『百花繚乱』(ソニー・ミュージックレーベルズ)

『薬屋のひとりごと』OP幾田りらの“ソロシンガー”としての実力。YOASOBIはAyaseとikura、才能豊かな2人が起こす化学反応だ

遡る事YOASOBI結成の少し前、2018年末頃にVOCALOIDプロデューサー=ボカロPとして活動を始めたAyase。元々彼はそれ以前にもバンドマンとして活動しており、その長年の下積み経験を活かして作られた楽曲はたちまちシーンでも話題に。そんなボカロPとしての目覚ましい急躍進が、YOASOBIのヒットにも大なり小なり影響を与えたことでしょう。

「夜に駆ける」がメガヒットを果たし、YOASOBIとしての人気・知名度が確立されたのちも、Ayaseは自身を救ってくれた“ヒーロー”・初音ミクへの愛から、さまざまな形でボカロPとしての活動も継続して行っています。

ボカロシーンの一大イベント・マジカルミライの2023年度テーマ曲「HERO」提供や、VOCALOIDたちとの物語を描くアプリゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」への提供曲「シネマ」など。

さらにボカロPとして過去に制作した曲の中には、Ayase本人がセルフカバー歌唱した曲も複数。

上記の「シネマ」や「夜撫でるメノウ」、そして「幽霊東京」などの楽曲群では、彼自身の柔らかく穏やかで、抜群の安定感を誇る歌声を楽しむこともできます。

『るろうに剣心』『Ayase本人歌唱の名曲アニソンの数々

圧倒的な作曲センスのみならず、アーティストとしての隠し持った美声も大きな強みであるAyase。YOASOBIとしてではなく彼単独のそんな魅力に、改めて公の場で大きくスポットが当たったと言える1曲。それがCreepy Nuts・R-指定とのコラボ作となった、アニメ『るろうに剣心』主題歌「飛天」でしょう。


元からYOASOBIが好きだったファンの中にも、今曲でAyase自身も歌えるということを初めて知った人がきっといたはず。

アニメの内容はもちろんですが、過去に長く挫折を味わってきた彼自身の人生も落とし込まれたような今曲に、胸を打たれた人も多かったのではないでしょうか。

さらにその後も2023年に、彼はソロ名義としてアニメ『Buddy Daddies』主題歌「SHOCK!」を担当しています。上記の「飛天」に関してはコラボ作として扱われるため、今曲がAyaseのソロシンガーとしての正式な初アニメタイアップ作となります。

タイトルの通り殺し屋として生計を営む男二人のバディが、ひょんなことから一人の少女を二人で育てる事になるアクションコメディアニメである本作。
重厚な作品を飾ることが多いYOASOBIと比べ、物語を軽快にかつポップに彩るオープニング曲「SHOCK!」を楽しんでみてください。

歌唱&制作両方に長けた二人が起こす化学反応

2023年に世界中で一大旋風を巻き起こしたアニメ『【推しの子】』主題歌「アイドル」や、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』主題歌「祝福」に『葬送のフリーレン』オープニング「勇者」。

また直近では『〈物語〉シリーズオフ&モンスターシーズン』主題歌「UNDEAD」や、2025年4月から放送開始のアニメ『ウィッチウォッチ』主題歌「Watch me!」など。今や日本のアニソンシーンにおいて、アーティスト・YOASOBIの名を欠かすことはできません。

普段はシンガーとして、そしてコンポーザーとして歌唱と制作を分業するメンバー二人。ですが両者それぞれが、ソロアーティストとしても十分に歌唱・制作両方を担える逸材という点もまた、ユニットの大きな強みなのでしょう。

YOASOBIとしてのみならずソロ活動でも、まだまだ彼女らの活躍の場は、きっと留まることなく今後も拡大し続けるに違いありません。

(執筆:曽我美なつめ)

IMAGE

曽我美なつめ

音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

オタ腐★幾星霜