すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
音楽は、世代を超えて受け継がれていくものだ。それは、数々の作品を彩ってきたアニメソングもまた然り。
2024年5月11日(土)から12日(日) の2日間にわたってKアリーナ横浜にて開催された、キングレコード主催の音楽フェス「KING SUPER LIVE 2024」(通称:「キンスパ」)では、2日間で過去最多となる29組のアーティストが出演し、計100曲分のパフォーマンスを展開。
歌姫・水樹奈々や「残酷な天使のテーゼ」の高橋洋子をはじめとしたアニソンの礎を築いてきたアーティストたちから、宮野真守、蒼井翔太、内田雄馬など今をときめく男性声優アーティストたち。
さらには、超人的シェアハウスストーリー 『カリスマ』から誕生した「七人のカリスマ声優」など次世代を担う新生アーティストまで……。まるでアニソンの歴史をそのまま切り取ってきたかのような顔ぶれだ。
DAY2では『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズや『とらドラ!』など平成を代表するアニメ主題歌も披露され、令和6年になっても変わらぬ盛り上がりを見せた。
レジェンドたちが紡いできた輝かしい軌跡と、未来を切り拓く新世代の才能が華麗に交差する「キンスパ」。もはやこの2日間に「アニソンの歴史が凝縮された」と言っても過言ではない。
このフェスで、レジェンドたちが築き上げてきた歴史の重みは、現在のトップアーティストたちに引き継がれ、さらに次の世代へと橋渡しされていくのだろう。
本記事では、そんな“アニソンの過去と未来をつなぐ”奇跡のライブ「DAY2」の模様を、詳細なレポートでお届けしよう。
INDEX
本フェスは6年ぶりの開催とあって、会場には期待に胸を膨らませたファンが集結していた。
オープニングを飾ったのは宮野真守。センターステージに登場すると、45秒もの間微動だにしないという驚きの演出。「Come on!」の掛け声とともに動き出すと、ダンサーと共に「EXCITING!」を力強く歌い上げる。
そのままオレンジ色のライトに包まれた会場でTVアニメ『THE MARGINAL SERVICE』OPテーマ「Quiet explosion」を熱唱し、観客からは「マモー!」と大きな歓声が上がった。
宮野は「KING SUPER LIVE 2024、始まったぞー! みなさん元気ですか!?」と呼びかけ、会場を盛り上げる。続けて「アリーナ! レベル3! レベル5!レベル7!……レベル2、4、6どこいった!? 2、4、6の所在が気になるんだけど(笑)」と、Kアリーナの客席レイアウトを話題にした“マモ節”で観客を笑わせた。
「みんなが待ちに待ったキンスパ!6年ぶりのキンスパ!みんなが度肝を抜かれるようなラインナップになっているので、よろしく!」と宣言し、いよいよ本編がスタート。
続いて愛美がTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のオープニングテーマ「MAGICAL DESTROYER」を歌い上げ、笑顔で観客に挨拶。
彼女が「愛美のアーティストとしてのイメージカラーが最近決まりまして……赤紫に決定したんです〜!」と話すと、会場は紫と赤のライトに染まった。
TVアニメ『出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手に生きることにした』エンディング主題歌「メリトクラシー」では、モノクロの映像を背景に、ギターを力強くかき鳴らすカッコいいロックサウンドと愛美の伸びやかな歌声が会場を包み込んだ。
続いて登場した保志総一朗は、バイオリンの生演奏に合わせて「Star journey」を披露。
まるで銀河の中で演奏しているかのような幻想的な演出に、客席からは感嘆の声が漏れた。
空に浮かんだドアのようなセットから登場した岡咲美保は、フリルがあしらわれた可愛らしい黄色のミニドレスを着用。
とっておきの衣装で臨みました」と語り、『転生したらスライムだった件 コリウスの夢』 エンディング主題歌「ココロトラベル」と、TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』第2クールエンディング主題歌「ペタルズ」を歌った。岡咲のかわいらしい笑顔と、明るくポップな曲調で会場は一気に華やいだ雰囲気に。
