numan編集部
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「アニメに携わってきた人生の中で、ご自身のキャリアへ影響を与えてくれた作品は何ですか?」
8月30日公開のアニメ映画『きみの色』の監督を務める山田尚子さんと、本作の主人公・日暮トツ子(CV.鈴川紗由)のルームメイト・八鹿スミカを演じる声優の寿美菜子さんにこの問いを投げかけてみると次のように答えてくれました。
寿「3つあるのですが、そのうちの1つは山田監督と初めてご一緒させてもらった『けいおん!』です。あの時に抱いた安心感は今思うととても貴重なこと。いい体験をさせてもらっていました」
山田「初めて監督をした作品『けいおん!』です。“初めてだから知らないこと”の強みを一度でも味わえたことは後の仕事にも繋がっていると思います」
約15年前(2007年)に放送した同作について、大切な宝物のように語ります。後におふたりが携わるアニメ作品へ大きな影響を受けている理由をお話しいただきました。
また、そんなふたりが携わった最新作『きみの色』。山田監督が「観てくださった方が少しでも生きやすくなるような、抱えている荷物を少しでも降ろしてあげられるような、そういう作品になったらいいな」と語るように、誰かの人生に影響を与えてくれるであろう本作についても聞きました。
15年来の仲であるおふたりの仲睦まじい様子を、写真と共にお楽しみください。
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INDEX
――最初に、おふたりにとってご自身のキャリアに影響を与えたアニメ作品を教えてください。
寿 美菜子(以下、寿):
自分のキャリアに影響を与えてくれた作品はたくさんあって選ぶのが本当に難しいのですが……やはり“初めて”を経験した作品はすべてが印象的なので、一生懸命考えて“初めて”を経験させてくれた3作品に絞りました(笑)。
まず1つめは、山田監督と初めてご一緒させてもらった『けいおん!』です。「『きみの色』ジャパンプレミア(2024年7月3日開催)」でもお話させていただきましたが、初めてご一緒してから15年も経つんですよね……!
山田尚子(以下、山田):
あっという間ですね……!
寿:
私にとってほぼ初のアニメメインレギュラー作品が『けいおん!』で、今思うと本当にすごく贅沢な時間を過ごさせていただきました。
山田監督のキャラの愛し方、築き上げ方、そして作品をつくる時のすごく楽しそうな表情。「とても愛に溢れている監督だな」と思いました。
――特に、山田監督の作品愛を感じたエピソードは覚えていらっしゃいますか?
寿:
いろんなところに愛を感じていました。例えば、アフレコが始まる前に監督から役についての説明があるんですね。「こういう思いでこの作品を作りたい」という作品に対する思いはもちろん、「このキャラクターのことを私はこんな風に思っています」と山田監督から見たそれぞれのキャラクターへの思いをたくさんお話ししてくださって。演じる側も「わかる、わかる!」となってしまうほど。
アフレコの中でも1話の収録時は演じるキャラクターを探っている時間が長いんですね。自分の中で「この方向性で合っているのかな」と悩むことも多々ありました。だけど、山田監督は「それもいいですね!」と受け止めてくれつつ、より良い塩梅のお芝居へと導いてくれるんです。声優仲間の悠木碧ちゃんとも話していたのですが、それこそ山田監督は言葉のセンスが素晴らしくて!
――言葉のセンスというのは……?
寿:
自分の中で「こんな感じかな」となんとなく思っていることを、山田監督は明確に言語化してくれるんです。その言葉に毎回「なるほど!」と納得させられるので、山田監督作品のアフレコでは安心と自信を与えてくれます。
『きみの色』の話になるのですが、例えば「スミカは一見すごくギャルっぽいけど、根はすごくいい子」と言ってくださったので、「なるほど!そっちのタイプのギャルを演じればいいんだな!」と。本作でも安心して「その道に進もう」「山田監督について行こう!」と思いました。
――寿さんにとっての山田監督は、15年経っても変わらず導いてくれる存在なんですね。ちなみに、山田監督は『けいおん!』当時の寿さんに対して印象に残っていることはありますか?
山田:
寿さんが制服を着ている頃を知っているのは、自分の特権のように感じています(笑)。
寿:
あー! そういえばそうでしたね!(笑)
山田:
当時はまだ高校生でしたもんね……。寿さんが制服姿でアフレコ現場にいらっしゃったことにすごく感動していました。かわいかったです。
寿:
たしかに、そうでしたね(笑)。ありがとうございます。
寿:
私は子役でも活動していたのですが、当時は「アフレコ現場って緊張したり怒られたりする怖い場所」というイメージが強かったんです。だけど、「リラックスしていいんだよ」「役としてこの場所で生きてくれたらいい」と山田監督に言ってもらえて……それまでの現場のようなプレッシャーを感じずに作品の世界へスッと入っていける。そんな道を整えてもらいました。
あの時に抱いた安心感は今思うととても貴重なこと。いい体験をさせてもらっていたのだと思います。
――寿さんのキャリアに影響を与えた作品、もう2つはいかがでしょうか?
