加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
本作は第一印象で拒否っていたチヒロもまこちゃんの可愛さの虜になり、まこちゃんのために一流のオタクになるべくオタク道を明るく真っ直ぐに全力で走り抜けてまこ最推しガチ恋オタへと変化していく「ちーくん」の姿も見ていて清々しかったです。でも、あのまこちゃんのピュア可愛さは推すしかないので仕方がないとも言えましょう。
推し活初心者だったチヒロはベテランメイド・ゆめぴぴや、メイド喫茶常連客である「歴戦の猛者」たちから「オタクの在り方」をイチから伝授してもらうことに。チェキにもツーショットチェキ、ピンチェキなどさまざまな種類があること。推しメイドの生誕祭イベントでは豪華なフラスタ(フラワースタンド)を贈り設営すること、限定メニュー手に入る特別な“くじ”があること…。
特典を目当てに、腹パンになっても飲み食いし続けるという、推し活のなかでも身体を張る系のフードファイトをしたことのあるオタクにとって、あるあるエピソード満載です…! ポップなテンポでラブラブな“ちーまこ”カップルの成り行きを楽しく読み進められるオススメの一作です。
“コスメブランドのビューティーアドバイザーとして働くハルミは接客が下手で成績を伸ばすことができず思い悩む日々を送っていた。そんな彼が愛してやまないのは美容系動画クリエイターの榊(さかき)。彼の女装メイクやメンズメイク動画を見ながらヌいている自分にさらに自己嫌悪。ある日、店舗でハルミが見たのは自身の崇拝する榊。しかもタッチアップを希望される。最推しの唇にリップを塗る…人生最大の幸福に戸惑いと罪悪感を感じるハルミだが――!?”(コミックスあらすじより)
黙ってヤッてる俺と発言したお前とじゃモラリティが…こう…全ッ然違うんだよ!!!!!!!!!!!!!
【カップリング属性】こじらせ美容部員×美人動画クリエイター
ゲイの美容部員・ハルミが大ファンなのは美容系配信者で美人過ぎるおじさん榊。年齢や背景あたりはハッキリしないのですが、妖艶で人気もあります。ウキウキで新着動画を見ていたもののハルミは動画のコメント欄で「エロすぎ抜いた」と不適切発言を見つけてガンギレ!
実はハルミも榊さんの動画で抜いているのに、神格化しているので自己嫌悪に陥り、でも他人がエロい目で見るのは耐えられない。矛盾してますが推しをそんな目で見ないで欲しいお気持ちはお察しします。
その神として崇めている榊さんがタイトル通り、偶然ハルミの店に客として来店します。新色のリップをタッチアップすることになるのですが、このくだりでのハルミのパニックぶりは抱腹絶倒、腹がよじれるかと思うほど笑えます。「3Dの榊さんヤバイ」「VR榊さんじゃないか」「画質良すぎるなぜなら現実だから」やら現実に脳が処理仕切れないハルミの怒濤の“脳内ひとりしゃべり”がとにかくすごい分量です。超長文ですが多分めちゃめちゃ早口なはず。うり先生の手腕が発揮されたテンポの良い言葉が冴え渡ります。
ハルミの脳内の声が饒舌なのに、普段はコミュ障なキャラクターなところ、早口でまくし立てる場面の勢いは最高。キモいファン像を晒してしまい落ち込むハルミにさらなる追い討ちをかける同僚BAのキャラクターも面白すぎるので要チェック!
コスメという共通のコンテンツで意気投合した2人は、仕事を通じて少しずつ距離を詰めていきます。が、推しをエロい目で見ていることに後ろめたさを感じているハルミと、ちょっと様子がおかしいけれど真っ直ぐなハルミに好意を抱く榊との間で気持ちがすれ違っていく両片想いの恋模様がチグハグでまた笑えること間違いなし。
ハルミが榊信者すぎて色々と空回っているし、オタク過ぎて時々早口になったり突然泣き出したりと、情緒が安定しないところもまた爆笑。普段根暗なのにコスメと榊の話になると熱量がものすごい。榊の良さを榊本人に泣きながら訴えてる姿に、もはや榊もわかったわかったとなだめるなど、おかし過ぎて尊いです。
ハルミは自分に好意を抱いてくれている榊さんの気持ちには全く気付かず、情緒不安定な気持ちの乱高下を繰り返しながら仲良くなっていくのですが、榊さんが上手く誘導してあげなかったら、絶対恋愛まで発展出来なかったといっても過言ではないでしょう。動悸息切れ、オタク特有のひと息で語る早口と、ときめきの諸症状があふれ、爆笑しながら読めるハイテンションなラブコメディ作品です!