そして今年ソロアーティストデビューしたばかりの千葉翔也は、青いライトに照らされながら「Blessing」を熱唱。
疾走感あふれるサウンドにのせて、千葉のパワフルな歌声とギターが会場を駆け抜けた。
しかしここから一転、会場の空気をガラリと変える“ツワモノ”が登場。白いスーツ姿で颯爽と登場したのは、超人的シェアハウスストーリー 『カリスマ』から誕生した「七人のカリスマ声優」だ。
小野友樹(伊藤ふみや役)、山中真尋(草薙理解役)、福原かつみ(本橋依央利役)、細田健太(猿川慧役)、日向朔(湊大瀬役)、大河元気(テラ役)、橋詰知久(天堂天彦役)という豪華な顔ぶれである。
「めちゃめちゃカリスマ」では、MVと同じ振付に加え、各キャラクターの個性を反映した表情や手振りを交えてパフォーマンス。ステージでは小野の「みなさん、こんばんは。俺たちは…」という掛け声に合わせて「カリスマです!」と息ぴったりの挨拶を披露。
「まだなんのこっちゃと思っている皆さん…徐々に分かってくるので安心してください」というMCで会場の笑いを誘った。
それぞれ「〇〇のカリスマ」と称したキャラクターを背負っている彼らだが、初めて会場で知った人たちには衝撃的な光景だっただろう。曲中で「性のカリスマ」天堂天彦役の橋詰知久が「エクスタシー!」と叫ぶと、観客からはどよめきが上がっていた。
自己紹介を終えた7人は「キンスパ初参戦ありがとうございます! 顔と名前だけでも……声だけでも……歌だけでも踊りだけでも覚えて帰ってください」「突然カリスマ声優と聞いてなんぞやと思っている方もいると思うんですが、我々『カリスマ』という作品に出させていただいている声優なので、カリスマ声優なんです」と、謙虚な姿勢でグループの説明に。
しかし、話にオチがあるところまでがやはり“カリスマ”。「カリスマ声優と名乗っている以上、みなさんのことを『凡人』と呼ばせていただきます。凡人扱いでよろしいでしょうか?」と挑発的な発言をするギャップに、観客は大興奮。
そのまま会場と一つになって「カリスマジャンボリー」を歌い上げ、強烈なインパクトを残して去って行った。
七人のカリスマ声優が嵐のように去ったあとは、バーチャルシンガー・HACHIのステージだ。
キンスパでは過去と未来がテーマの一つとなっていたが、まさにこれからの未来を象徴するようなバーチャルシンガーの登場に、大きな可能性を感じた。
ライブ当日の2日前にキングレコードからメジャーデビューの告知をしたHACHIが「ビー玉」を歌う姿は、透明感があり、どこか儚くも美しい。まるで未来からやってきた歌姫のようだった。
テクノロジーの進歩とともに、アニソン界でもバーチャルシンガーがさらなる活躍の場を広げていくのだろう。HACHIの歌声に、そんな期待が膨らんだ。
アニメ『夜のクラゲは泳げない』の世界観を表現したステージも印象的だった。
ツルシマアンナが本作のエンディング主題歌「1日は25時間。」を歌唱。
この曲のサウンドプロデュースは、ボーカロイド楽曲など数々の話題タイトルを手掛けるアーティスト・40mPが担当している。かわいらしい歌声の彼女の世界観と相まって、思わず聴き入ってしまった。
そして、シンガーソングライターのカノエラナが歌う『ヨルクラ』のOP主題歌「イロドリ」。
世界観を体現するようなビルの映像とイルミネーションを背景に、情感たっぷりに歌い上げる姿に胸を打たれる。
まるで、作中で主人公・まひると花音が出会ったあの日の夜の街にたたずんでいるような錯覚すら覚えた。
MCでは「ライトが青色で、海に漂うクラゲみたいですよ」と観客を盛り上げ、「皆さんの好きな色にペンライトを灯してください……ああっごっちゃごちゃ。そりゃそうだ、色とりどりですからね」と語りかける姿に、カノエの人柄の良さが表れていた。
「ちなみにカノエラナの好きな色は深い緑色です」と言った瞬間、観客が彼女を気遣うかのように緑のペンライトに染まったのも微笑ましい。大好きな緑色に照らされたステージで、TVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』エンディングテーマ「Queen of the Night」を情熱的に歌うカノエラナの姿が、今でも目に焼き付いている。
続く堀江由衣のステージは、まさに彼女の魅力が凝縮された時間だった。
