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TVアニメ『ババンババンバンバンパイア』公式サイトより

織田信長、太宰治…『ババンババンバンバンパイア』の偉人たち。歴史オタクが史実から蘭丸との関係性を考察してみた

2025年1月11日(土)より、テレビ朝日系で全国放送中のアニメ『ババンババンバンバンパイア』(以下『バババ』)。一見すると、麗しすぎる吸血鬼と純粋培養の可愛すぎる男子高校生が織りなす胸キュン・ラブロマンス…かと思いきや、舞台はなんと老舗銭湯。そんな“ギャップ”に翻弄されながら、ブラッティ・ラブコメ(以下 BL)の情緒の乱高下を味わえる話題作です。

本作には個性的で魅力的なキャラクターが多数登場しますが、やはり目が離せないのは主人公の吸血鬼・森蘭丸。この名前を見て、ピンときた方も多いのではないでしょうか?

そう、実は本作の森蘭丸は、かの織田信長に仕えた小姓・森蘭丸その人なのです! 彼は460年もの長きにわたり、織田信長をはじめとして多くの歴史的な偉人たちと濃密な関係を築いてきたのです!

TVアニメ『ババンババンバンバンパイア』公式サイトより

TVアニメ『ババンババンバンバンパイア』公式サイトより

本作、そして史実の中で森蘭丸がこれまでにどのような偉人たちと関わってきたのか。その違いや本編ではまだ明かされていない関係性を深掘りしながら考察していきます。
※本記事にはアニメおよび原作のネタバレを含みますので、ご注意ください。

すべての始まり、織田信長と森蘭丸の噂

本作の森蘭丸は、歴史上の人物である森蘭丸その人であり、信長に仕える前に南蛮渡来の吸血鬼の手によって吸血鬼となった経歴の持ち主です。

織田信長と森蘭丸といえば、現実世界でも主従関係であると同時に深い関係にあったと噂されることが多い二人。実は史実上そういった事実があったかどうかは確定ではないのが現状ですが、本作においては、もちろん二人は深い関係。特に信長と蘭丸の最期のひとときが描かれるシーンには、思わず胸が締め付けられてしまいます。

このシーンは蘭丸の思い出として語られるのですが、そこから感じ取れる愛と悲しみが、数ページで表現されているとは思えないほどあまりにも濃厚。まるで歴史ものの長編恋愛漫画を一冊読み終えたかのような満足感と切なさに襲われます。

『ババンババンバンバンパイア』1巻(秋田書店)

『ババンババンバンバンパイア』1巻(秋田書店)

一方で『バババ』の現代パート自体は基本的にハチャメチャラブコメ調で進んでいくため、その温度差で整う感覚に陥り、まるでサウナのような中毒性が生まれるのです。

そして、この二人に関連して見逃せないのが森長可と明智光秀。森長可も作中で森蘭丸と同じく吸血鬼として登場しますが、注目したいのは本作における明智光秀の扱いです。

史実では怨恨、本編では愛憎?明智光秀の描き方が秀逸

史実上の明智光秀は、織田信長に対して謀反を起こし、本能寺の変で襲撃を仕掛けた人物です。森蘭丸とは異なり信長と深い関係にあったという説は囁かれておらず、謀反を起こした理由も信長からぞんざいに扱われた怨恨によるものが強いとされています。

しかし、本作における明智光秀は、森蘭丸曰くなんと「恋の好敵手」。とすると謀反を起こした理由も、史実とは異なったものがあるのかも...と読者としてはざわつき始めますよね。

『ババンババンバンバンパイア』7巻(秋田書店)

『ババンババンバンバンパイア』7巻(秋田書店)

織田信長、森蘭丸、明智光秀の間に愛憎渦巻く三角関係があるのなら、もう歴史BLとしては非常に栄養価が高い状態にあるのではないでしょうか。

原作では明智光秀をはじめとした好敵手たちの掘り下げはされていませんが、描かれないことで逆に妄想が膨らんでしまうというもの。こういうオタクのツボを突いてくるのが非常に上手な作品が『バババ』なのです。

坂本龍馬の実際の妻の名前が…! 友情と愛情の温かさ

織田信長を失った蘭丸は、その後遥かなる時を越えて、再び恋に落ちることになります。その相手こそが土方歳三と坂本龍馬です。

本作では蘭丸は行き倒れていたところを土方歳三に救われ、新選組の一員となります。そこで良き部下として土方歳三に惹かれていましたが、スパイとして土佐藩に潜入した際に坂本龍馬と出会い、彼にも同時に惹かれていくことになるのです。

『ババンババンバンバンパイア』4巻(秋田書店)

『ババンババンバンバンパイア』4巻(秋田書店)

その際に蘭丸が龍馬から呼ばれていた名前は、なんと「おりょう」。坂本龍馬とおりょうと言えば、坂本龍馬の妻・楢崎龍(ならさき りょう)のことです!
史実上、坂本龍馬の妻とされている女性・おりょうの正体が本作では森蘭丸...!?

もちろん史実上おりょうがスパイだったという事実は全くないのですが、”スパイ”に”史実上の妻”という役割を森蘭丸に与えて関係性をアツくしていくの、オタクの心をわかりすぎている!

坂本龍馬と蘭丸(おりょう)が過ごした穏やかな時間は、わずか数ページしか描かれません。しかし、それでも龍馬の笑顔とそれを見つめる蘭丸の恋する顔に、二人の友情と愛情がいかに温かいものだったかが映し出されています。

史実(歴史小説などの創作含)で坂本龍馬とおりょうがオシドリ夫婦だと言われていることや、奥嶋先生の描く坂本龍馬の飄々とした雰囲気が、信長と蘭丸とは違った、竹馬の友の延長線上にあるような関係性を匂わせていてクリティカルヒットです。さすがに尊すぎる。

上司と部下、竹馬の友…土方歳三との関係が何度も楽しめる

そして作中で同時期に恋をしていたことが匂わされているのが、土方歳三。新選組の一員となった蘭丸は上司である土方歳三に惹かれ「トシさん」と呼び慕っています。

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宮本デン

音楽と酒とネット文化、そしてアニメ・ゲームに心酔するサブカルライター。大衆が作り出すカオスがどこまでいくのか見届けたいという思いで、日々執筆活動を行っています。表現に対する深読みや考察が大好きなオタク。あなたの好きなカルチャーを、深く独自に掘り下げます。

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