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「霊媒師集団がアベンジャーズ並みにカッコよすぎる」映画『来る』【みんなの推しホラー作品】

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。2024年8月の深堀りテーマは“ホラー”。「苦手…」と言いつつ、ついつい見たくなる・聞きたくなる…「ホラーを推す」特集を実施中。

ホラーを推す2024 カバー画像

本特集の一つにあるのが、ホラーを推している人、ホラー作品にゆかりのある人から、映画・本・アニメ・ゲーム・YouTubeチャンネル…好きなホラーコンテンツを聞く「みんなの推しホラー作品」numan読者が昨今の暑すぎる8月の真夏にヒヤッとできるような、ついつい“ホラーを推してしまう”ような、そんなひと時へと誘います。

今回は、ホラー作品好きのnuman編集長が映画『来る』を紹介します。

映画『来る』とは?

2018年公開、中島哲也監督によるホラー映画(第22回日本ホラー小説大賞に輝いた澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』を原作に製作された実写映画)。

幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)の勤務先に、生まれてくる娘の名前を知る謎の訪問者が現れる。秀樹と妻の香奈(黒木華)しか知らないはずなのに……。さらに、訪問者を取り次いだ後輩は死亡してしまう。

その出来事の2年後、周囲で不可解な出来事が起こり始め、不安に駆られた秀樹はオカルトライターの野崎(岡田准一)を通して、霊感を持つキャバ嬢の真琴(小松菜奈)を訪ねる。

numan編集長のひとことレビュー

コワい。だけど、おもしろい。

『リング』なら貞子、『呪怨』なら伽倻子と、多くのジャパニーズホラー映画では恐怖の対象が描かれている。しかし、『来る』に登場する恐怖の対象は最後まで何者なのか描かれることはない。だからこそ、とにかくコワい。存在が分からないモノが迫り「来る」恐怖は、ほかのジャパニーズホラー映画ではあまりできない体験だった。

さらに、恐怖の対象は見えない存在(ここからは「怪異」と記述する)だけではない。怪異に襲われる人間が胸糞悪くなる人間性なのだ。一見誰から見てもいい人が裏では最悪な行いをしている様が描かれる。

「人は見かけによらない」そんな言葉がピッタリとハマるほど。それがまた恐ろしい。結局一番コワいのは人間なのかもしれない。この胸糞悪さは『嫌われ松子の一生』『告白』『渇き。』などで、人間のイヤ〜な側面を見事に描いてきた中島哲也監督ならではだろう。

一方、そんな得体の知れない怪異に襲われる一家、怪異の真相に迫るオカルトライター、怪異と戦う霊媒師集団……と、個性豊かな登場人物たちがコワさだけではない、おもしろさを演出してくれている。

特に、日本全国から収集された霊媒師集団がカッコよすぎる。除霊場所へ霊媒師たちが集合することを察知した怪異が、一人、また一人と霊媒師へ襲いかかってくる。その危険を霊媒師たちも察知し、新幹線で向かっている霊媒師の数人が「まあ 誰ぞ一人くらいはたどり着けるやろ」と言い残して数手に別れていくシーンがある。

これは『アベンジャーズ:エンドゲーム』でキャプテンアメリカが「(アベンジャーズ!)アッセンブル…」と言ったシーンに匹敵するレベルのカッコよさなのだ(さすがにそれは盛っているかもしれないが、鳥肌が立つくらいにはカッコよかった)。

怪異VS霊媒師集団のラストバトルシーンも、アクション映画のラストバトル並に目が離せない。「お経って最高にカッコいいジャパニーズミュージックじゃん……」と思わされた。日本のエンターテイメントをここぞとばかりに詰め込んだ『来る』で、コワさとおもしろさ、どちらも体感してほしい。

(執筆=阿部裕華)

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阿部裕華

編集者/インタビューライター。映像・漫画・商業BL・犯罪心理学の沼に浸かる者。推しは2次元の黒髪メガネキャラ・英国俳優・BUMP OF CHICKEN・愛猫2匹。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。

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