寿:
2つ目は佐藤順一監督と初めてご一緒した『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』です。山田監督もそうなのですが、佐藤監督も諦めずに一緒に歩みを進めてくださるんですよね。お芝居をしていると「もっと上手く演じることができるのでは……」と悩むことがたくさんあるのですが、監督から見えている作品のビジョンやキャラの解釈を押し付けるのではなく「一緒に考えよう」と目指しているところへ導いてくれる。できないことがあっても、「もうちょっとで到達できるよ!」と諦めないでくれる。それがとてもありがたいんです。
寿:
また、佐藤監督の娘さんと私が偶然同い年で「娘と仕事をしているみたい」と言ってくださったのも印象に残っています(笑)。それがきっかけでいろんなお話をしていただきました。
山田:
いいお話!
寿:
ほかにも、以前ラジオの企画で佐藤監督がお手紙を書いてくださったことがあったんですよ! そこで、「寿さんは誰かのために頑張るのがすごく得意な人」と言っていただいたのが、とても嬉しかったです。
山田:
それは好きになっちゃいますね……!
寿:
私自身、作品に励まされることがたくさんあるからこそ、「私の出演する作品を観た人が喜んでくれたらいいな」と思いながらアフレコに臨んでいます。なので、佐藤監督に「誰かのために頑張るのがすごく得意な人」と見ていただけたことが本当に嬉しかったです。
――自分の中で意識していたことを見てくれているのはとても嬉しいですよね。それでは、3つ目の作品についても教えてください。
寿:
3つ目は、初めて吹き替えを任せていただいたアニメ映画『ヒックとドラゴン』です。オーディションで選んでいただいた作品だったのですが、全く上手く演じることができなくて……。原語版の声優さん(アメリカ・フェレーラ)と8歳くらいの年齢差があったんですね。当時18〜19歳だった私は、彼女の大人っぽい雰囲気に追いつくことができず、何度も録り直してへこたれそうになっていました。
――そこでめげずに頑張れたのには、どんな理由があったのでしょうか?
寿:
作品のストーリーや伝えたいこと、キャラクターの解釈を深めていくと頑張ることができたんです。というのも、『ヒックとドラゴン』って少し変わったキャラクターは多いけど本当に悪い子はいなくて。とても温かく素敵な作品だったことは、へこたれたままでいなかった一つの理由だと思います。おかげで、映画とTVシリーズを合わせて10年くらい出演させていただきました。
吹き替えの声優は、原版の役者やキャラクターと骨格が似ている人を選ぶということもあり、キャストとキャラクターが重なっていたのも印象的で。現実の世界に現れたように感じていました! それは、TVアニメのキャストをしていた時には抱かない感覚で、吹き替えというTVアニメとは少し違うアプローチで「その場で生きているお芝居」をすることに強い衝撃を感じました。
寿:
ということで、“初めて”を経験させてくれた3作品は『けいおん!』『うみものがたり』『ヒックとドラゴン』でした。
――続いて、山田監督のキャリアに影響を与えた作品についてもお聞きしたいです。
山田:
私は、シンプルに初めて監督をした作品『けいおん!』です。あの時の私は“ブルドーザー”のようでした(笑)。
――“ブルドーザー”、ですか?
山田:
アニメの仕事を始めて4年目くらいの時に監督を任せていただいたのですが、本当に怖いもの知らずだったなと思います。“知らないこと”の強み、みたいな感覚を一度でも味わえたことは、『けいおん!』後の仕事にも繋がっていると思います。
初の監督作品だからこそ一つひとつの作業が「初めまして」の気持ちでしたし、「添い遂げていくぞ!」という思いを注ぎ込んでいました。そのため、『けいおん!』はすごくビビットな作品に仕上がったと感じています。
ただただ楽しく『けいおん!』の子(キャラクター)たちと遊んでいるような気持ちでしたね。ご一緒したスタッフのみなさんとも友達のような関係で、本当に楽しい制作現場でした。
――ブルドーザーのような勢いは、その後の作品でも衰え知らずだったのでしょうか?
山田:
「怒られても知りません!」と突っ切る強さみたいなものはありましたね(笑)。でも逆に、叱られて凹むようになることもありました。作品との向き合い方はずっと変わらないですけど、反省を覚えたと言いますか……。そういう小さな変化はあります。
なので、『けいおん!』制作当時はずっとブルドーザーのような勢いがあったなと。
山田:
ほかにも影響を与えてくれた作品はたくさんありますが、言い出すと全部になってしまうので一つにとどめておきます(笑)。
――山田監督最新作『きみの色』は、人が「色」で見える主人公の高校生・日暮トツ子(CV .鈴川紗由)と同級生で美しい色を放つ少女・作永きみ(CV.高石あかり)、古書店で出会った音楽好きの少年・影平ルイ(CV.木戸大聖)が音楽で心を通わせる物語です。本作を制作する過程で、「これまで積み上げてきたキャリアが反映されている」と感じましたか?
