きどみ
アニメ・映画・アイドル・バンド・漫画・キャラクターによって彩られてきた人生。暇さえあれば映画館にいる。好きなものについてとことん綴っていきたいライター。
昨年(2024年)3月にSexy Zoneを卒業したアイドル・中島健人さん。
4月からはソロデビューを果たし、ドラマやバラエティに出演したり、シンガーソングライター・キタニタツヤさんとのユニット「GEMN」として楽曲を披露したりと、幅広く活動してきました。さらに、今年1月にはソロデビュー後初となるワンマンライブ『KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”』を開催。3日間4公演で合計6万人を動員した彼は、ソロになってもなお飛ぶ鳥を落とす勢いが止まらないアイドルの一人です。
ただ、アイドルとしての中島健人だけでなく、“俳優”としても着実にステップアップしているということは声を大にしてお伝えしたいところ。これまで数々の人気ドラマや映画に出演し、その高い演技力は見るもの全てを魅了するといっても過言ではありません。
かくいう筆者も、そんな中島さんに魅せられ、活躍を応援している「U:nity(ユニティー)」(※ファンの総称)のひとり。これまで数々の嬉しいお知らせにワクワクしてきましたが、中でも待ち望んでいたのが、2月28日(金)公開の映画『知らないカノジョ』。
というのも、本作はソロデビュー後初の主演映画であり、中島さんにとって出演10作品目、そして30歳になって初めて出演した映画。中島さん本人はもちろんファンにとっても特別な意味を持つ作品なのです。
そんな本作で、彼はどう演じるのか。どんな新しい姿を観られるのか。期待と緊張が高まる中で観たところ、史上最高に“ナチュラル”な表現をする姿を見ることができました。本記事では、作品への率直な感想とともにお伝えしたいと思います。
INDEX
感想をお伝えする前に、まず彼の“映画愛”、そして本作への思いについて説明させてください。
『劇場版 BAD BOYS J―最後に守るもの―』(2013年)でスクリーンデビューを果たし、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(2016年)や『心が叫びたがってるんだ。』(2017)などの学園ドラマを始め、最近では第2次世界大戦後のシベリアの強制収容所の様子を描いた『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)や、サスペンス小説が原作の『おまえの罪を自白しろ』(2023年)など幅広い作品に出演してきた中島さん。
役者として演じるのはもちろん、実は大の映画ファンとして有名。WOWOWで冠番組「中島健人 映画の旅人」を持ち、世界中の監督や俳優、スタッフに実際に会いにいき、直接インタビューをしています。また、過去には番組内で巨匠・クリストファー ・ノーラン監督にお願いをして自身の演技を観てもらうほどの熱心ぶり。
そして『知らないカノジョ』で監督を務めた三木孝浩監督に対しても、特別な思いを抱いていたそう。実は中島さん、同じく三木監督の作品である『陽だまりの彼女』(2013年)を観てから10年以上もの間、ずっと「三木監督の作品に出演したい」と願っていたのです。
本日の舞台挨拶にお越しいただいただき皆さま、ありがとうございました!
3人でのトーク、めちゃくちゃ楽しかった😄ぜひぜひ末長くこの映画を愛してくださいませ。そして2人が注いでくれた愛と共にぜひ周りの方々にも広げてもらえたら嬉しいです🙇#知らないカノジョ #中島健人 #milet pic.twitter.com/zLVcqIas0x— 三木孝浩 (@TAKAHIROMIKI) March 1, 2025
自身と同じくアイドルとして活動する松本潤さんが、作品から浮かずにナチュラルに切り取られているのを観て、“役者の素の部分を切り取ってくれる”監督に衝撃を受けたと語っています。
そうした背景があり、『知らないカノジョ』は中島さんにとって思い入れのある作品。もちろん、「三木監督が作る“切なくてやわらかい世界”に、いつか中島さんも登場してほしい」と願っていた筆者にとっても、嬉しいタッグでした。
本作で中島健人さんが演じたのは、小説家志望の大学生・神林リク。小説が上手く書けずに悶々としながらキャンパスライフを過ごす中、講堂で1人で歌っていたミュージシャン志望の、前園ミナミ(演:milet)という女性に出会います。2人は惹かれあい恋人になり、やがて夫婦関係に。
しかし、リクはミナミの支えがあってプロの小説家として成功していくのに対して、ミナミはミュージシャンになるという自分の夢を諦め、いつからか2人はすれ違うようになってしまいます。そんな中、リクはある日目覚めると、突然“もう一つの世界”に放り出されていることに気付きます。
その世界ではリクは小説家ではなく文芸誌の編集者として働き、ミナミは街中にポスターが貼られるような大スターに。そして何より、リクとミナミは夫婦どころか出会ってすらいませんでした。果たして2人の関係は終わってしまうのか、リクは元の世界に戻れるのか……そんな“ファンタジック・ラブストーリー”である本作での見どころは、なんと言っても中島さんが、元の世界と別世界でリクの心境の変化を見事に表現していたところです。
喜怒哀楽のうち「喜」「怒」「楽」が強く、感情をそのまま表現していた元の世界のリク。対して、別世界のリクは自分の感情を抑えた「哀」が大きく、その演じ分けから中島さんの表現力の高さが伝わってきました。
「喜」や「楽」が表現されているシーンとして挙げられるのが、2人が出会ったばかりの頃のデート場面。miletさんが歌う劇中歌「Nobody Knows」がバックに流れる中、中華街を歩いたり同じイヤホンで音楽を聴いたり……2人の関係が徐々に縮まっていく様子が描かれています。
基本的にアドリブだったというこのシーンは、中島さんとmiletさんの相性がとにかく抜群。たった数分間という短い時間ですが、2人の動きや表情からは、まるで本物のカップルのような雰囲気が演出されていました。
また、ミナミが出演するライブを観に行った際、緊張する彼女に「頑張れ」とファイティングポーズを送ったリク。ほかにも一緒に小説や音楽を創作するシーンでは、終始ニコニコとした表情を浮かべており、ミナミのことを大切にしていることが伝わってきました。
しかし、夫婦になってしばらく経った頃からは、「怒」の表現が印象的に。リクはミナミとの時間よりも、執筆活動を優先するようになってしまうのです。小説家として売れている自分を誇り、大切にしてくれるミナミを蔑ろにするリクの態度はひどく、出会った当時のピュアな姿とはまるで別人。性別問わず誰に対しても誠実に接する日頃の中島さんからは想像できない、“嫌なヤツ”がそこにいました。
別世界へと飛ばされた直後も、自分のことをベストセラー作家ではなく編集者として接してくる先輩や同僚に対して露骨に怒りを見せていきます。「この世界は、生きる価値なんてあるわけない」と悪態をつくほど、この別世界を嫌っていました。
そんな「喜」「楽」「怒」がきちんと描かれた後、「哀」を強く感じるようになったのは、リクが別世界に飛び「(この世界では)ミナミは大スターであり、手が届かない存在になってしまった」と実感してから。すがる気持ちでミナミに会いに行くものの、第一声で「お名前は?」と聞かれたり、不審者扱いされたりするうちに、段々と意気消沈していくようになります。編集者という立場を利用してミナミに取材する場面では、“誰よりもよく知っている”のに“知らないふり”をしなければならない切なさを、中島さんは言葉ではなく表情で見事に表していました。
きどみ
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