きどみ
アニメ・映画・アイドル・バンド・漫画・キャラクターによって彩られてきた人生。暇さえあれば映画館にいる。好きなものについてとことん綴っていきたいライター。
中でも、レストランでリクがミナミに「元の世界では夫婦だった」と告白するシーンは「哀」が非常によく表現されていて、圧倒されてしまったほど。最初は他人行儀だったミナミもこの頃はリクに心を開き始めていて、リクの言葉に対して、「(そんなことを言い出すなんて)どうかしちゃった?」と笑いつつも、自分が考える理想の2人の姿を語って返します。その理想は、元の世界では叶えてあげられなかったミナミの未来。ミナミが楽しそうに語る様子を、リクは涙を流しながらひたすら聞き入ります。
この中島さんの泣き顔が、これまで見たことのない表情でした。まるでカメラにどう映っているのかを意識せず、感情のまま出た涙のよう。観る者もつられて泣いてしまうような、人の感情を動かす演技で「このシーンを観るために何度も劇場へ足を運びたい」と思うほど、心に残っています。
リクが感じた喜怒哀楽を、そのまま表現していた中島さん。一貫して、「こういう表情をしよう」と戦略的に演技していたわけではなく、自然と感情が表に出てくるような“ナチュラルな演技”だったのが印象的です。
𝗥𝗜𝗞𝗨&𝗠𝗜𝗡𝗔𝗠𝗜
𝖥𝖺𝗌𝗁𝗂𝗈𝗇 𝖬𝖾𝗆𝗈౽✍︎
┈┈┈┈┈┈┈♡他のキャラクターと違いリク(#中島健人)だけ時間軸が続いてるので、元の世界ともう一つの世界でリクだけがスタイリングがあまり変わっていません👔#中島健人 #知らないカノジョ
全国上映中🎥 pic.twitter.com/PhZaKDh1eb— 映画『知らないカノジョ』公式 (@shiranai_kanojo) March 1, 2025
個人的には、中島さんがSexy Zone卒業を発表した2024年1月から、「寝られなくなる日が続くほど、ネット上のネガティブなコメントを死ぬほど見た」(※引用)という経験も、特に「哀」を表現するための引き出しが増えた理由の一つではないかと考えています。
切ない表情が続いたミナミとのシーンとはがらりと雰囲気が変わり、ドラマやバラエティの共演者の懐に入るのが上手な中島さんの“人懐っこさ”が垣間見えたのが、桐谷健太さんが演じる大学の先輩・梶原恵介とのシーン。
✶ 𝖢𝗁𝖺𝗋𝖺𝖼𝗍𝖾𝗋 ┈┈┈┈
〖 梶原恵介 〗#桐谷健太
リク(#中島健人)の大学時代からの親友で、
編集者となったリクが務めている文報社芸能部の編集者。
いつも陽気で優しいリクの味方。#知らないカノジョ
𝟤 . 𝟤𝟪 pic.twitter.com/FLio4ESewM— 映画『知らないカノジョ』公式 (@shiranai_kanojo) December 13, 2024
リクにとって梶原は、唯一信頼できる存在であり「頼れる心の兄貴」ですが、実は中島さんにとっての桐谷さんも“兄貴”のような存在なのです。『ラーゲリより愛を込めて』で共演したことをきっかけに、仲が深まったというお2人。今では、桐谷さんが「そこまで話してくれるの!?」と驚くほど、芝居や音楽などお仕事のことからプライベートの話題まで、包み隠さず話せる仲だと言います。
こうした背景もあって、共演シーンは本当に仲が良い様子が伝わってきます。特にお気に入りの描写は、別世界でリクが梶原に助けられた際、ハグや頬キスで感謝を伝えるところ。このシーンでの中島さんは、「この気持ちを表す言葉が見つからない」と言わんばかりに、言葉よりも先に体が動いているかのような印象でした。
ちなみに、頬キスは中島さんのアドリブだったそう。桐谷さんにとってはサプライズだったようで、「内心ビックリした!」と舞台挨拶の際に話していました。中島さんにとって“兄貴”である桐谷さんとの共演だったからこそ、このような“素”の一面が見えたのかもしれません。
中島さんにとって、「僕の中で最もナチュラルかつ最も赤裸々で、人には今まで見せてこなかった表情を見せることができた映画」(※劇場用プログラム内コメントより)だったという本作。
実際、ファンとしても「過去作品の中で最も“素の中島健人”が表れていた」と感じられるほど、自然な演技とありのままの姿が垣間見えました。
20代前半は、人気コミックが原作の恋愛映画に出演することが多かった中島さん。作中のキュンキュンするシーンは、アイドル・“ケンティー”としてのパブリックイメージと一致していた部分もありました。そして、20代後半になって出演した『ラーゲリより愛を込めて』や『おまえの罪を自白しろ』では、シリアスな演技でスクリーンに映る際は一切スキを見せない徹底ぶり。一貫して、これまでの作品では「演じるキャラクターと徹底的に向き合い、役作りをして臨む」印象がありました。
ですが、今作では“中島健人”がミナミと過ごす中で実際に生まれた感情をそのまま表に出していたように映っていたように思えます。
リクが怒るシーンだから怒る、幸せなシーンだから笑うのではなく、“中島健人”自身がリクと同じ気持ちになって、心から泣いたり笑ったりしていた。だからこそ、演技に“素”の中島健人が出ていたのだと思います。また、演者のナチュラルな姿を切り取るのが上手な三木監督と組んだことが功を奏したのもあるでしょう。
中島健人さんにとって30歳1本目の作品となった『知らないカノジョ』。20代の集大成であり、30代を駆け抜けるお守りとなるはずです。今後はどんな“すっぴん”の姿が観られるのか。ファンとしてとても楽しみです。
(執筆=きどみ)
きどみ
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