ふわりとしたスカートを揺らしながらTVアニメ『K RETURN OF KINGS』のオープニング主題歌「アシンメトリー」を歌う姿は、まるで妖精のよう。その歌声に、私たちは一瞬で彼女の世界へと引き込まれていった。
MCでは、堀江らしいユーモアに満ちた時間が展開された。「少しだけコール&レスポンスをしてもいいですか?」という一言から始まった、メガネ・コンタクト・裸眼…/長男・次男…/長女・次女…などのユニークなコール&レスポンス。
さらに、「VISAカード使ってる人〜!」とカードや銀行の名前を交えたやり取りまで飛び出し、会場は大盛り上がり。
しかし最後は「個人情報は漏らさない方がいいですよ?」とサラリとまとめる堀江の機転の良さに脱帽した。
その切り返しのうまさと、観客を楽しませようとする姿勢に、彼女の類まれなるステージをつくり上げる才能を改めて実感させられた。
そして、もう一曲「バニラソルト」が披露されると、会場からは喜びと驚きの声が。この曲が使用されたTVアニメ『とらドラ!』は、ヒロイン・逢坂 大河のツンデレ要素や複雑な恋愛模様を織り交ぜた斬新な学園ドラマで、多くの視聴者に感動を与えた作品だ。
今でも色あせない大きな魅力を放っていることに、改めてアニメ、そしてアニソンの持つ力を実感せずにはいられなかった。
続くsajiのライブは、TVアニメ『Helck』の第1クールエンディングテーマ「スターチス」とTVアニメ『あひるの空』第1弾エンディングテーマ「ツバサ」を披露。
MCでは、キンスパ初出場の喜びや、前身バンド時代からの歴史について熱く語る姿に、彼らの歩んできた道のりが垣間見えた。キンスパの前回開催から6年。変化を遂げたアーティストも多い中で、苦難があるのも当然のことだ。彼らの情熱的なMCとパフォーマンスに観客も拳を突き上げて応え、会場は一体感に包まれた。
そして、アニメ『Extreme Hearts』から生まれたユニット「RISE」のメンバー、野口瑠璃子(葉山陽和役)、岡咲美保(小鷹咲希役)、優木かな(前原純華役)、福原綾香(橘 雪乃役)、小澤亜李(小日向理瀬役)が、アニメのキャラクターが着用しているライブ衣装を再現してステージに登場。
「大好きだよって叫ぶんだ」を歌い上げる姿は、まるでアニメの世界から飛び出してきたかのような臨場感にあふれていた。
「SUNRISE(ver.RISE)」では、一体感のあるステージングに、観客もすっかり作品の世界観に引き込まれていった。
続く七海ひろきが真っ赤なライトの中で情熱的に歌い上げたのは、初のアニメタイアップ曲「It's My Soul」。
曲の持つ熱量がダイレクトに伝わってくるような圧巻のパフォーマンスに、思わず息を呑んだ。
キングレコードの歴史について語ったのは、上坂すみれだ。
TVアニメ『ポプテピピック』のオープニングテーマ「POP TEAM EPIC」を歌った後、「堀江(由衣)さんのコールアンドレスポンスえげつなくなかった? 銀行まで聞かれるとは……恐ろしい人!」と先輩をからかう一幕には、トークに上坂ならではの茶目っ気を感じさせた。
続けて、なぜか昔話風に「その昔、このKAC(KING AMUSEMENT CREATIVE ※キングレコードのレーベル)という会社はな……スターチャイルドというレーベルがあったのじゃ」と切り出した上坂。「スターチャイルドと第三クリエイティブというものに分かれていて、多分、なんかあったんじゃ……」と、ギリギリを攻めるトークで会場は爆笑の渦に。
それを踏まえて「スター! チャイルド!」と独特のコール&レスポンスを観客に促す姿は、“すみぺ”の求心力の高さを物語っていた。
さらにキンスパ皆勤賞であることを明かし、「『私がキンスパ皆勤賞!?』っていう“なろう系小説”が書けそう!」と笑いを取った上坂。
そして「人生いろんなことがあっても、あなた方は皆、それぞれの人生のヒロインでございます」と、リスナーに向けて心に響くメッセージを送る。会場にいた多くの人が、この言葉に勇気をもらったことだろう。
ラストにTVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』のオープニング主題歌「ハッピーエンドプリンセス」を歌い上げる上坂の声に、一人ひとりへの応援が込められているのを感じ、胸が熱くなった
そして今回のキンスパには、あの大人気なラッパーたちも登場。「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02」のパフォーマンスだ。