“新任ホヤホヤの非常勤講師、御子柴健(みこしばけん)22歳。絶対に学校では言えないヒミツがあります…。それは重度のこじらせ系ドルオタということ(し、しかも男の///)!ささやかながらも萌えに満ちた日々を送っていたけれどその日は突然やってきた――!教え子にヒミツがバレ、その引きかえに犬扱い。まるでかいぶつみたいな教え子に振り回されて!?”(コミックスあらすじより)
今日から先生は俺の犬………俺のことしか見れなくしてやる
【カップリング属性】リア充イケメンかいぶつみたいな高校生×22年間恋人なし子犬みたいなドルオタ先生
本作ののちに続く倉橋トモ先生の大ヒット作品「ハローモーニングスター」の始まりのスピンオフ元ともなる一作。暗黒の引きこもり時代に、姉に連れられて初めて参加した男性アイドルグループ・L.PLANETのコンサート。メンバー・アツトにバーン!とハートを撃ち抜かれてときめいてしまって以来、人生を変えられ、すっかりエルプラオタクと化している高校の非常勤講師の柴ちゃんが主人公。
重度のドルオタを隠している柴ちゃんですが、とある事情でやさぐれヤンチャな同高校の生徒・黒川にバレてしまいます。それを黙っててもらう代わりに、「犬になれ」とちょっかいをかけられます。ネタバレを避けて言うなら、てっきりアイドルとして活動している高校生×アイドルオタクの非常勤講師かと思いきや、読み進めるとそっちだったか!と意外な展開ですが、そのちょっかいを出される時の柴ちゃんがめちゃくちゃ可愛いのです!
行きがかり上、黒川が柴ちゃん宅を訪れた際、部屋の中は推し一色! 恥ずかしがる柴ちゃんを尻目に祭壇やうちわやポスターだらけの室内に驚き、黒川の柴ちゃんイジりも絶好調。元ドルオタの身としては我がコトのように居たたまれない気持ちになりました…!
また、柴ちゃんが自担アツトのポスターやうちわ、写真を触られたあとに「折れ目ついてないかな?」と心配する場面は、首がもげるほど頷き赤べこ人形状態になりながら共感しました。柴ちゃん、自担グッズ触られたらイヤだよね! 分かるよ!
でも柴ちゃんはピュアで素直で押しに弱くて、怒ってもカドが立たない優しさがあるので黒川がからかいたくなる気持ちもわかります。そして、黒川も全然悪いやつではなく、根がいい子なんだというのがちょこちょこ垣間見えて胸キュン。二人とも可愛い!と思いながら読めました。飼い主と犬というより、大型犬と小型犬な印象。
とはいえ、派手なピンクの髪色のせいだけでなく、大人びたイケメンで何かと目立つ存在の黒川は学生とは思えぬ俺様っぷり。柴ちゃんを精神的にも物理的にも翻弄し、からかい、“かいぶつ”のような自由さで振り回しますが、お互いふとした瞬間に相手の内心を理解したり気遣ったりすることが増え、いつしか特別に大切な存在となり二人の心の距離は縮まっていきます。
黒川には、やさぐれてしまう諸事情があり、ここで言えないのが辛いところですが、それが判明したのちストーリー後半は大きく物語が動くのでぜひとも本作をご覧ください!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上記5作品を「推しテーマBL」としてピックアップしてみました。思わず共感して頷ける作品や、新しいジャンルに沼れそうな作品、推し活をしたくなりそうな作品等々、BLからさまざまな推しジャンルを感じましょう。
(執筆:加藤日奈)
加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
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