を集めているキャラクターがいます。『リラックマ』『すみっコぐらし』などで有名なサンエックス出身の、『いしよわちゃん』です。

 

 

2024年4月の公式Xアカウント開設から、わずか半年でフォロワー5万人を突破。現在(※2025年1月)は6.5万人以上のフォロワーを抱えているキャラクターです。

Xでの投稿を見ると、会社員として働きながら推し活をしたり、早く寝なきゃと思いつつ夜更かししてしまったりと、私たちと同じような“リアルな日常”を過ごしている様子。そんな投稿の一つひとつに、「めちゃくちゃ分かる!」「私じゃん……」などの共感コメントが多く寄せられています。

一体なぜ、これほどまでに共感を呼んでいるのでしょうか。いしよわちゃんの作者さんに話を聞くと、「フォロワーに語りかけるような投稿はせず、ただただ日常を発信している」など、Xでの発信におけるこだわりポイントが明らかに。

さらに、「サンエックスの他キャラクターと比べると珍しく、いしよわちゃんは、私たちと同じ現実世界を生きている」などの秘密も特別に教えてくれました。

会社員で、意志が弱い…共感を呼べるキャラクターを作りたかった

ーーまずは、いしよわちゃんの基本情報について教えてください。一体どんなキャラクターなのでしょうか?

いしよわちゃんの作者(以下、作者):
三日坊主で自分をついつい甘やかしちゃうイヌ。「意志が弱いせいかまっすぐだった耳やしっぽもだんだん垂れてきちゃった」というのが背景ストーリーになります。口癖は「明日こそ」。名前からも分かる通り、「意志が弱い」というのが大きな特徴です。

ーー公式Xでは「クリスマスイブも いつも通りお仕事」などと発言していますが、お仕事もしているのですね。

作者:
仕事内容については、あまり細かく言及していないのですが、「デスクワークをしていて、フルタイムで働いている会社員」という設定です。

ちなみに、いしよわちゃんのXでよく登場する「いしつよちゃん」は同僚のネコで、意志が強くてストイックな性格。首につけているリボンは、1年間コツコツお金を貯めて買ったというストーリーがあります。

ーー“お友達”ではなく、あえて“同僚”?

作者:
はい。あくまでも同僚なので、いしよわちゃんといしつよちゃんは過度に干渉はせず、ほどよい距離感を保っているというのがポイントです。

仕事の後にご飯を食べにいくことはあっても、プライベートで遊ぶほどべったり仲が良いという関係性とは違うかなと思っています。

ーー「いしよわちゃん」という名前に注目してみると、名前に「意志」が入っているというのがなかなか独特でおもしろいなと感じます。どうしてこのようなコンセプトになったのでしょうか?

作者:
個人的に共感ネタが好きだというのもあって、キャラクターを作るときにいつも意識的に共感ネタを探してしまうんです。私自身、自分に対して「意志が弱いな」と思うことがあるし、周りからも「意志が弱い」エピソードをよく聞くなと気付いて。それで、きっとこのコンセプトなら多くの方に共感してもらえるかもと思ったんです。

それに加えて、「会社員」という設定のキャラクターにしたら、よりターゲットが狭まっていいのではないかなと。会社員という要素は早い段階から決めていましたね。

ーーイヌにしたのはなぜでしょうか?

作者:
見た目に関しては、とにかくかわいらしさを意識して作りたいと思っていました。やはり、いくらコンセプトが良くても見た目がかわいくなければ手に取ってもらえないと思うので。それから、イヌには身近で、王道なかわいさがあるなと思ったのも大きいです。

弊社は新キャラクターを生み出すための社内コンペを定期的に開催しているのですが、いしよわちゃんもそこで誕生しました。でも実は、最初にコンペに出した時は別のキャラクターが1位に選ばれており、いしよわちゃんは2位でした。

残念ながら2位だった時もけっこう票が入っていたので、内容をブラッシュアップしてもう一度挑戦したところ、1位に選ばれ、「Made in サンエックス」という企画でテスト的に商品を販売できることになりました。その時の売り上げが良かったので、正式にデビューすることが決まったんです。

ーーリベンジしたことで、見事デビューできたのですね。2回目のコンペに挑戦した際、どんな点をブラッシュアップしたのでしょう?

