柴田捺美
サンリオを初めとしたKAWAII文化をこよなく愛するライター兼イラストレーター。その他占い、アニメ、BLなど得意と好きを生かして幅広く執筆を行う。
高音と低音を使いこなし、凛々しい印象の少年から、幼い女の子まで幅広い役柄を見事に演じ分ける声優・村瀬 歩さん。
もはや複数の声帯があるのでは……? と疑いたくなるほどの実力に加え、時折みせる流暢な英語やレベルの高いラップも魅力的です。
現在放送中のTVアニメ『時光代理人 -LINK CLICK- Ⅱ』(以下、『時光代理人』)では、なんと双子の兄・李 天辰(リー・ティエンチェン)と妹・李 天希(リー・ティエンシー)役を兼任する村瀬さん。
二人の幼少期や天辰が天希に扮するシーンなど「一人二役+α」を演じ、その“カメレオン声優”っぷりに賞賛の声が多く寄せられています。
しかし、そんな村瀬さんも「声優としての演技で求められることを勘違いしていた」「収録でNGを連発して、毎回一人だけ居残りしていた」過去があったそう。
一体どういうことなのでしょうか? 『時光代理人』での役作りのポイントを伺うとともに、村瀬さんの芝居へのこだわりを伺いました。
>>トキ役・豊永利行さんとヒカル役・櫻井孝宏さんのインタビューはこちら
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INDEX
ーー本作では双子の兄妹・李天辰と李天希役を演じられています。一人二役が決まった時の心境はいかがでしたか?
村瀬歩(以下、「村瀬」):
率直に、「どちらの役も演じさせてもらえるなんて!」とびっくりしました。
これまでも双子のキャラクターは何度か演じたことはありましたが、どちらの役も任せてもらえたのは今回が初めてでしたね。
しかも、男女の双子。すごくやりがいがありそうで、わくわくしました。
プレッシャーはあまり感じなかったかな。全く新しい役柄に挑戦するとき、緊張よりも「やってみたい」という気持ちの方が大きいことがほとんどですね。
それと、この作品には「縁」を感じたんです。
ーーどういう「縁」ですか?
村瀬:
実はお話をいただく前に、(ヒカル役の)櫻井孝宏さんと別の作品で一緒になって。収録が終わった後、ほかのキャストさんと一緒にご飯に行ったんですよ。
その時に櫻井さんが「『時光代理人』が面白い」みたいな話をされていて、僕も「面白そうだな」と思っていました。
李天辰・李天希役が決まったと話を聞いた時、「これ櫻井さんが言っていた作品だ!」と嬉しくなったんです。
ーーそんな出来事があったのですね。櫻井さんや(トキ役の)豊永利行さんとは一緒にアフレコされたのですか?
村瀬:
櫻井さんと豊永さんと現場でご一緒できたのは、1〜2回だったんです。その時はあまり掛け合う場面がなかったので、お二人が演技しているのを横で見ていました。
やっぱりお二人はすごいなと、感動しましたね。なぜならこの作品は中国語が原作なので、演じる側にとって“制約”があるんです。
ーーどんな制約があったのでしょう。
村瀬:
すでにアニメーションが出来上がっているので、キャラクターの口の動きや喋る尺もほぼ決まっている。それに合わせてアフレコするのはとても難しいんですよ。それをお二人はそつなくこなされていたので、さすがだなと思いました。
『時光代理人』は櫻井さん以外にも、豊永さんや古賀(葵)ちゃんなど、尊敬している先輩や仲の良い声優さんたちが多く携わっている作品。
大好きな人たちと一緒に、一つのチームとして作品を作りあげていくのがとても楽しいですね。
ーーそんな本作で村瀬さんが演じるのは、双子の兄妹と「一人二役」。さらに、二人の幼少期や天辰が天希に扮するシーンなど+αのお芝居が必要になります。演じる上で、どんなことを意識しましたか?
