双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
「もしも相手の秘密を知ってしまったら、あなたはどうしますか?」
2024年10月4日公開のオリジナル長編アニメーション映画『ふれる。』では、不思議な生き物「ふれる」が持つ“お互いの身体に触れ合えば心の声が聴こえてくる”というテレパシーにも似た力によって、幼馴染3人がお互いの考えていることや秘密を共有しています。
そんな作品にちなんだ“もしも”の質問を、同作で永瀬 廉さんとともにトリプル主演声優を務める、坂東龍汰さんと前田拳太郎さんに投げ掛けてみることに。
すると、坂東さんは「大切な人だったら絶対に伝える」、前田さんは「黙っておく」と、正反対の回答が返ってきました。
同作で演じるキャラクターも、坂東さんが演じる祖父江 諒は体育会系の兄貴分、前田さんが演じる井ノ原 優太は優しく、コンプレックスが多めな性格……と、正反対な印象。
ひょっとすると、演者であるお二人の性格や価値観も正反対なのでしょうか?
もしもの質問に加えて、演じたキャラクターとの共通点について伺うと、前田さんは「僕と優太は考えすぎちゃう性格が似ていて、龍汰くんと諒はみんなを引っ張ってくれるところが似ている」との回答が。
『ふれる。』の世界観のようにどこか不思議な魅力が漂う、お二人の掛け合いをお届けします。
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INDEX
――本作は、長井龍雪(監督)×岡田麿里(脚本)×田中将賀(キャラクターデザイン/総作画監督)という、“秩父青春3部作”を手がけたチームによる新作です。この3部作について、今作に携わる以前からご存じでしたか?
坂東龍汰(以下、坂東):
僕は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下、『あの花』)のアニメ、映画と実写ドラマを観ていました。
前田拳太郎(以下、前田):
『あの花』の実写ドラマは観れていないのですが、アニメは全部観ています。映画も観ました。
坂東:
さすが。僕は『ふれる。』オーディションのお話をいただいてから、3部作をすべて観させていただきました。
前田:
僕が『あの花』を初めて観たのは中学生くらいの時だったのですが、アニメにハマるきっかけになった作品なんです。
すごく感動して、以降もいろんなアニメ作品をよく観るようになって。そういった意味でも、すごく思い出深い作品ですね。『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』も、全部観ました。
――以前から“秩父青春3部作”ファンだった前田さんは、今作をご覧になってどんな印象を抱きましたか?
前田:
今の時代に合っている、すごくメッセージ性のあるお話だなと思いました。僕はこの作品を観て、「コミュニケーションってすごく大事だな」と改めて実感したんです。
世の中が変化するにつれてコミュニケーションのかたちも変化して、人間関係の悩みを抱えるようになった方は多いはず。
秋・諒・優太の3人は、不思議な生き物「ふれる」の力で心を通わせていますけど、だからこその問題も発生してしまう時があって。そういう部分は、多くの方に共感していただけるのかなと思いました。
――坂東さんはいかがでしたか?
坂東:
最初に台本を読ませていただいた時、学生時代の思い出がふと蘇ってきたんですよね。気が付いたら、当時の自分の気持ちと、諒の気持ちをリンクさせながら台本を読んでいました。
安易な言葉でまとめてしまっていいのかは分からないのですが……すごく“エモい”気持ちになりましたね。
僕は学生の頃、クラスメイトがすごく少なかったんですよ。1学年が1クラス9人しかいなくて、小学1年生から高校3年生までの12年間、同じ9人で過ごしていたんです!その中に、当時どうしても気が合わなかった子がいて。
大人になってからは仲良くなれたので、今は少し後悔しているところがあるんですよ。「もうちょっとコミュニケーションを取っていれば、違った関係性になれたのかも」とか「なんであの時、ああ言ってあげられなかったのかな」とか。台本を読みながら、その子のことを思い出しました。
――坂東さんも前田さんと同じく、コミュニケーションの大切さを『ふれる。』から感じ取ったのですね。
坂東:
この作品は、観た人の心に訴えかける力があるんだろうなと感じました。
それと、映像の迫力がすごいんですよ! 最初は完成前の映像を映画館ではない場所で観たのですが、そのあとに映画館のスクリーンと同じ大きさの画面で観させてもらって。そうしたら、全然違う!
