加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
18世紀・革命期のフランスに生きる人々の愛と人生を鮮やかに描き、テレビアニメ版や宝塚歌劇団による舞台版も大ヒットした池田理代子の名作漫画『ベルサイユのばら』。誕生50周年を迎え、今回新たに新作として劇場アニメ化。
そんな本作を、自分のオタク道がここから始まったと言っても大げさでないほどの原作ファンでもあるベルばらオタクライターが拝見。この不屈の名作を駄作にしたら許せないぞ……とスクリーンを睨みつけてきました。その感想をレポートします!
劇場アニメ『ベルサイユのばら』キービジュアル
INDEX
上映開始早々、まず胸をブチ抜かれたのが豪華絢爛かつ繊細な作画! 不朽の名作、かつ原作の美しさを損なうどころか、マリー・アントワネット(CV:平野綾)が結婚のためフランスに輿入れしてくる美しく荘厳な馬車の車列を映し出す自由自在なカメラワーク。
それを警護するオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(CV:沢城みゆき)ら近衛兵たちの凜々しいさま、画面いっぱい溢れんばかりに舞い散る大量のバラの華やかさなど挙げればキリがないほどのまぶしさに、冒頭いきなりスクリーンを観ている目がつぶれるかと思いました。
現代の最新の技術と、原作の作画に忠実なキャラデザで完成したキャラクターたちも素晴らしく、本作でメインとして描かれた将軍家の跡取りで、“息子”として育てられた男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。
隣国オーストリアから嫁いできた気高く優美な王妃マリー・アントワネット。 オスカルの従者で幼なじみの平民アンドレ・グランディエ(CV:豊永利行)。 容姿端麗で知性的なスウェーデンの伯爵ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン(CV:加藤和樹)。
この四人についても10代から30代までの変化が終盤にいたっても丁寧に仕上げられていてビジュアルが強すぎます! さすが僕たち私たちのMAPPA、抜かりはありませんでした。
さらにオープニングからずっとバラが無限に舞っていて雅なフランスを描いていたのが物語が進むにつれて曇りになったり平民が貧困にあえいでいたり状況がどんどん悪くなっていくシビアな描写部分も辛いけれど丁寧に施されていて見逃せませんでした。
ベルばらといえばなんといってもフランス革命という激動の時代に翻弄されながらもそれぞれの人生と愛を懸命に生きぬいていく二組の恋。
自身の手で人生を選びとり自らの信念に従ってフランス革命へと飛び込んでいく、その美しい生き様に今なお世界中から共感と憧れを集めるオスカル。将軍家の跡取り“息子”として厳しく育てられたオスカルは、従者であり幼なじみのアンドレとまるで兄弟のように一緒に成長します。
そんなふうに痛々しいほどに懸命に生きるオスカルを、アンドレは文字通り“生涯と命を賭けて”愛し守り抜きます。まさに幼なじみ純愛そのもの。
幼い頃は良き相棒として育った二人ですが、平民のアンドレはオスカルの実らないフェルゼンへの片恋をじっと見守り、自身の秘めたオスカルへの熱い恋心に何年も耐え抜きます。その心情をモノローグとして吐露する場面はキャストの声の切なさも相まって、もどかしさとままならない身分違いの想いに、しんど過ぎて客席で絞ったタオルのように身悶えました。
後半、オスカルがアンドレの想い、“自分がどれだけ深く愛されているか”ということに気づき、アンドレへの愛が開花していく様子や伝説の名シーンである“二人が結ばれる”場面では、それまで光のオスカルを“影として”忠実に支えてきたアンドレの“思いがけないオスらしさと燃え上がる情熱”という意外な一面にドキッ!
あなたそんな顔するのね!?そんな言葉言うのね!?と、もうギャップにメロメロ。展開を分かっていてもその甘さに腰がくだけるかと思いました! 個人的にアンドレ推しなので本作はお宝映画認定です。
そのぶんクライマックスは辛すぎて涙があふれて嗚咽止まらず。情緒がジェットコースターで泣き疲れてエンドロールを茫然自失で眺めていたオタクです。
ベルサイユ宮殿での窮屈な生活に飽きて、お忍びでパリの仮面舞踏会に行った王太子妃アントワネットは、そこで容姿端麗で知性的なスウェーデンの伯爵フェルゼンと運命の出会いを果たします。
加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
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