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「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。2024年8月の深堀りテーマは“ホラー”。「苦手…」と言いつつ、ついつい見たくなる・聞きたくなる…「ホラーを推す」特集を実施中。
そこで『野原ひろしの名言』シリーズ(双葉社)を著書に持つ、大山くまおさんに映画『クレヨンしんちゃん』のホラー描写について寄稿いただきました。※記事の特性上、ストーリーの内容や一部ネタバレに触れています。
夏といえばホラー。国民的人気アニメの中でも『クレヨンしんちゃん』には身の毛もよだつようなホラー描写があることでも知られています。
テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』には「クレヨンホラー劇場」や「カスカベ都市伝説」などのホラー作品がありますが、映画版だって負けてはいません。むしろ、映画だからこそできる容赦のないトラウマ級の描写があったりします。本当に怖い映画『クレヨンしんちゃん』のホラーシーンをご紹介しましょう。※掲載は制作年順です。
INDEX
シリーズ第3作は、戦国時代を舞台にしたアクションものです。しんのすけが出会った剣士・吹雪丸と雲黒斎の部下・ダイアナお銀との戦いは、シリアスかつ不気味な演出が施されていました。
美しい女性の姿をしているダイアナお銀ですが、吹雪丸が短刀で刺すと悲鳴をあげながら恐ろしい形相になって襲いかかってきます。口から毒ガスを吐き出しますが、最後は地面に叩きつけられ、首が外れて壊れてしまいました。ダイアナお銀はからくり人形だったのです。しんのすけも呆然と見守るしかありませんでした。
『クレヨンしんちゃん』とは思えないシリアスな戦いとダイアナお銀の断末魔の表情は、子どもたちの心にしっかりと恐怖を刻み込みました。
ファンの多いシリーズ第4作は、群馬にできたテーマパーク・ヘンダーランドを舞台にしたダークファンタジーです。
まず、怖いのがしんのすけを狙うス・ノーマン・パーの存在です。雪だるまのような見た目のス・ノーマン・パーは、ひょうきんな言動で幼稚園の先生や友達の人気者になり、さらにひろしやみさえにも取り入ってしまいます。安全圏のはずである家の中に敵がいて、その上、両親が自分ではなく敵を信用してしまっているのは、子どもにとって恐怖でしかありません。
もう一つは、ヘンダーランドから帰ったひろしとみさえが人形にすり替わってしまう場面です。車の中から無表情だったひろしとみさえですが、家の風呂の中でカクカク動きながらしんのすけに襲いかかります。
顔はひろしとみさえなのに身体は全裸の人形という見た目の不気味さもさることながら、頼りにしている両親がいつの間にか不気味な人形にすり替わっているというシチュエーションは、子どもにとっては恐怖でしかないでしょう。
シリーズ第14作となる本作は、初めて明確にホラーをコンセプトに据えた作品です。恐怖のあまり、劇場で泣き出す子どもを見た監督とプロデューサーが、心の中でガッツポーズをしたというエピソードがあります。
アバンタイトルからホラー要素が満載です。夜道を歩くよしなが先生が、電車が走る脇で自分と同じ顔の相手に襲われてしまいます。その後、電車の窓に恐ろしげなシルエットが連続して浮かび、よしなが先生の絶叫が重なる演出は、とても幼児向けのギャグアニメとは思えません。
本作は、春日部の街で人々が次々とニセモノに入れ替わってしまう「カスカベ都市伝説」をもとにした物語です。特に衝撃が強かったのが、風間くんのママが化け物に入れ替わっている場面でした。
風間くんがテレビを見ているすぐ横で、風間くんのママの顔が醜悪な怪物に変わり、鶏肉を丸呑みしてしまう場面はインパクト抜群。泣いている風間くんを抱き寄せながら、ママの顔が怪物に変わってしまう場面もあります。映画館で見た子どもたちにとって、間違いなくトラウマになったでしょう。
その他にも、頭に定規を突き刺したまま顔が歪む川口、怪物化して襲いかかってきたミッチーの顔が何度も醜悪に変化する場面など、刺激が強い場面が続きます。終盤はホラー要素がなくなってサンバをめぐる能天気な攻防になりますが、観客の子どもたちの気分は急には切り替わらなかったのではないでしょうか。
自分の親しい人間がいつの間にか見知らぬ者に入れ替わってしまう現象は、人間に根源的な恐怖を呼び起こします。他人に頼って生きなければいけない子どもにとってはなおさら恐怖でしょう。
『ヘンダーランドの大冒険』でひろしとみさえが人形に入れ替わる場面も同じ種類の恐怖を描いています。これは親しい人間がいつの間にか理解できない人間になってしまう、という現象のメタファーです。本作の元ネタである小説『盗まれた街』と同作を原作とする映画『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』も、そのような恐怖を生かしたSFホラーでした。
シリーズ第23作は、メキシコに引っ越した野原一家の物語です。
メキシコの街・マダクエルヨバカでは、おいしい実をつけるサボテンが大事にされていましたが、正体は宇宙からやってきた食人植物・キラーサボテンでした。やがて大量のキラーサボテンが自走しながら人々を次々と食べはじめ、物語はサバイバルホラーの様相を呈してきます。
怪物と化したサボテンに人々が食べられる場面もシンプルに恐ろしいのですが、音をたてると気づかれてしまうため、全員が無言でキラーサボテンをやり過ごす場面や、女子アナを乗せたヘリコプターが巨大化したキラーサボテンに食べられてしまう場面なども、スリリングで恐ろしく描かれていました。
なお、利権のために制御できないもの(サボテン)を大切にして被害に遭ってしまうというストーリーは、原発のメタファーとして描かれていたそうです。
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