前田:
全然違います。
坂東:
映像はもちろん、音の迫力もとにかくすごくて。
前田:
とくに終盤のシーンは、「風、本当に吹いてきてる?」ってなるくらい迫力がありますよね。
坂東:
そうそう。風がぶわぁっと吹いてくるような感覚がして、「あれ?服、全部脱げた? いや、全部着てるわ!」ってなるくらいすごかった(笑)。
前田:
(笑)。でも本当に、それくらいすごかったですよね。
――坂東さんが演じる諒と、前田さんが演じる優太は、永瀬 廉さんが演じる小野田 秋とともに幼馴染です。それぞれ演者とキャラクターに共通すると感じたポイントを伺いたいのですが、前田さんから見た、坂東さんと諒との共通点は?
前田:
諒は3人の中では引っ張っていっていくタイプで、龍汰くんも(廉くんと)3人でいるときは、率先して盛り上げてくれました。なので、そういうリーダー気質なところが共通点かなと思います。
龍汰くんが意識して盛り上げてくれていたのかは、分からないのですが。
坂東:
全然意識してなかったよ(笑)?
前田:
……意識していなかったそうですが(笑)、みんなを引っ張っていってくれる力を感じました。
坂東:
たしかに、前ちゃん(前田)はそういうタイプじゃないしね。
前田:
なんでそう思うんですか? 僕だって、みんなを引っ張っていく時があるかもしれないですよ!(笑)
坂東:
アハハ(笑)。廉と前ちゃんと僕の3人の中では、っていう話だからさ。年齢とかお互いの関係性もあるし、僕が年下だったらまた違ったかもしれないしね。あと前ちゃん、昔から空手やってたしさ。
前田:
空手って関係あります!?(笑)
坂東:
実際のところ、例えばプライベートで仲の良いメンバーでユニバ(ユニバーサルスタジオジャパン)とかディズニーランドに行こう」っていう話になったら、前ちゃんはどういうタイプ? 自分から率先して提案する?
前田:
基本はお任せしちゃうことが多いですね。でも企画は手伝いますし、調べ物もします!
坂東:
なるほど、ちゃんと協力はするのね。
前田:
そうですね。でもたしかに、僕が率先して「こうしたい」と主張することはあまりないです。
坂東:
僕も意外とそうかな。「ここに行きたい」と提案する前に、友達に「行きたい場所でいいよ〜」って言っちゃうタイプ。
前田:
優しい。そういうところは、やっぱり諒と近い気がしますね。リーダーシップがあるけど、周りをよく見ていて、包み込むような雰囲気があって。
坂東:
そうだ、キャラクターとの共通点についての質問だった!
前田:
アハハ。
坂東:
こういうところは包み込む感じではないよね。どちらかというと独走しちゃっている(笑)。
――反対に、坂東さんから見た前田さんと優太との共通点は?
坂東:
どうなんだろう。……前ちゃんは、自分でどんなところが優太と似ていると思う?
前田:
うーん、何でも考えすぎちゃうところですかね。日常会話でも、「相手はこう言っていたけど、実はこんなことを思っているんじゃないのかな?」って、すごく考えちゃいます。
坂東:
あ〜たしかに。ストレートに思ったことを伝えるというよりは、一回自分の中で考えるタイプではあるよね。
前田:
そうです。「相手は自分のことをどう思っているんだろう」と考え込んだ結果、「きっとこう思っているんだろうな」と、勝手に思い込んじゃうこともあって。
坂東:
なるほどね。じゃあ、もし相手に伝えたいことがあっても「伝えない方がいいんだろうな」って、伝える前から引っ込めちゃう感じ?
前田:
そうなんです。
坂東:
その点は、たしかに優太に似ているかもしれないね。作中で、優太が塞ぎこんでリビングに降りてこなくなるシーンがあるじゃない。それもきっと、「どうせ相手は……」って思い込んでしまっているのかなって思ったよ。
僕としては、「みんなが『もう夕飯だよ』って呼んでいるんだから、早く降りてくればいいのに!」と、もどかしさを感じたな(笑)。前ちゃんに対しては、それは感じたことはないですけどね。
前田:
もしかしたら、僕の中にもそういう面倒な部分があるかもしれないですよ?
