阿部裕華
編集者/インタビューライター。映像・漫画・商業BL・犯罪心理学の沼に浸かる者。推しは2次元の黒髪メガネキャラ・英国俳優・BUMP OF CHICKEN・愛猫2匹。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。2024年8月の深堀りテーマは“ホラー”。「苦手…」と言いつつ、ついつい見たくなる・聞きたくなる…「ホラーを推す」特集を実施中。
本特集では、ホラーを推している人、ホラー作品にゆかりのある人から、映画・本・アニメ・ゲーム・YouTubeチャンネル…好きなホラーコンテンツを聞く「みんなの推しホラー作品」企画を進行しています。
2024年9月13日公開のホラーミステリー映画『この動画は再生できませんTHE MOVIE』に出演している俳優の世古口 凌さんが“ホラー推し”であるという情報をキャッチし、推しホラーコンテンツについてお話を聞くべくオンラインインタビューを敢行しました。当初は推しホラーコンテンツのお話だけ聞くはずが、驚くべき事実が明らかに……。
なんと、「以前“怪奇現象が起こる家”に住んでいた」というのです。
そこで、世古口さんの身に降りかかったホラーな体験について詳細なお話を聞きました。
また、そんな恐怖体験をしてもなお、ホラーを推しているそう。「“恐怖心”ってすごく大切な感情」「老若男女、すべての生き物、おばけも幽霊もみんな友達!」など独自の感性を持つ世古口さんから、ホラーを推す理由とともに、リアル廃墟ビルでの撮影に挑んだ『この動画は再生できませんTHE MOVIE』の見どころについてお話しいただきました。
#この動画は再生できません THE MOVIE
60秒劇場予告
主題歌:「新喜劇」 #NIKONIKOTANTAN(Getting Better / Victor Entertainment)
9月13日(金)シネマート新宿ほか全国公開 #かが屋 #和田雅成 #平野良 #世古口凌 #アキラ100% #桃月なしこ #福井夏 #あべこうじ pic.twitter.com/uNDBjHQDyX— この動画は再生できませんTHE MOVIE(2024年9月13日公開) (@konodoga) August 16, 2024
INDEX
――「ホラー要素の含まれているお話が好き」というコメントを拝見しました。世古口さんご自身、ホラーな体験をしたことはありますか……?
世古口 凌(以下、世古口):
以前住んでいた家で、怪奇現象を体験したことがあります。僕は霊的なものが見えるわけではないのですが、どうやら感じることはできるみたいで……そのときは何とも言い難い苦しさがありましたね。
――それはいわゆる“いわくつき”の物件だったというわけではなく?
世古口:
そういうわけではなく……。かなり調べて住み始めた場所でした。最初は何も起こらなかったのですが、少しずついろんなことが起こるようになって。例えば、近所に少し出かけて帰ってきたら、キッチンの水がドバーっと出ているとか。もちろんちゃんと閉めて外へ出ているのに、ですよ?
ほかにも、まったく寝付けないとか。寝ようとしても眠れないんですよ。だけど、お仕事で遠征に行ってホテルに泊まるとぐっすり眠れるんです。「なんで自分の家ではこんなに眠れないんだろう……」と悩まされました。
――金縛りが起こることもあったのでしょうか……。
世古口:
金縛りも酷かったですね……。一度、声がまったく出ないことがありました。普通に寝ていたら、何かに頭を押さえつけられて、枕にグーっと押し込まれたんですよ。最初は「夢かな」と思ったのですが、痛くて苦しくて目が覚めてしまって……そしたら何かに押さえつけられているわけですよ。声も出ないから、「ヤバいヤバいヤバいヤバい……」とどうにかして起き上がろうと思い切り力を入れたら、押さえつけていた何かがフッと離れていったんです。そして、そのまま起き上がろうと思ったら金縛りが起こるという。
さすがに「これはヤバい、絶対に居る」と思ったものの、どうしても寝たかったから「もう寝るのを邪魔するな!」と大きい声で怒鳴って、何とか眠りにつくことができました。
――うわあ……日常生活に支障をきたすレベルの怪奇現象ですね。
世古口:
あまりにもコワいから家でご飯を食べたくなくて、撮影現場でもらったお弁当を近所の神社で一人で食べることが日常になっていました(苦笑)。神社なら神様が守ってくれるんじゃないかと思って……。それくらい、めちゃくちゃコワかったです。
――怪奇現象の原因は分からなかったんですか?