村瀬:
初めに台本を読んだ時、“お互いを必要として生きている”ことがすごく伝わってきたので、それが伝わるように意識しました。
あとは、二人の性格の違い。比べてみると違いが明確なんです。
男女の双子を演じる際、つい“性別の違い”ばかりに注目してしまいますが、僕は“キャラクター性の違い”を大切にして演じました。
兄・天辰は、自分に力が無いことをコンプレックスに感じていながらも、調子が良い時には少し天狗になることもあって。「自分はなんでもできる」というオーラを漂わせて、つい暴走してしまう一面があるなと感じました。
一方で妹・天希は、すごく人に優しくて、清い心の持ち主。
能動的に行動したり、自分の思いを言葉にしたりすることが得意ではないので、いつもお兄ちゃんに守られて過ごしてきたんですよね。
ーー第4話の初登場シーンでは、うまく言葉を発せない天希の幼少期が描かれていましたね。
村瀬:
小さい頃の天希に関しては、監督と「とにかくかわいらしい感じを出したいよね」と話していました。
それ以外は、演じ分けについては基本的に任せてくれましたね。
ーーとても声のお芝居への探求心の強さを感じます。そもそも村瀬さんが声優を目指したきっかけは、何だったのでしょうか。
村瀬:
大学2年生の頃に声優の養成所に入ったのですが、最初は声優になろうと思ったわけではなくて。「就職活動でアピールできそうだな」と新しい習い事を始める感覚で入学したんです。
でも、レッスンを受けるうちにどんどんのめり込んでいきました。負けず嫌いな性格なのもあるかもしれません。
一生懸命にやっているけど自分では全然納得できなくて、周りに追いつけないのがすごく悔しかったんです。
ゲームで「あとちょっとでクリアできる」みたいな場面で諦めるのが苦手なんですよね。やるなら最後までやらないと気が済まなくて。
養成所の友達とカラオケに行った時、映像に合わせてアフレコするミニゲームをみんなでやってみたのですが、全然うまくできず……つい夢中になってしまったこともありました(笑)。
ーーもともとお芝居には興味があったのですか?
村瀬:
ミュージカルや舞台を観るのは好きでしたね。でも、俳優になろうとは考えていませんでした。
小さい頃から運動が苦手だったので、全身を使ってお芝居するのは難しいかもと感じてしまって。声だけを使うお芝居なら、僕にでもできるかもと思いました。
あとは周りから「個性的な声だね」と褒めていただくことが多かったので、それを活かしたかったのも大きいです。
ーーお芝居をする中で、声優ならではの醍醐味はどこにあると感じますか?
村瀬:
「声の俳優」と表す通り、“声”だけでキャラクターにさらなる魅力を加えることができるのが醍醐味だなと思います。
必ずしも「かっこいい」というポジティブな印象でなくても、「怖い」「不快だな」とかネガティブなものでもいい。自分の声を乗せることでキャラクターの可能性を広げていくのは、とても楽しいですね。
台詞を「音にする」という作業自体は、台本をしっかり読んでいれば成立してしまうかもしれません。でも、それは少し違うなと思っていて。
個人的には、声優は「キャラに声帯を貸してあげて、(そのキャラが)自由に言いたいことを言葉にする」のが理想だと考えています。
ーー面白さもある反面、難しさを感じることもあるのでは?
村瀬:
もうそれは……本当にたくさんあります(笑)。
収録現場でNGがかかったり、久しぶりに演じるキャラクターは収録前にチューニングが必要な場合もあるので、「どんな感じで聞こえる?」と周りに意見を求めることもありますね。
ーー周囲の方を信頼して、幅広く意見を取り入れているのですね。
村瀬:
作品はみんなで作るものですから。より良いものを作るためには、自分だけの視点で「これはこう」と決めつけるのではなく、監督やスタッフさんなど、自分とは異なる視点から見た意見を取り入れることが大切だと思っています。
昨年とある子ども向けアニメで“ナイト”に変身する男の子の役を演じたのですが、その大切さを再発見しました。
ーーどんな場面で実感したのですか?
村瀬:
戦闘シーンで「いざ変身して敵を倒すぞ!」となった場面の台詞で、僕は危機が迫る演技をしたんです。
そうしたら監督から「柔らかい感じでお願い」とリクエストをいただいて。正直少し戸惑いましたが、監督を信じてトライしてみました。
そうしたらオンエアを観て、納得したんです。「確かにこの場面は覚悟だけで行き切るのではなく“柔らかい感じで”良かったな」と。どの作品にも流れている空気感があり、ともすれば少し恐く聞こえかねない演技になってしまったかもしれません。
なので、自分だけでなくみんなで作品を作っているという意識は大切ですし、そのためにディスカッションをすることにとても意義があるなと感じています。
ーーすてきです。でも、自分のだめな部分を聞くのは勇気が必要ですよね。
村瀬:
そうですね。正直、新人の頃は「直せなかったらどうしよう」と思って聞けなかったこともありました。
でも、とある作品の現場で徹底的にダメ出しを食らってしまったことがあって……そこから考えを改めたんです。
当時はアフレコがある度に僕だけ居残りになって、16時から22時くらいまでひたすら収録していましたね。
ーー村瀬さんにもそんな経験があったのですね。
村瀬:
その時に「恥を捨てて、何がダメなのか聞いちゃった方がお互いのためだな」と思ったんですよ。
吹っ切れたといいますか、そんな経験があったからこそ今は聞くことに関して恥や余計なプライドは無くなりました。
監督やスタッフの方は決して僕を辱めたくてダメ出しをしているのではなくて、作品をより良くするために仰っているんですよね。それならば、自分の至らない部分も含めて共有することが大切だと思うんです。
ーーお話を伺っているとキャラクターの内面を非常によく分析されている印象を受けましたが、もともとそのような癖があったのでしょうか?