「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +」と「SUMIT OF DIVISIONS」の2曲を通して、イケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュク・オオサカ・ナゴヤ、各ディビジョンの個性が爆発。
3DCGならではの自由度の高さを活かし、生バンドの迫力と、総勢18人、6ディビジョンによる息の合ったラップバトルが繰り広げられた。
ステージ上では、各ディビジョンのイメージカラーに合わせたライトが次々と切り替わり、まるで『ヒプノシスマイク』の世界に迷い込んだかのような錯覚すら覚えた。
さらに生バンドの演奏が加わることで、会場を包む音圧は凄まじく、体の芯まで音楽が響き渡る。ラップとロックが融合した、ほかでは味わえない唯一無二のライブ体験だった。
山田一郎の「今日、俺らとキンスパで盛り上がってくれたみんな! 最高の時間を過ごせたと思う! やっぱラップって楽しいよな!また会おうぜ、サンキュー」という言葉でステージを終えると、会場は大歓声に包まれた。
バーチャルとリアルの垣根を越えて、音楽の可能性はますます広がっていく。3DCGライブという新たな形のパフォーマンスが大舞台で華々しく披露されたことは、音楽の未来に大きな影響を与えたに違いないだろう。
前半27組のラストを飾ったのは森口博子。真っ白なドレスをまとい、1988年放送のアニメ『鎧伝サムライトルーパー』の主題歌「サムライハート」を歌い上げた。
「KING SUPER LIVE、6年ぶりです」と切り出した森口は、「(88年は)生まれてない人もいるよね?『サムライハート』といえば森口博子という方は昭和生まれです。“あちらのアーティスト”という方は若い方です。今日は88年バージョンも覚えていってほしいです」と、世代を超えて愛される楽曲の魅力をユーモアを交えて語った。その言葉通り、この名曲は今日集まった全ての人の心に刻み込まれたはずだ。
さらに森口は、「私自身は前回のキンスパの翌年(2019)から『GUNDAM SONG COVERS』シリーズとしてアルバムを3枚リリースさせていただいたんですけれども、50代にして奇跡のような体験を味わせていただきました。“夢には締め切りがない”と感じたのも、アニソンの力だと感じます」と、アニソンの可能性と素晴らしさを力強く語った。
「このフェスもスタッフの皆さんの想い、アーティストの想い、集まってくれた皆さんの想い、同じベクトルに向かっているからこそ生まれた、奇跡の瞬間だと思います」という言葉に、深く頷かずにはいられない。
最後に歌われたアニメ映画『機動戦士ガンダムF91』テーマ曲「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」は、森口の想いが込められた永遠に響く歌声だった。
後半戦の幕開けを告げたのは、高橋洋子の「TENSIONS – welcome to the stage」だ。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズのBGMに歌詞を加えてアレンジしたこの曲は、高橋と鷺巣詩郎のタッグによる楽曲。その神々しいステージングに圧倒された。
白く輝く衣装に身を包んだ高橋は、まるで天から舞い降りた女神のよう。その存在感に、思わず息をのむ観客も多かったはずだ。
高橋は「みなさんこんにちは!“堀江由衣”です」と会場の笑いを誘いつつ、「アニソンは国境を超える最強のパスポートだと思っています」「みなさんのこの大きな声援が海を越え、いろんな国に届き、そしてつながっていく。そういう力をもらって、いつも私たちは頑張ることができます」と、アニソン界を長年見守り続けてきたレジェンドならではの深いメッセージを送った。
そして「残酷な天使のテーゼ」で圧巻のパフォーマンスを披露し、会場は興奮のるつぼと化した。
会場の熱気をさらに高めたのは、蒼井翔太の登場だ。
TVアニメ『デビルズライン』オープニング主題歌「Eclipse」を歌いながら軽やかにステップを刻む姿は、まさに蒼井ワールド全開。ラストの長く伸びるロングトーンには鳥肌が立った。
「しょーたん!」コールが鳴り響く中、蒼井は自身の成長を噛みしめるように語り始める。「あこがれの先輩たちのもとで歌やパフォーマンスを磨いてきて、ずっと末っ子だと思ってたら……いつの間にか弟や妹たちができました」と、末っ子から“お兄さん”へと成長した喜びを語った。