世古口:
(家を)視てもらったこともあるのですが、結局何の霊かは分かりませんでしたね。今でも本当に何だったんだろうと思っています。だけど、引っ越ししてからそういう現象は起こらなくなりました。僕に何か憑いていたというよりは、“あの部屋”に何か憑いていたんじゃないかなと。
――今は平和に過ごせているなら本当に良かったです……。
世古口:
ただ、霊が視える方に友達が僕の写真を見せたとき、「この子、めっちゃ憑いてる」と言っていたみたいで。そんなことを言われても、どう対処すればいいのか分からないから困るんだけど……と思いました(苦笑)。
――ええ! 人伝に憑いていると聞かされても困りますね。
世古口:
そうなんですよ。ただ、そういう体験をしたことがあるからこそ、同じような体験をした方の話を聞いても信じられるようになりました。あまり他人事だと思わず、「自分にもこういうことが起こる可能性がある」と考えて生きていきたいと思っています。
また、幽霊より人間という生き物が一番コワいと思うんですよね……。最終的にそこに行きつくな、って。
――実際に生きている人の方が、自分に何かしら影響が及ぶ可能性があるからコワいというのはありますね……。
世古口:
そうです、そうです。でも人を信用する気持ちを失くしたら終わりだし、それを腐らせたくないとも思う。強い警戒心を持ちながら生きていくのもしんどいですしね。「いろんな人がいるな」と受け入れながら生きていくことも大切だなと思っています。
そういう意味で、フィクションや非日常的なホラー要素が含まれている映画やドラマが好きなんだと思います。見終わったあと、作品として「楽しかった!」と思えるから。現実でコワいことが起こると引きずってしまうけど、フィクションだったらファンタジーとして受け入れられますしね(笑)。
――2024年9月13日公開のホラーミステリー映画『この動画は再生できませんTHE MOVIE』に出演されますが、ホラー作品の撮影で奇妙な体験をすることはないのでしょうか。
世古口:
今回の撮影で明確に何かを感じたことはなかったのですが、撮影のロケで使った廃墟ビルの空気が、あまりよろしくない感じはありました。一昔前の建物のつくりをしていて、待機部屋も人がいないとコワいんですよ。その部屋に1時間くらい1人になることもあって。空気がめちゃくちゃ重いというか……。いわくつきの場所だったのかは知りませんが、「何も起こらないといいな」と思いながら撮影に臨みました。映画だけど、撮影場所はかなりリアルな雰囲気があると思います(苦笑)。
――視えはしないけど何かを感じていた時、何か意識したことはありますか?
世古口:
「気持ちを強く持っておこう」と思っていました。そういう得体の知れないものは、スーっと自分の中に入ってくると思うので。特に心が弱っている時に引きずられてしまうことって多いのではないかと。それは霊に限らず、人の気とかもですけど。日頃の行い、発言、気持ちが自分らしくなくなってしまう時って、何かが入り込んでいるんじゃないかと錯覚してしまうこともあります。だから、メンタルケアはすごく大切だと思っています。なので、今回の撮影でもメンタルケアをするよう心がけました。
――そんなメンタルケアをしながら撮影に臨んだ『この動画は再生できませんTHE MOVIE』。世古口さん演じるヒロトの役どころについて教えてください。
世古口:
僕が演じるヒロトは、「ヒロトの世直しちゃんねる」というYouTubeチャンネルを主催する動画配信者です。アシスタントのダイスケと一緒に、“世直し”という名目で悪事を働いている人、迷惑行為をしている人を暴いて、そういった行動を止めるという身勝手な正義感のもとで動いています。本作では、そんな彼らが廃ビルを探索する生配信をしている様子が描かれています。
僕自身、ホラーエンタテイメント番組「ゾゾゾ」をはじめ、YouTubeでホラーチャンネルを見ることが多くて。「ゾゾゾ」はホラーを知らない方もグーっと入り込めるので、そこからハマって、いろんなホラーチャンネルを見るようになったんです。なので、廃墟ビルでYouTube配信をするという役柄はイメージしやすかったです。
――普段からホラーコンテンツにふれている世古口さんが感じる、本作の見どころは?
世古口:
ミステリー要素が強く、単純なホラー映画ではないところ。ホラーミステリーという新しいジャンルを築き上げているなと思いました。張り巡らされた謎がどんどん解決されていくところがおもしろい。主演であるかが屋のおふたりが作中に逐一解説をしてくれるのも楽しく、観客にかなり寄り添ってくれている作品だと感じます。
だから、ホラーが苦手な人でも観やすい映画になっているのではないかなと。僕のマネージャーさんはホラーが大の苦手なのですが、楽しんで観れていたので(笑)。ホラー初心者の方は、『この動画は再生できません』からホラージャンルに足を踏み入れてもらいたいと思います。多くの人に観ていただけたら嬉しいです!
――世古口さんにとって“ホラー”を推すこととは?
