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『WIND BREAKER』は不良の概念をぶっ壊し!必殺仕事人のような爽快感がもう最高です

名だたる傑作アニメたちがひしめき合い、熾烈な覇権争いが繰り広げられている、2024年春アニメ。人気作が名を連ねる中、注目を一際集めている作品があります。

『WIND BREAKER(ウィンドブレイカー)』。タイトルからはどんなアニメなのか、全く予想がつかないこのアニメ。ウィンドブレイカーに身を包んだキャラクターが活躍するスポーツ漫画か何かなのかな……?という印象を与えかねないタイトルではありますが、実は本作、不良マンガなのです。

TVアニメ『WIND BREAKER』公式サイトより


TVアニメ『WIND BREAKER』公式サイトより

アニメ化以前より、新しい不良漫画の登場をほのめかしていた本作。

一体どんな作品なのか期待を抱いて視聴してみたところ、予想の斜め上をいく作品であり、不良・ヤンキー漫画の“概念”をぶち壊されてしまいました。

『東リベ』を生んだマガジン系。だけど、どこが違う…?

アニメ『WIND BREAKER』は、「少年マガジン」のWebコミック配信サイト「マガジンポケット」にて連載中の同名漫画を原作としています。

「これより先、人を傷つける者、物を壊す者、悪意を持ち込む者、何人も例外なくボウフウリンが粛清する」

偏差値ド底辺の超不良校「風鈴高校」で“てっぺん”を獲るために、ある街へとやってきた、桜遥。彼には喧嘩だけが唯一己の存在を証明できるものでした。そんな桜が入学した「風鈴高校」は超不良校だという噂に反し、街の人々から親しまれる存在。実は「風鈴高校」の生徒たちは“ボウフウリン”と呼ばれ、街を悪から守る正義の味方のような存在だったのです……。

『WIND BREAKER』1巻 (講談社)

『WIND BREAKER』1巻 (講談社)

講談社が発行する「少年マガジン」といえば、かつては不良・ヤンキー漫画を十八番としていた漫画雑誌。『カメレオン』などの数々の名作を世に送り出してきましたが、不良・ヤンキー漫画が全盛期だった時代は、1980年代から1990年代。そこから人気は下火になり、短ラン&ボンタンにリーゼントという出で立ちの不良やヤンキーに憧れる人々も少なくなっていったというのが現実でした。

そんな、かつては全盛を誇った「少年マガジン」の不良・ヤンキー漫画の人気を取り戻した作品と言えば、間違いなく『東京卍リベンジャーズ』でしょう。

それまでの男性読者からの人気を集めるような“極道寄り”の不良漫画ではなく、主人公が過去へタイムリープして歴史を変えようとするSF要素を大いに盛り込んだエンターテイメント性に優れたストーリー展開とクールなキャラクターの人気が相まって、女性読者の獲得に成功。かつて栄華を誇った不良・ヤンキー漫画の熱が、装いを新たにして再燃したというわけです。

『WIND BREAKER』2巻 (講談社)

『WIND BREAKER』2巻 (講談社)

そんな不良・ヤンキー漫画を得意としてきた「少年マガジン」系列で連載中の新作不良漫画と聞けば、期待せずにはいられない『WIND BREAKER』ですが、今回のアニメ化で初めて本作に触れたという方も多いことでしょう。

実は筆者もその一人なのですが、アニメ版第1話の冒頭から、どことなく他の不良マンガとは雰囲気が違うという実感がありました。一体なぜなのか……?
その答えは、物語が進んでいくうちに明らかになっていきました。

「必殺仕事人」のようなヒーローっぷりが気持ちいい!

本作が他の不良・ヤンキーマンガと決定的に異なる点……それは不良と呼ばれるような高校生たちを主人公としながらも、“ヒーローマンガ”として機能している点です。不良なのにヒーロー?とクエスチョンマークが灯った方も多いことでしょう。しかし、本作はれっきとしたヒーローマンガだと感じます。

主人公の桜遥が通うことになる風鈴高校は、偏差値最底辺かつ超不良校として悪名高く、校舎にはツタが生い茂り、落書きだらけといういかにもな学校です。しかし、街の人々は彼らを「ボウフウリン」と呼び、街を守る正義の味方として大きな信頼を寄せているのです。

風鈴高校の生徒たちは街で喧嘩をおっぱじめる輩を懲らしめ、路地裏のペンキ塗りまでも買って出ます。いわば、「必殺仕事人」のような役割を担っているのです。

DVD『WIND BREAKER』1巻(アニプレックス)

DVD『WIND BREAKER』1巻(アニプレックス)

これまで登場してきた不良やヤンキーを主人公にした作品は、スポーツものを除いて、どれも血生臭い極道色の強い作品が多かった印象です。激しい抗争、街を爆音で走り抜ける暴走行為、所かまわず殴り合いが開始される喧嘩シーン…たとえフィクションとはいえ、これらの場面は決して気持ちの良いものではなく、若干の嫌悪感を抱いてしまうこともあったかと思います。

そういった理由から、今まで不良マンガ、ヤンキーマンガを敬遠してきたという方が多いのも事実。しかし、本作はそんな嫌悪感を示すような描写が非常に少なめであり、嫌な気分どころか、良い気持ちにさせてくれるところもあるのです。

近寄りがたいいかつい見た目の青年たちが周囲から怪訝な視線を送られるのではなく、むしろ親しみの込められた「ボウフウリン」というニックネームで呼ばれる。彼らの喧嘩は“攻める”ためのものではなく、“守る”ためのものなのです。

『WIND BREAKER Original Soundtrack』(アニプレックス)

『WIND BREAKER Original Soundtrack』(アニプレックス)

劇中で「ボウフウリン」総代の梅宮一が口にする「喧嘩は対話、拳は言語」というセリフからもわかるように、自分のためではなく、他人のために拳を振るうという揺るぎない決意が、彼らにあるからこそ、ここまで気持ちの良い不良マンガに仕上がっているのではないでしょうか。

乱闘シーンがまさかの…格闘マンガのような小気味良さ

とはいえ、不良マンガである以上、縄張り争いなどの喧嘩というのはどうしても避けられません。ですが、本作の喧嘩の場面というのもまた、他作品とは一味違うのです。

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zash

子供の頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。

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