『ダンダダン』Creepy NutsのOPはここがスゴイ!アジアな「和」と世界最新の「ビート」をMIXしたサウンドが中毒になる

2024年秋アニメラインナップの中でも、特に話題作として注目を集めていたアニメ。それが『ダンダダン』です。今や「少年ジャンプ+」の人気を牽引する存在でもある原作マンガに加え、アニメ好きにはお馴染みの名作を数多く手がけたアニメ制作会社・サイエンスSARU。

そして主人公コンビほかメインキャラクターたちに声を当てる人気声優陣と、どこを取っても文句なしの制作チームが揃っている点も、今作の期待度の高さを物語っています。さらにそこに加え作品の主題歌を担当するのは、今やワールドワイドな人気を誇るヒップホップユニット・Creepy Nuts。

Blu-ray『ダンダダン 1』(アニプレックス)

Blu-ray『ダンダダン 1』(アニプレックス)

作品のアニメ放送時期が決定したのち、かなり早い段階で主題歌タイアップも発表され、大勢のファンがその詳細解禁を心待ちにしていたと言えるでしょう。今回はそんなCreepy Nutsによって手がけられたアニメ『ダンダダン』主題歌「オトノケ」の楽曲の魅力を解剖。

ガチオタである一方、約10年のミュージシャン歴も持つ音楽ライターの私・曽我美なつめが、今作の聴きどころをご紹介いたします。

「BBBB」「よふかしのうた」…Creepy Nutsとアニソンの関係性

Creepy Nutsといえば、今年2024年は何といっても「Bling-Bang-Bang-Born」の世界的なビッグヒットなしには語る事のできないユニットですね。アニメ『マッシュル-MASHLE-』主題歌としてリリースされた本作ですが、オープニング映像にも描かれた「BBBBダンス」をきっかけとしてSNSで大バズリ。

楽曲とアニメのコラボMVは投稿からわずか7ヶ月の短期間にもかかわらず、YouTube再生数2.5億回というメガヒットを記録しています。

CD『二度寝 / Bling-Bang-Bang-Born』( ソニー・ミュージックレーベルズ)

CD『Bling-Bang-Bang-Born』(ソニー・ミュージックレーベルズ)

そんなCreepy Nutsですが、本曲のヒット以前にもマンガやアニメが好きな人にとっては「よふかしのうた」でおなじみのユニットでもあったことでしょう。

2022年に放送されたアニメ『よふかしのうた』。このアニメは同名マンガを原作としていますが、そのマンガも元々は彼らの楽曲「よふかしのうた」にインスパイアされて生まれた作品でもありました。マンガ『よふかしのうた』アニメ化にあたり、そんな作品の裏話をふまえてのCreepy Nuts主題歌起用は、ファンにとってこれ以上ない人選だったことでしょう。

オープニングは彼らがアニメ化に際して書き下ろした新曲「堕天」。そしてエンディングは作品の原点ともなる「よふかしのうた」。そんなファンサービスにあふれた、作品愛にあふれたタイアップが行われていたのです。

TV アニメ『よふかしのうた』オリジナル ・ サウンドトラック(FABTONE)

TV アニメ『よふかしのうた』オリジナル ・ サウンドトラック(FABTONE)

アニメタイアップ自体はこれまでやや寡作ながらも、そのひとつひとつの機会に大きな意義と意味を生み出してきたCreepy Nuts。それらを経て今回生み出されたアニメ『ダンダダン』主題歌「オトノケ」も、従来作に負けず劣らずの渾身の一曲ともなっています。

アジアンな「和」と世界トレンドの「音楽ビート」が融合したサウンド

今曲の聴きどころのひとつでもあるのが、元々Creepy Nuts楽曲の魅力でもあったオリエンタルなテイスト。『ダンダダン』自体が日本のオカルトを題材にしていることもあり、楽曲のサウンドには随所に和の要素やアジアンな雰囲気を感じる音が散りばめられています。

今や彼らの看板曲である「Bling-Bang-Bang-Born」ではその要素はやや薄いものの、過去曲には代表曲のひとつである「合法的トビ方ノススメ」や、自分達の振り切れない属性を皮肉たっぷりに描いた楽曲「どっち」など、今回の「オトノケ」に通ずるムードを感じられる作品も多数存在します。

また実はユニットのMCを担当するR-指定さんは、サザンオールスターズや中島みゆきといった日本の楽曲、特に歌謡曲と呼ばれる音楽ジャンルもルーツとして持っています。それらの素養が、楽曲のオリエンタルな雰囲気に繋がっている部分もありそうですね。

さらにもうひとつ今作の聴き所としては、世界的ヒットを記録した「Bling-Bang-Bang-Born」と同様、サウンドにジャージークラブという音楽スタイルを用いている点! アメリカのクラブミュージックをルーツとするこのジャージークラブ。最たる特徴は、楽曲のリズム感にあります。

やや専門的な話にはなりますが、世の中にある楽曲の多くは1小節が4拍で構成される4拍子のもの。その4拍子の中にドン、ドン、ドンドンドンと5つのビートを刻むスタイルが、ジャージークラブと呼ばれるものです。音楽に詳しい人向けに説明するならば、四分音符2つと符点八分音符2つ、八分音符1つで構成されたリズムパターンのことですね。

元々はダンスミュージック、クラブミュージックの中で時折耳にすることもあったこのリズム。近年ではK-POPなどでもたびたび用いられており、現代の音楽トレンドでも注目を集める要素のひとつとなりつつあります。

「Bling-Bang-Bang-Born」が世界的にヒットした理由のひとつも、もしかしたらこのジャージークラブを取り入れていることだったかもしれません。

タイアップとなった作品『ダンダダン』の語感も、ジャージークラブのリズムにはぴったり。そういった言葉の響きで遊ぶような感覚で、「オトノケ」の曲作りが行われた一面もあったことでしょう。

それもまた楽曲の魅力のひとつでもあり、Creepy Nutsを筆頭としたHIPHOPという音楽の面白さのひとつでもあるのです。

歌詞にも注目。アニメにちなんだ「オカルト」要素に気づいた?

そして何より注目すべき楽曲の推しポイントは、やはりアニメ『ダンダダン』にも通ずるオカルト要素満載の歌詞。幽霊や宇宙人、そして都市伝説といった、人智を超えた存在をテーマとして扱う『ダンダダン』。そこに因んだ内容が、当然楽曲の歌詞にもあちこちに盛り込まれています。

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曽我美なつめ

音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。

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