曽我美なつめ
音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。
思い返せば隊律違反を犯した冨岡に対し、不死川と伊黒は特に厳しく彼に詰め寄っていました。しかし三人の関係を踏まえると、その行動や台詞に納得する人も多いはず。
また無限列車編で炎柱・煉獄杏寿郎の訃報を受けた際も、彼は表情の見えない後ろ姿で、たった一言「俺は信じない」とだけ言い放っています。
実は元々、伊黒は家族を鬼に殺された過去がありました。その時に自分も殺されそうになりましたが、幼い彼を間一髪で助けたのが、実は当時の炎柱だったとのこと。
二十歳前後の彼がまだ子どもだった十数年前。原作ではっきり明言はされていませんが、年月を計算するとおそらく当時の伊黒を助けたのは、煉獄杏寿郎の父・煉獄槇寿郎だったのではないでしょうか。
実際に強さを目の当たりにした昔の炎柱はすっかり酒浸りで、今や見る影もありません。ですが、その意志を引き継いだ息子・杏寿郎に対しては、同世代として尊敬の念や仲間意識も持っていたのでしょう。
そんな彼が鬼に敗れたと聞いた伊黒の悲痛な胸中は、察するに余りあるものがあります。そして遊郭編でも、戦いが終わった後に彼は音柱・宇髄天元の元へ現れていましたよね。
満身創痍の宇髄を前にした時の台詞も、非常に伊黒らしいネチネチとした嫌味なものでした。ですが当然、そんな小言を言うためだけにここへ来るほど柱も暇ではないはずです。
皮肉の印象が強いためやや気づきにくいですが、宇髄夫婦との会話から察するに、おそらく彼は戦闘の報を受け、遊郭まで助太刀のために駆けつけたのでしょう。
タッチの差で鬼殺隊が辛勝したため結果サポートには至りませんでしたが、これはあくまで結果論。もしかしたら彼は味方全滅の可能性も視野に入れつつ、現場へ向かっていたかもしれません。
とはいえそれでも、伊黒の発言はやはり辛辣すぎると思う人が実際は大多数かもしれません。
ですがそんな彼に対し、柱として同僚である宇髄はまったく腹を立てることなく会話を続けている点も、実は隠れた注目ポイントです。時折大人げない一面の覗く宇髄なら、彼の嫌味に怒って反論する可能性もありますよね?
その理由の一端は、こちらも公式ファンブックに書かれた二人のエピソードが関係しているのかも。
過去に兄弟を自分の手で殺めた凄惨な過去を持つ宇髄ですが、実は伊黒も家族にまつわる凄惨な過去を持つ身。具体的な状況は不明ですが、とあるきっかけで二人はそれぞれの生い立ちを、お互い相手に話したことがあると明かされています。
そんな経緯を経た上で、実は伊黒は宇髄に対し一定の尊敬の念を抱いていた様子。
それを知って改めて二人のやりとりを見ると、互いにある程度相手がどんな人間か知っており、柱としての信頼がベースにある中で、あの会話をしていることがうっすら伝わるのではないでしょうか。
だからこそ宇髄も、伊黒の嫌味に怒ったりはしません。口調こそややキツいですが、彼の言葉は裏返せばいろんな意味で「宇髄に前線を引いて欲しくない」と言っているも同然。
それに下級隊士の戦力不足が深刻な状況で、柱が二名も欠員することが重大な痛手だという伊黒の主張ももっともです。
だからこそ宇髄もつとめて冷静に、そして現実的に彼との会話に応じているのでしょう。二人の柱同士の、ある意味非常に柱らしいやりとりが垣間見える。そんなシーンが、件の遊郭編のラストではないかと筆者は感じるのです。
今春から放送の柱稽古編で、ようやくその素性が明かされつつある伊黒小芭内。ですがまだまだアニメ派の人にとっては、謎に包まれた部分も多いキャラクターでしょう。
記事内で少し触れた過去の話もそうですが、何より目を引くのは包帯で隠された口元に、オッドアイの瞳という一風変わった外見です。
なぜ彼は口元を隠しているのか?なぜ彼は眼の色が違うのか? また彼が常にお供として連れている白い蛇も、その詳細はいまだアニメでは明かされていません。
これから少しずつ明かされる素顔を知れば知るほど、より彼のことが好きになる。そんな隠れた魅力もまだまだたくさん持っている、要注目人物ともなっています。
(執筆:曽我美なつめ)
■アニメ『鬼滅の刃』キャラクターの魅力徹底解剖【竈門炭治郎&禰󠄀豆子、我妻善逸、胡蝶しのぶ、煉獄杏寿郎、鬼舞辻無惨、宇髄天元etc.】https://numan.tokyo/anime/yakmL/
『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』
■スタッフ
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島 晃
アニメーション制作:ufotable
■キャスト
竈門炭治郎(かまど・たんじろう):花江夏樹
竈門襧豆子(かまど・ねずこ)※:鬼頭明里
我妻善逸(あがつま・ぜんいつ):下野 紘
嘴平伊之助(はしびら・いのすけ):松岡禎丞
冨岡義勇(とみおか・ぎゆう):櫻井孝宏
宇髄天元(うずい・てんげん):小西克幸
時透無一郎(ときとう・むいちろう):河西健吾
胡蝶しのぶ(こちょう・しのぶ):早見沙織
甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり):花澤香菜
伊黒小芭内(いぐろ・おばない):鈴村健一
不死川実弥(しなずがわ・さねみ):関 智一
悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい):杉田智和
■コピーライト表記
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
■公式サイト
https://kimetsu.com/anime/
■Twitter
@kimetsu_off
https://twitter.com/kimetsu_off(推奨ハッシュタグ:#鬼滅の刃)
曽我美なつめ
音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます
特集記事
ランキング
電ファミ新着記事
2024.11.1
ランキング
2022.12.17
特集記事