世古口:
僕の中で、“恐怖心”ってすごく大切な感情だと思っていて。平和ボケってあまりよくないと思っているので、常に恐怖心を肉体の中に宿したいという意識から、コワい作品にふれているところがあります(笑)。とはいえ、ただコワがるだけでなく、例えば海外のポルターガイスト現象の動画を観て「これってどうやって起こしているんだろう?」と考える時間も好きです。
恐怖心を醸成させると同時に、エンタメとしてのおもしろさや心地よさも感じる。そんな不思議な感覚を得るために、ホラーを推しているところがあるかもしれません。
だから、YouTuberの方たちがいわくつきの場所へ行っているのを見ると、僕も行ってみたいなと思うんですよ。自分たちで現地に足を運んで、カメラとマイクを回して、仕込み一切なしでリアルなコワさを楽しみたい。だけど、何かにとり憑かれて仕事に支障をきたすのはコワいから、日々映画やドラマ、YouTubeなどのホラーコンテンツを見ることにとどめています(笑)。
――いわくつきのスポットに行ってみたいとのことですが、お化け屋敷に行かれることはないのでしょうか。
世古口:
お化け屋敷はまったくコワさを感じないんですよ……。「人間が働いているんだよな……」と現実に引き戻されてしまって。先日、富士急ハイランドの『戦慄迷宮』に行ったのですが、ビックリはするけど「おー! 人間だ……」みたいな(笑)。それは僕が捻くれているだけなので、本来はすごくコワくて楽しめる場所だと思います。
という理由もあり、いわくつきのスポットに行ってみたいんですよね。エンターテインメントに携わっている人間としては、いろんな体験が活かされるとも思うので、行った経験がないよりもあるほうがいいなと。危ないのは重々承知しているから、いつかホラーが好きな人たちと一緒に気を付けながら行きたいと思っています。
――行ってみたいスポットの目星はつけているんですか?
世古口:
やっぱりホラー作品が好きだから、ホラー映画やホラーゲームの舞台になった場所には行ってみたいです。感覚としては聖地巡礼に近いかもしれません。ちょっとコワいけど、それをファンクラブ会員限定旅行とかに繋げて行けたらいいなと思っています。マネージャーさんがホラー苦手だから難しいかな……(笑)。コワがっている人に憑いてしまうから、危険ですしね。なので、本当にやりたかったら(同じ事務所の)柊太朗くんについてきてもらおうかなとも思っています(笑)。
――コワがっている人への配慮を欠かさないところに、真のホラーファンであるという説得力を感じます(笑)。
世古口:
ハハハ(笑)。ホラーは好き嫌いが分かれるジャンルですし、おばけが嫌いな人がいるのも理解しています。僕は視えていないけど、実体験で大変な思いをしたから苦しみも分かりますしね。いつとり憑かれるか分からないから、自分も日頃から気をつけています。おもしろ半分で楽しむのではなく、本気で向き合おうという意識を持っています。
その一方で、エンターテインメントとしてホラージャンルを楽しむ人がもっと増えていったら嬉しいなとも思っています。みんながホラーに対して親近感を抱いてくれたら、ホラー好きとしては嬉しい。僕としては、「老若男女、すべての生き物、おばけも幽霊もみんな友達!」というマインドでいるので(笑)。
……こういうことを言っているやつが1番とり憑かれるから、ほどほどにしておきます(笑)。
(取材・執筆=阿部裕華)
2024年9月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開!
<STORY>
ホラーDVD「本当にあったガチ恐投稿映像」シリーズを制作する編集マンの江尻とオカルトライター鬼頭の元に様々ないわくつきの映像が届く。倒産した映画会社の倉庫で発見されたいわくつきのDVD。自称世直し系動画が迷惑者を懲らしめるという名目で廃ビルを探索する生配信。お笑い芸人とグラビアアイドルによるどこか奇妙な街歩き番組。編集マンとしての知識や持ち前の洞察力で動画の裏に隠された秘密を推理していく江尻とそれを見守る鬼頭だったが…。
<CAST>
加賀翔 賀屋壮也
和田雅成
世古口凌
平野良
桃月なしこ
アキラ100%
福井夏
あべこうじ
…ほか
<STAFF>
監督:谷口恒平
脚本:河口芳佳 谷口恒平
企画・プロデューサー:河口芳佳
製作:三木和史 加瀬林亮 遠藤幹彦
撮影:高橋正信
照明:太田博
録音:百瀬賢一
装飾:山岸 譲
スタイリスト:後原利基
ヘアメイク:板谷博美
編集:平野一樹
音楽:MOKU
音響効果:橋本正明
助監督:猪腰弘之
制作担当:石川真吾
製作:ミツウロコ/ビデオプランニング/BBB/tvk(テレビ神奈川)
制作・配給:ビデオプランニング
宣伝:とこしえ
<公式HP>http://www.tvk-yokohama.com/konodoga/
<公式 X> https://twitter.com/konodoga
阿部裕華
編集者/インタビューライター。映像・漫画・商業BL・犯罪心理学の沼に浸かる者。推しは2次元の黒髪メガネキャラ・英国俳優・BUMP OF CHICKEN・愛猫2匹。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
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