作者:
名前は最初からいしよわちゃんでしたし、デザインも大きくは変わっていないです。ただ、「骨のあるイヌになりたいから、骨のバレッタをつけている」などの細かい設定は周囲からアドバイスを貰いながら加え、よりストーリー性を持たせました。同僚・いしつよちゃんのビジュアルも、最初は全身真っ白だったのですが、意志の強さを表現するために黒の模様を加えてみました。

それから、2回目のコンペでは、今Xに投稿しているような4コマや2コマ漫画も合わせて提示して、より“いしよわ”な部分の説得力を出すことにしたんです。そのおかげもあって、採用されたのだと思います。

いしよわちゃんも、私たちと同じ“現実世界”を生きている

ーー昨年4月に開設した公式Xアカウントはすでにフォロワー6.5万人と、かなり注目を集めている印象です。Xでの発信も、作者さんが担当されているのでしょうか?

作者:
いしよわちゃんのXでの発信内容も、すべて私が考えてイラストや漫画に落とし込んでいます。もちろん、社内で募集した“いしよわ”なエピソードを参考にすることもあります

ーー1万人以上に「いいね」されているポストもありますが、バズのために意識していることはありますか?

作者:
Xで話題となっているネタやキーワードを参考にすることはありますが、そこまでバズを意識しているわけではありません。いしよわちゃんの投稿は、“リアル”をできるだけ追求しようとしているので、私たちが普段するようなことをしていたほうが共感できるし、「あるある!」と思ってもらえるんじゃないかなと。

なので、バズを狙うよりも、これまでの投稿に寄せられたフォロワーさんの生の声や、その方たちが日々の生活の中で触れているものなどを取り入れるように意識しています。

Xでいいねやコメントをくれる方や、グッズを買ってくださる方を見てみると、20代から30代の働いている女性が多いですね。いしよわちゃんの発言を“自分ごと化”して共感してくださる方もいれば、ただ応援してくださる方もいらっしゃる印象です。

ーーXの投稿を見ると、いしよわちゃん自身もアイドルを応援していますよね。「推し活」を要素として加えたのは、なぜでしょうか?

作者:
働く20代〜30代の女性が休日にどんなことをされているかなと考えたとき、自分の好きなことや応援しているアーティストなどにお金を費やしている方が多いんじゃないかなと。

それで、いしよわちゃんも「推しが尊い」「次のライブはいつかな?」などの推し活に関する発信をすれば、よりリアルで共感を誘えるのではないかと考えたんです。

ーーリアルを追求した結果、推し活だったのですね。先ほども「リアルをできるだけ追求しようとしている」とおっしゃっていましたが、それはなぜなのでしょうか?

作者:
私たちと同じように、いしよわちゃんもこの現実世界を生きていて、SNSをやっている。“ただ生活しているのを見る”のを楽しんでほしいと言いますか、“友達をフォローしている”という感覚で、いしよわちゃんを応援してほしいと思っているからです。だからこそ、より身近な存在として感じてもらえると考えているので。

個人的に、いしよわちゃんを通してユーザーさんに何かメッセージを伝えたいとか、何かしてほしいとかは思っていないんです。

弊社のキャラクターの場合、それぞれ特有の世界観があって、伝えたいメッセージやテーマがある子たちが多いので、いしよわちゃんの立ち位置はかなり珍しいかもしれません。もちろん、『すみっコぐらし』などストーリーの中で日常を展開しているようなキャラもいるのですが、どちらかというと、そのキャラが生きている世界の中の日常であって、我々の世界とあんまりリンクしている感はないんですよね。

 

取材を行ったサンエックス社ショールームには、大量のリラックマグッズが。

取材を行ったサンエックス社ショールームには、大量の『リラックマ』グッズが。

 

現実世界を生きているいしよわちゃんは、弊社としても新しいタイプのキャラクターかなと思いますし、だからこそ身近に感じてもらえたらうれしいなと感じます。

「ファンの心に無理やり踏み込まない」ことも魅力の一つ

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於ありさ

テレビ・ラジオ・映画・アイドル・お笑い・恋愛番組・ガールズムービー…とにかくエンタメ好き!サウナと旅で体を癒しながら、マイメロディに囲まれた自宅でエンタメ漬けの毎日を送っている。

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