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映画『舞倒れ』は、佐渡ヶ島を舞台に舞に情熱を捧げる若者たちの葛藤と決意の物語。舞いにすべてを捧げ、情熱を燃やす主人公・吾潟(あがた)を演じる松田凌さんに、演じるうえで大切にしたことや撮影エピソードなどをお話いただきました。
INDEX
――まずは事務所の俳優仲間と共に映像作品に取り組んだ感想から聞かせてください。
松田凌(以下、松田):
とても嬉しかったです。以前から絵空事のように「いつか一緒に作品を作れたらいいね」という話をみんなとしていました。それが実現してこのような作品を作る機会をいただけたことは素直によかったです。
――台本を読んだ最初のインスピレーション、能×舞踏の融合した舞という題材についての感想は?
松田:
伝統芸能や歴史がある文化を体現するときには僕らは絶対的な準備期間が必要になるので、監督や脚本家の方にも「そんな生半可にはできないです」という風にはお伝えしました。
ただ今回は皆様が思い浮かべる「能」ではないとは言いたいです。というのも、皆様もあらすじを注視していただけたらと思いますが、今作品は今の生きている世界とは違う別世界のお話で、時代も昭和99年という異次元の日本のことを描いているんです。
今回学生服を着させていただいたのですが、現代的ではない服装だったりもしてどこか不思議な感じで。監督や脚本家の方が描きたかった世界観を踏まえて、僕らがどのような演技をしたらいいのかいろいろと相談させていただきました。
――吾潟役を演じる上で大切にしたこと、演じたポイントなどを教えて下さい。
松田:
どんなコミュニティにおいても集団で生きていくのは大変だと思うんです。吾潟も島で暮らしている人たちの中での舞や、下戸(橋本祥平)や硲兄(有澤樟太郎)との人間関係で青春みたいな悩み方をしている。
小さな世界だけど、それに必死に抗い続けてるその先が彼にとっては舞であり、舞への情熱は保ち続けていないと役として成立しなくなるみたいなことはずっと考えてました。
――物語が進むにつれ、吾潟は自分を追い詰め葛藤していきます。その気持ちは共感できましたか?
松田:
いや、正直なことを言うと僕は吾潟のようなプライドはないですし、その部分では共感できませんでした。どうしてそんな風に思ってしまうんだろうって台本を読んだときにも感じていましたし、裏を返せばそれが実力だと受け止められないところが若さなのかなと思います。
人から何かを言われたときに、思いが強いとはいえ自分の気持ちを先行しすぎるというのはエゴですし、「だから選ばれなかったんだよ」という事実に気付くべきだとは思うんです。
――撮影で印象的だったシーンなどを教えてください。
松田:
まずはロケーションです。主に佐渡ヶ島で撮影しましたが、本当に神聖なる場所で撮っていると感じました。それは景色であったり、また撮影の機会がない限り二度と訪れることはできないだろうなという山奥の神社にも行ったりしました。景色が生み出す画の強さや神秘的な雰囲気というのが一番の魅力かもしれないですね。
そして印象的なシーンとしては、やはりラストのシーンです。みんなで集結してそのシーンを作ることができたというのと、それまでみんな結構疲弊していたので(笑)、終わったときに「俺たち本当に頑張ったよね」と、祥平たちキャストのみんなと一緒に肩を組めたのが僕は嬉しかった。スタッフ、キャストが本当に真剣に向き合って日々撮影していたので、ラストシーンが終わったときのあの安心感を得れた瞬間は嬉しかったですね。
――橋本さん、有澤さんら事務所の後輩との結束が固かったんですね。
松田:
今回、うちの事務所の俳優たちがそれぞれ自分の知らないところで研鑽を積み重ねて、この作品に向かってきているわけです。彼らとは過去に共演していたりもするので、昔からの「その人らしさ」みたいな魅力は今ももちろんあるんですけど、素敵だなって思うところがどんどんアップデートされていました。
今後もそういう俳優たちと出会って高めていけたらと思いますし、自分もそうありたいと思います。
――作品に向けてのメッセージをお願いいたします。
松田:
『舞倒れ』というなかなか攻撃的なタイトルですが、僕はこのタイトルを気に入っているんです。舞に対して無我夢中になる主人公のように、僕も自分の人生に対して無我夢中になってすべてを出し切って「生」を全うしたい。人生踊り狂って倒れたいですね(笑)。
この作品の熱さみたいなものは感じていただけるとはと思いますし、地に足つけて一歩一歩強く生きるエネルギーを持っていこうではないですが、そんな後押しが作品を通してできたらいいですね。ぜひとも映画館にお越しください。
――ありがとうございます。最後に、「最近の沼、ハマってること」はありますか? ちなみに昨年の夏、同じ質問をさせていただきましたが、「仕事」とお答えいただいています。
松田:
思い出しました。「もっと趣味を持ちたい」って言ったんですよね。でもここでまた「仕事」と言うと笑ってくれるかな?
――かっこいいとは思いますが……。
松田:
でも、質問の答えとしてはつまらないので違うものを(笑)。僕お酒は好きですが、種類や銘柄にこだわるほどではなかったんです。でも、最近好きなお酒に出会いまして「ウッドフォードリザーブ」というバーボン・ウィスキーにハマりました。それを購入してから家に帰る楽しみができたぐらいの気持ちになっていて。
部屋でお花を眺めながらバーボン・ウィスキーを飲むというちょっと隠居みたいですが(笑)、「ウッドフォードリザーブ」というお酒の沼に片足を突っ込みながら、お家ライフを楽しんでいる最中です。
PROFILE
松田凌(まつだ・りょう)
1991年9月13日生まれ、兵庫県出身。
公式サイト https://cast-may.com/artist/ryo-matsuda/
撮影:笹井タカマサ
執筆:富田陽美(トリーヌ)
昭和九九年。佐渡ヶ島。日本は大国との戦争の渦中にあるが、日本最大の離島である佐渡ヶ島は戦火に巻き込まれることなく、外部からもたらされる限られた情報と島内の伝統が混ざり合い、独自の文化が発展を遂げていた。島の能文化の象徴である流派、鍍金流(ときんりゅう)。次代当主の硲(はざま・有澤樟太郎)、弟弟子の吾潟(あがた・松田凌)と下戸(おりと・橋本祥平)の3人は家元の千種(ちぐさ・田村一行)とその妻、願(ねがい・黒沢あすか)や歌見(うたみ・川添野愛)らと慎ましいながらも静かな時を過ごしていた。が、一つの便りがその未来に影を落とす。
映画『舞倒れ』
2024年3月18日(月)~21日(水)「こくみん共済coop文化フェスティバル2024」にて先行上映。
場所:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
出演:松田凌、橋本祥平、有澤樟太郎、川添野愛、田村一行、黒沢あすか、新田健太、榎本純、秋山皓郎、菊池宇晃、相澤莉多、滝川広大、伊崎龍次郎、深澤大河、本西彩希帆 他
監督:横大路伸
脚本:下浦貴敬
企画:キャストコーポレーション/Office ENDLESS
©映画「舞倒れ」製作委員会
◆ホームページ
映画『舞倒れ』公式サイト (officeendless.com)
https://officeendless.com/sp/movie_maidaore/
◆X(旧Twitter):映画【舞倒れ】公式 (@maidaore_2024)
https://twitter.com/maidaore_2024
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