坂東:
(笑)。悩んでいる姿は見たことがあるから、考え込んじゃうところは優太と似ているのかもね。
前ちゃんは、いろいろと考え込んでしまっても「ま、いいや!」って立ち直ることはできない?
前田:
できないです。
坂東:
サウナに行って、悩んでいること忘れようとかは?
前田:
サウナの中で考え続けちゃいます。
坂東:
アハハ! 息抜きして忘れようとしても、そこでまた考えこんじゃうのね。
前田:
だから、あんまり意味がないんです……(苦笑)。
――演じるキャラクター同様、お二人の性格にも違いがあるようですね。では、その違いをさらに深掘りするために“もしも”の質問をします。「ふれる」は相手に触れると心の声が聴こえる不思議な力を持っていますが、その力を使ってみたいと思いますか?
坂東:
(今作の出演が決まってから)100万回くらい聞かれた質問だけど、毎回悩むな(笑)。
前田:
僕は、うーん……使っちゃうかな。単純に、特殊能力への憧れってあるじゃないですか。
坂東:
わかる!ヒーローものとか、超能力者が主人公の映画みたいな。
前田:
だから、特殊能力を手に入れたら、せっかくなので使います!
――その力で偶然、他人の秘密を知ってしまったら、そのことを本人に伝えますか? 隠しますか?
坂東:
その人が僕にとって大事な人だったら、絶対に伝えるべきだなと思います。二人の間で、隠し事は無しにしたいから。
でも、そこまで深い関係ではない人だったら、わざわざ伝えることはないかもしれないな。だから、相手との関係性によるかも。
――もし偶然、前田さんの秘密を知ってしまったら…?
坂東:
黙ってる。
前田:
ちょっとぉ、そこは今の流れだと「伝える」って言ってくださいよ(笑)!
坂東:
アハハ。わかった、ちゃんと伝えます!
前ちゃんは「僕は前ちゃんの秘密を知ってるよ」って伝えたら傷ついちゃう気がするから、内容によっては伝えない方がいいかなって思ったんだよね。
――逆に、前田さんが坂東さんの秘密を知ってしまったら、どうすると思いますか?
前田:
龍汰くんだったら……言える気がします。
坂東:
そうだよね、僕は何でも言ってもらって大丈夫なタイプだからさ。
前田:
それはあるかもしれないですね(笑)。龍汰くんには言えそうですけど、基本的には知らないフリをするかもしれません。
だって、その秘密を自分の中に閉じ込めておけたなら、相手との関係性が変わらずに済むじゃないですか。伝えてしまうと、少なからず何かが変わってしまうと思うんです。
坂東:
プラスに変わるかマイナスに変わるかはわからないけど、何かしらの変化は起きるだろうね。じゃあ前ちゃんは、そこで安全な道を取りたいタイプなのかな。
前田:
そうです。
坂東:
なるほど、そういうところはやっぱり違うタイプかもね。僕は「秘密を知っている」と伝えたことで好かれようとも嫌われようと、どっちでもいいやと思ってしまう。例え大切な人であっても、伝えたことで関係性が変化してしまうならそれは仕方ないかなって。
それよりも、スリルを求めちゃうタイプだからさ。相手はどんな反応をするのか、ちょっとワクワクしちゃう(笑)。
――前田さんはどちらかというと安全な選択肢を取るタイプで、坂東さんはスリルを楽しむタイプ。これまでお話を伺ってきて、お二人は正反対なタイプという印象を受けました。
前田:
同じ系統ではないと思います(笑)。
坂東:
僕は、自分や相手の性格がどうなのかはよく分からないんだよなぁ。どうなんだろう、僕たち違うのかな?
前田:
正反対かどうかは自分では分からないのですが、龍汰くんと同じような性格の人には僕は会ったことがないです。
坂東:
(爆笑)。そっか(笑)
前田:
そうですね。僕にとっては、初めて出会ったタイプの人です。
(執筆=双海しお、撮影=小川遼、取材・編集=柴田捺美)
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双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
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