村瀬:
いえ、昔は全然でしたね。「声優」って“声”が“優”れているとも表すので、新人の頃は「キャラクターの台詞をかっこよく、もしくはかわいらしく言わなきゃいけない」と勘違いしていて。
内面を理解することよりも、“優れた声で”表現することばかりにこだわっていたんです。
今振り返ると、小さい子どもがキャラクターの声まねして遊ぶことの延長線上で演じてしまっていたのかもしれません。
でも、とある出来事をきっかけに考えが変わったんです。
ーーどんな出来事ですか?
村瀬:
とある先輩声優さんとお芝居について話していた時、ちょっとした悩み相談と言いますか、「なんであの時の演技がNGだったんだろう」と話したことがありました。
すると先輩は「自分の台詞を、自分のために言おうとしてるからだよ」と仰ったんです。
当時経験が浅かった僕には、その意味が理解できなくて……。「キャラクターの魅力を打ち出すのが声優の仕事だから、台詞をかっこよく言うことが大事じゃないんですか?」と聞いてしまったんです。
ーーまさに「優れた声で表現する」ということですね。
村瀬:
はい。それを聞いた先輩は、「声優やキャラクターのために台詞があるんじゃないんだよ」「台詞は“誰かに渡す”ためにあるから、それを自分がどういうトーンや感情を乗せて言うかはさほど重要ではない」と教えてくれました。
つまり、うまく言うことに意識を向けるのではなく、相手に渡すことを意識しなければいけない、と。
それを聞いて、ハッとしました。「“かっこよく言う”ことばかりに気を取られていて、一緒にアフレコする方の演技をきちんと見れていなかったのかもしれない」と気付いたんです。
その証拠に、“台詞を先に準備しちゃっていた”んですよね。
声のトーンや抑揚の付け方、事前に考えてきたものに固執してしまっていて、周りとの掛け合いをよく意識できていなかった。
相手を観察したり内面を分析したりするようになったのは、そのことに気づいてからですね。
すると徐々に、「自分が演じるキャラクターと自分自身の違い」も気になるようになりました。
ーー他人を観察する癖がついたことで、新たな疑問が生まれたのですね。
村瀬:
そうですね。僕はけっこうあまのじゃくな性格で、つい他人と違う行動をしたくなるからこそ違いが気になるのかもしれません。「これをしてください」と言われたら、「はーい!」と返事をしながら全く別のことをやりたくなってしまうんです(笑)。
「このキャラクターはこう言われてこの行動をしたけど、自分はそうしないな」と相違点を探っていくうちに、だんだんと「この子はよくこんな台詞を言うけど実は強がりなのかも」と内側にある感情にも気付くようになりました。
自分なりの視点でキャラクターを観察して、「これってこうかも?」と仮説を立てるのは楽しいですね。
ーー演じるキャラクターだけでなく、対人関係においても分析することは役立ちそうです。
村瀬:
最近「16パーソナリティー診断」が流行っていますけど、それみたいに「この人って実はこんな一面あるよね」とつい自分なりに分析してしまいますね。
もし相手から「違います!」って言われたら、また違う角度から魅力を探ってみて……。
そうやって自分と他人を比較したり、分析したりする楽しさに気づいたのは、声優という職業に就いたからこそだと思います。
(取材・執筆:柴田捺美、取材・編集:阿部裕華、撮影:小川遼)
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TVアニメ『時光代理人 -LINK CLICK-Ⅱ』
スタッフ
監督・脚本:Haolin(リ・ハオリン)
キャラクターデザイン原案:INPLICK
総演出・総作画監督:LAN
美術監督:朝見知弥、朱立朴/ジュー・リープー
エグゼクティブ・ディレクター:張予夏/チャン・ユーシア 、陸婉玉/ルー・ワンユー
色彩設計:のぼりはるこ
音楽:天門、yuma yamaguchi、Kent watari、犬養奏
アニメーション制作:瀾映画
日本版製作:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ 、株式会社アニプレックス
日本語吹替版キャスト
トキ/程小時(チョン・シャオシー):豊永利行
ヒカル/陸光(ルー・グアン):櫻井孝宏
リン/喬苓(チャオ・リン):古賀 葵
銭進(チエン・ジン):中村悠一
李天辰(リー・ティエンチェン)/李天希(リー・ティエンシー):村瀬 歩
(C) bilibili/BeDream
公式サイト:https://link-click.jp/
公式X:https://x.com/linkclick_anime
柴田捺美
サンリオを初めとしたKAWAII文化をこよなく愛するライター兼イラストレーター。その他占い、アニメ、BLなど得意と好きを生かして幅広く執筆を行う。
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