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【推しの子】の描写はリアル? 2.5次元舞台プロデューサーに聞いてみた「ララライって大きな劇団なんだな…って冷静に考えちゃいました(笑)」

アニメ【推しの子】第2期は“2.5次元舞台編”が放送中。アクアらが人気漫画を原作とした『東京ブレイド』の舞台に挑む姿をメインとしたストーリーが展開していきます。
本編で挿入される劇中劇は2.5次元舞台を再現したかのような描写があり、稽古風景では“2.5次元役者あるある”などが度々挟まれており、2.5次元舞台ファンや関係者からは「リアルすぎる!」という声があがっているよう。

numanでライターを務めていたこともある、合同会社SrotaStage(※)のプロデューサー・通崎千穂さんに「制作会社によってさまざまかとは思いますが…」という前提で、お話しいただきました。
※合同会社SrotaStage:乙女ゲームや女性向けコンテンツの2.5次元に特化した舞台製作を行っており、ミュージカル『ピオフィオーレの晩鐘』、舞台『CharadeManiacs』、舞台『夏空のモノローグ』などを製作している。

Blu-ray『【推しの子】2nd』 (KADOKAWA)

Blu-ray『【推しの子】2nd』(KADOKAWA)

舞台『東京ブレイド』は「ビジュアルに自信がないとできない見せ方」

【推しの子】第2期1話(第13話)は舞台『東京ブレイド』のいわゆる“オープニング”から幕が開けました。ナレーションの後に、各キャラクターの名前とビジュアルがステージいっぱいに映し出される演出は、実際の舞台を見ているかのようでしたね。

通崎「原作コミックを読んだ時から、“IHIステージアラウンド東京(※)”だー!!と思っちゃいました。それとともに『東京ブレイド』って規模感の大きい2.5次元なんだ……『ララライ』って大きい劇団なんだ……と冷静に考えてしまいました(笑)。

※「ステアラ」の略称で親しまれた円形劇場。東京都江東区に存在したが現在は閉館。

アニメであんなに長尺で舞台のオープニングを見せてくれるとは思わなかったので、いい意味で驚きました。原作マンガのイラストから始まり、そこから舞台キャストを映し出している描写がリアル。あれはビジュアルに自信がある2.5次元舞台でしか出来ないやり方ですが……テンションが上がりますよね。

初めて観た2.5次元舞台のクオリティで、2.5次元というコンテンツの印象が決まってしまうので、舞台に偏見のあったアクアを、まずは1番規模感の大きいステアラに連れて行くというあかねの選択肢は正しいなと思いました。

ただ、アクアはステアラらしい映像演出に感心していましたが、あかねの言う通り『物理的課題を創意工夫でクリアする2.5次元』もとても魅力的なので、あかねがそこに言及してくれたのは嬉しいポイントです」

舞台は圧倒的にコスパが悪い。魅入られた人間だけが残る

続く、【推しの子】第2期1話(第12話)では舞台稽古初日の光景が描かれました。アクアやかならの他、劇団ララライ所属の役者が一堂に会する稽古場では“あるある”が散りばめられていました。
主演クラスは代役を立てることもあるが、あかね曰く「演技人は演技が好きなので、夜だけでも参加しようという人も多い」とのことでしたが、実際の現場の熱量はどのようなものなのでしょうか?

通崎「まず大前提として、2.5次元に限らず、舞台は究極に演劇が好きな人間たちの集まりだと思っています。というのも、映像やアフレコのお仕事と違い、ぶっちゃけギャランティの面だけを考えたら舞台は圧倒的にコスパが悪い。それでも“生のエンタメ”に勝るものはない、と舞台に魅入られた人間だけが最終的にこの業界に残ります。事務所の方針もあるので、本人の意志ではないこともありますが…。

その究極の集合体が、まさにララライのような“劇団”です。最近は “演劇ユニット”や“(俳優の)プロデュース公演”という形も多いですね。2.5次元界隈だとミュージカル『薄桜鬼』などで知られる毛利亘宏さん主宰の「少年社中」が昨年25周年を迎えています。劇団は2.5次元舞台を創るよりはオリジナル作品を上演することの方が多いのですが、最近だと伊藤マサミさんの劇団「進戯団 夢命クラシックス」が『うみねこのなく頃に』の舞台化シリーズを手掛けていますね。

先日、【推しの子】舞台化が発表されましたが、脚本・演出・作詞を担当する中屋敷法人さんも劇団「柿食う客」を主宰している方なので、今作にはぴったりだなと感じました」

「漢字が苦手な演劇人はいます(笑)」大事なのは原作解像度

また、ララライの看板役者である姫川やイケメン俳優のメルトが、かなに漢字の読み方を聞くシーンも。かなが「演劇の人ってなんで漢字読めない人多いの?」と苦言を呈していましたが、これは…?(笑)

通崎「漢字が苦手な子は結構います(笑)。稽古初日の打ち合わせである、いわゆる“本読み”前にこそっと脚本家や原作に聞きに行っている方を見かけます。

ただ2.5次元の舞台においては、漢字を読めるか、学があるかどうかより、原作の理解を深めてから現場に入ってくるキャストの心象が1番いいです。ちゃんと原作をやっていれば、専門用語は読めるはずなので。あと、単語のイントネーションで原作に触れてきたかどうかは結構分かります。

弊社で舞台化している乙女ゲームのような、アニメ化していないコンシューマーゲームなど、原作を履修するハードルが高いものでもしっかり原作に触れてくる人はいて、そういう方は最初から好印象ですね。

また、あかねが言及していた、グループに分かれるというのは現場によるかなと思います。確かによく聞く話なんですが、不思議と弊社の現場ではあまり見かけませんでした。

女性キャストと男性キャストで分かれている印象はありますし、ピンポイントに『この2人、仲がいいんだ』と思うことはありますが、決まったグループに分かれている印象はないんですよね。乙女ゲーム原作という少し特殊な舞台だからでしょうか。

別の会社の制作に入った際、男性キャストだけの現場では3~5人ずつの仲良しなグループがあった気がします。芸歴や年齢が近い子同士が固まる印象でした。キャラクターとしてのグループ分けがある時は、そのグループのキャスト同士でディスカッションしている姿もよく見ますね」

伝言ゲームになるのは否めない…齟齬が生じる場合も

2.5次元舞台編、最初の山場となった原作者・アビ子と舞台制作側のいざこざ。このくだりを見た通崎さんは「胃が痛くなりました…(笑)」と言います。その部分での苦労はやはり大きいようです。

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numan編集部

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