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『ダンダダン』は“現代オカルト”の分岐点になるか?「都市伝説をインスタントに消費しない」という信念

オカルトの世界は陰謀論から宇宙まで、幅広い世界の超自然的なことを含めてオカルトというのです。

世間的にオカルト=ホラーとなっているのは、ホラー自体がオカルトのなかでは華があって最も目立つ存在ですし、人々の興味を惹きつけやすいジャンルだからなのです。

にもかかわらず、オカルト=ホラーではない!と第一話で言い切ってしまうところに「オカルトをインスタントな要素にしない」という信念を感じ、筆者に深く刺さっています。

実際に作中には「レプティリアン」「セルポ星人」や「ネッシー」、「ドーバーデーモン」などの宇宙人やUMAが描かれています。オカルトというと荒唐無稽なものと思われがちですが、特に宇宙関連やUMAに関しては、ちゃんと科学的に検証しようとする風潮もあるのです。

UMAとのバトル中の分析やドーバーデーモンの健康問題など「オカルトだから」「そういうものだから」でふわっとさせずに「こうだからこうなのでは!?」と仮説を立てて実行し、解決に導いていくような描写が多く「オカルト舐めないでください」の精神は『ダンダダン』の根底にあるのだなと感じています。

いつかBackroomsやSCPのようなネットミーム系の超自然的なものも作中に登場するのかも...今後も楽しみですね!

オカルトのリデザインが秀逸。現代的な進化を遂げていく

『ダンダダン』の視聴を通して全体的に感じるのが「オカルトが現代風にリデザインされている」ということ。

単に現代風のファッションを着せたりするわけではなく「現代社会で、現実的にいたらこうなるんじゃない?」というツボを、ギャグだったりシリアスだったりとあの手この手を変えて近づけたうえで、物語に落とし込まれているのを感じます。

特に宇宙人関連はかなり自由に創作されているようで、これらは幽霊よりも姿かたちがはっきりしないことに起因しているのだと思います。

ターボババアやアクさらは名前だけで何となくの見た目年齢や性別がわかりますが、「セルポ星人」「フラッドウッズモンスター」「ドーバーデーモン」などは一見してどういう見た目・特徴をもっているのかが全く分かりません(宇宙人関連は、発見された土地の名前がそのまま名前になることも多いため)。

ですが、3mを超える巨漢とされているフラッドウッズモンスターはお相撲さんの姿をしており、体毛がなくツルっとした質感されているドーバーデーモンは、まさかのシャコ貝の異形頭をもった人型をしています。こうとされている、という特徴がわかりやすいデザインにし、決して安易なグレイ型宇宙人にはしないという強い意志を感じます。

また、創作性にあふれたデザインとはいえ基本的には有名どころを採用してくれるため、名前が判明する前にその特徴から元ネタを推理するのも楽しめました。

唐突に『シン・ゴジラ』っぽいUMAが出てきたときは「レヴィアタン・バジリスク・ネッシー」のどれかで迷いましたが「UMAといえばネッシーだ!」というオカルト脳により見事的中。一般的にはフタバスズキリュウ的な温和なイメージをもたれがちなネッシーをゴジラ風のデザインにし、親しみやすさと絶大なインパクト、そして攻撃的な印象を持たせるなんて...『ダンダダン』によってオカルトが再び注目される日が訪れるのも、時間の問題であるように思われます。

かつてはブラウン管から出てきていた貞子が、現代では配信画面から出てくる進化を遂げたのと同じように、『ダンダダン』の存在が分岐点となり、様々なオカルト的生き物が現代的な進化を遂げていくのかもしれません。

第一期の最終回が気になるところで終わった『ダンダダン』。「邪視」というホラー的に聞きなれた言葉や因習村のような存在も匂わされ、第二期が始まる2025年7月が待ちきれません!

オカルトが好きな方もそうでない方も、これを機会にオカルトの入り口として『ダンダダン』を楽しんでみてはいかがでしょう。

(執筆:宮本デン)

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宮本デン

音楽と酒とネット文化、そしてアニメ・ゲームに心酔するサブカルライター。大衆が作り出すカオスがどこまでいくのか見届けたいという思いで、日々執筆活動を行っています。表現に対する深読みや考察が大好きなオタク。あなたの好きなカルチャーを、深く独自に掘り下げます。

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