『走れSAKAMOTO』(ソニー・ミュージックレーベルズ)

『SAKAMOTO DAYS』でも注目。Vaundyの意外な“アニソン”を知ってる? Adoが歌う「超有名アニメ」のあの楽曲も実は…

原作マンガにはない映画オリジナルストーリーで、次世代オールマイトを自称する敵・ダークマイトと出久たちヒーローとの激突を描いた本作。映画版の公開に際して、こちらも従来から原作の大ファンだったVaundyはオープニング・エンディングの両主題歌を提供しています。

DVD『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(東宝)

DVD『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(東宝)

某所のインタビュー(※)によれば、映画の物語の幕開けを彩るオープニング「ホムンクルス」は劇場版作品そのものへ、エンディング「gift」はヒロアカ作品そのもの、そして原作者・堀越先生へ捧げる曲として作られたそう。

アーティストである自分と、ヒロアカ作品の一ファンである自分。その両立と価値観の差異に悩みながら、2曲を制作したと語っています。

(※)MEN’s NON-NO2024年8月11日「Vaundy「『ホムンクルス』は劇場版に、『Gift』は『ヒロアカ』と堀越先生に捧げる曲なんです」。『ヒロアカ』最新映画の主題歌『ホムンクルス』&『Gift』について」より

重ねて映画本編や音楽そのものとあわせて、今作はMVも重要な見どころ。2曲共通でMVには俳優・山田孝之が出演しており、研究所で眠っていたホムンクルス≒人造人間として、迫力の演技を披露していることも話題を集めました。

「ホムンクルス」と「gift」両曲の映像で続き物の物語ともなっているので、併せて見ると考察が捗るかもしれません。

さらに改めて2024年を振り返ると、昨年春公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』主題歌「タイムパラドックス」も、Vaundyが手掛けた楽曲の1つとなっています。

『タイムパラドックス』ソニー・ミュージックレーベルズ

『タイムパラドックス』ソニー・ミュージックレーベルズ

実は今曲は、彼にとって初のアニメ映画主題歌でした。またこれまで劇場版ドラえもん作品には数多くのアーティストが楽曲提供を行っていますが、2000年以降に生まれた男性歌手の中で起用されたのは、今回のVaundyが初めてだったんだとか。

楽曲には「ポケット」や「未来」といったドラえもんの世界観を反映するような歌詞もあちこちに散りばめられており、映画の物語との親和性もバツグン。


さらに楽曲MVには、人気俳優・染谷将太も出演。こちらもドラえもんの物語を彷彿とさせるストーリーとなっており、見ていて心がほんわかする映像となっていますよ。

実は…『ワンピース』のあの曲も提供!Ado版と聞き比べたい

いつの時代も子どもたちを魅了する人気アニメから、世代を問わず楽しめる名作アニメまで。幅広い作品を彩るVaundyの楽曲ですが、最後に意外と知られてないツウ向けのアニソンについてもご紹介しましょう。

まずはTVアニメ『SPY×FAMILY』2期エンディングの「トドメの一撃 feat.Cory Wong」。

アニメ『SPY×FAMILY』といえば、やはり1期主題歌のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」や星野源「喜劇」の印象が強い人も多いはず。ですが実は2期の主題歌もAdo「クラクラ」と今曲という、非常に豪華なラインナップが組まれていたんです。

今回フィーチャリングで参加しているCory Wongは、現代のファンクギタリストとして世界的に注目を集める凄腕プレイヤー。国内に留まらず海外のツウな著名ミュージシャンをピックアップした異例のコラボに、当時は驚いた人もきっと多かったことでしょう。

また今曲のMVには、女優・長澤まさみも出演。ジャンルの枠組みを超えたユニークで豪華なタッグが、各所で実現した1曲ともなっています。

さらに意外と知られていないアニソンとして欠かせないのは、2023年公開の映画『ONE PIECE FILM RED』へと提供された楽曲「逆光」。映画内ではウタ役のAdoが歌唱を担当しているため、Vaundyの印象はあまりない人もいるはず。ですがこの曲は正真正銘、彼が作詞作曲を担当した1曲でもあるんです。

彼自身のセルフ歌唱版も、2023年11月にリリースされた2ndアルバム「replica」にて収録。以来ツアーやライブ、各音楽フェスなどでも、会場のボルテージを一気に盛り上げるアンセムソングとしてたびたび披露されています。

Adoが歌唱するウタ版とも、また少し異なる魅力が楽しめる本人歌唱版。ぜひ聴き比べて、その違いも楽しんでみてください。

多彩なカルチャー背景がVaundy楽曲の魅力に

日本の音楽シーン最前線を担いつつ、同時にたくさんの名作アニメにも主題歌提供として華を添えているVaundy。こうしてさまざまな曲をチェックしてみると、彼が音楽のみならずマンガ・アニメなど多彩なカルチャーへの敬意を持って、数々の楽曲を生み出していることがよくわかります。

これからもきっと、彼はアニメのみならずいろんな作品の物語へ寄り添う名曲を、次々と世に放っていくことでしょう。次は一体、どんな名曲が作り出されるのか。今後の活躍からも目が離せません。

(執筆:曽我美なつめ)

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曽我美なつめ

音楽、二次元コンテンツ(アニメ/マンガ)を中心にカルチャーを愛するフリーライター。コロナ禍を経て10年ぶりにオタク・同人沼に出戻りました。全部宇髄天元のせいです。

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