寿:
『きみの色』に限らずですが、今まで演じた全ての作品が繋がっていると思っています。それこそ今作では山田監督をはじめ、以前にも複数作品でお仕事をご一緒したことがある音響監督の木村絵理子さんもいらっしゃって。
「おふたりと仕事をした経験があるから大丈夫だろう」と思えましたし、「こういう方向でスミカちゃんをつくっていきたい」とお芝居のスタイルの決め手となる要素をたくさん示してくれました。迷わずに楽しく演じられる現場だったんです。それは、これまで出演させていただいた作品が今に繋がっている何よりもの証拠だと思います。
山田:
私も同じことを思っています。毎作品、土台を作り直して新鮮な気持ちで向き合っているのですが、『きみの色』のアフレコ現場で寿さんの顔を見たら「『けいおん!』で初めてアニメ監督の仕事をしてから15年を経た今、「ちゃんと積み重ねてきたものがあったんだな」と感じました。
私のやってきたことを知っている方がいる安心感にホッとしたというか……そういう感情を今回はより強く抱きました。「ただいま」「おかえり」みたいな気持ちです(笑)。
――ここまで“おふたりが影響を受けてきたこと”について伺ってきましたが、映画『きみの色』を観た方にとってどのような影響を与える作品になってほしいと思いますか?
山田:
心の内にあるものを言葉や名前といった何かしらの形にしてしまうことで、取りこぼしてしまうものがたくさんあると思うんですよね。そういうこぼれてしまいそうなものを大事に受け取って、「大丈夫だよ」と伝えられたらと思っています。
こんなことを言ったらすごく偉そうですけど、観てくださった方が少しでも生きやすくなるような、抱えている荷物を少しでも降ろしてあげられるような、そういう作品になったらいいなという気持ちはあります。
寿:
私はキャストとして制作に携わっている時から山田監督の温かさや愛を感じている贅沢者ですが(笑)、完成したアニメーションを観た時も「温かくて愛に溢れている作品だな」と感じました。作品を観た皆さんにも、きっと同じことを感じてもらえるはずです。
――それでは最後に、『きみの色』がご自身のこれからの人生にどのような影響を与えてくれそうだと感じていますか。
寿:
今の私にすごく優しく寄り添ってくれる作品だと思いました。作品に出てくるすべてのキャラクターが心地の良い人で、自分の好きなことや大切にしたいことに向き合っている。特に主役3人のお芝居が本当に素敵で、「生きているんだな」と実感させてくれました!
寿:
また、誰かに言われたわけでもないのに、時間がないアフレコの中で“クオリティを高くする”となると、深く積み上げていく作業よりも省略できるところは省略する=“テンプレートにはめて演じる”ことがあって。楽しいけど、心を少し失いそうになる瞬間があるんですね。
だからこそできることももちろんあると思います。ですが、私は『きみの色』を通して、改めて「自分は深く積み上げていくのが好きなタイプなんだ」と認識することができました。自分が世の中にかけていたフィルターがどんなものだったのかを見ることもできたので、「今の自分の考えを改め直さねば……!」と思わせてくれる作品でした。
山田:
感無量です。ありがとうございます。そうか……なんて素敵な言葉をくれるのでしょう……。
山田:
私としては、オリジナル作品の監督ということがあり、作品のどこかに自分のものすごくパーソナルな部分を知らず知らずのうちに入れているんだと思います。あまり入れているつもりはないのですが、自分のパーソナルな部分が何もない状態で作品を作ることはできないと思うので……きっと何かしらは入っているのだろうと。
とはいえ、今はまだ映画公開前で制作“真っ最中”の気持ちが抜けておらずでして……人生に影響するまで漬かり切れていないので、この質問はあと5年後にしてもらっていいですか?(笑)
寿:
たしかに! 5年後にもう一度取材していただきたいですね!(笑)
山田:
ね、その時に何かいい答えが出ているかもしれません!(笑)
<スタッフ>
取材&編集:阿部裕華
執筆:羽賀こはく
撮影:上野留加
山田尚子ヘアメイク:宮本愛(yosine.)
寿美菜子ヘアメイク:中畑薫
寿美菜子スタイリスト:嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl)
寿美菜子 衣装:AOIWANAKA(ケープ、ノースリーブカットソー、スカート)、銀座かねまつ(パンプス)、COTOMONO MARCHE/COTOMONO MARCHEハンズ新宿店(イヤリング)
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8月30日(金)全国東宝系にて公開
■スタッフ
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
音楽:牛尾憲輔
キャラクターデザイン・作画監督:小島崇史
キャラクターデザイン原案:ダイスケリチャード
主題歌:Mr.Children『in the pocket』
制作・プロデュース:サイエンスSARU
製作:「きみの色」製作委員会
配給:東宝
■キャスト
日暮トツ子:鈴川紗由
作永きみ:高石あかり
影平ルイ:木戸大聖
百道さく:やす子
七窪しほ:悠木碧
八鹿スミカ:寿美菜子
作永紫乃:戸田恵子
シスター日吉子:新垣結衣
公式HP:https://kiminoiro.jp/
公式X:https://x.com/kiminoiro_movie
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/kiminoiro_movie/
公式TikTok: https://www.tiktok.com/@kiminoiromovie
(C)2024「きみの色」製作委員会
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