「今日はフレッシュなメンバーもたくさん出演しています。……千葉翔也くんとか」と後輩の名前を挙げ、「一人ひとりを温かく迎えてくださって、お兄ちゃんとしてとても嬉しいです! ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。キュートな"しょーたん"のお兄ちゃんぶりに、胸が熱くなった。
そんな蒼井が「それでは、次の曲に行くまでに喋りたいので2時間ほどいただけますか?」とふんわりとボケを披露すると、会場は和やかな笑いに包まれる。
「僕たちはみなさんと同じく今日を楽しみにしてきたんです。だから伝えたいことが多すぎて……でもそれは歌で伝えましょうね」というまっすぐな言葉に、ファンとの絆の深さを感じた。
TVアニメ『出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手に生きることにした』オープニング主題歌「EVOLVE」では、その絆の強さを音にのせて爆発させるかのような熱唱を見せ、先ほどのキュートな印象とは真逆の“攻めた”ステージで会場を沸かせた。
続いて登場したangelaは、TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』のオープニングテーマ「乙女のルートはひとつじゃない!」で力強い歌声とともに、ポップでキュートなパフォーマンスをキンスパ恒例のライオン衣装で披露。
ボーカル・atsukoの肩からサングラスを掛けたライオンが顔を覗かせる姿はちょっぴりシュールでありながら、その2ショットはどこか愛らしくもあった。
「改めましてみなさんこんばんは! 私たちはなりすましのカリスマ…angelaです!」と、七人のカリスマのMCをネタにする場面も。
angelaワールド全開のMCとパフォーマンスに、観客もすぐさま呼応し、「KINGS」の振り付けやウェーブの練習に笑顔で参加していた。昨年デビュー20周年を迎えたangelaの底力を思い知らされる、一体感あふれるステージだった。
そしてatsukoから「ここでとある方を呼んでみたいと思います!」と提案が。「誰でしょうねぇ?」と高い声のモノマネでこれから登場するゲストをいじりながら、呼び込まれたのは蒼井翔太。
会場が声を合わせて「しょーたん!」と呼ぶ中、登場した蒼井は「この(高い)声で僕のモノマネするの、2人しかいないです!」とatsukoの弄りにも笑って応じた。
この2組ということは、劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない無役令嬢に転生してしまった…』の主題歌「晴れのちハレルヤ!」のデュエットである。
先ほどのユーモアに富んだやり取りからはかけ離れた圧倒的な歌唱力を見せつけられ、angelaと蒼井という“歌唱最強コラボ”の姿に、「感動で胸がいっぱいになるとはこのことか」と思い知らされた。
内田雄馬は、ダンサーを従えてキレのあるダンスを見せながらTVアニメ『灼熱カバディ』のエンディングテーマ「Comin' Back」を熱唱し、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。
MCでは、「僕デビューして6年目なんですけど、このひよっこの後ろにもですね。後輩たちができて、たとえば僕の友達…千葉翔也」と、蒼井翔太に続いて千葉の名前を挙げる場面も。
千葉がいかに先輩たちに愛されているかが、よく分かる。キンスパならではの声優同士の絆や関係性が伺える瞬間に、ほっこりさせられた。
内田は続けて、「この5年間歩いてきた中でも、いろいろな歴史が紡がれてきました。これからも、長い歴史をみんなと一緒に紡いでいきたい! みなさん好きな作品はありますか?」と観客に問いかける。「ちなみに僕は『とらドラ!』が好きです!」とアニメ愛を披露し、会場を沸かせた。
そして「みなさんの『好き』という気持ちは未来への希望です。この好きがつながって、また明日の“最高に楽しい最高の幸せ”につながっていきます」と愛にあふれたメッセージを送った。内田の言葉には、アニソンへの強い情熱と信念が感じられ、胸を打たれた。
そのまま、TVアニメ『デッドマウント・デスプレイ』の第2クールEDテーマ「Hope」へと繋げていく内田。
間奏でのヘッドバンギングや、激しいダンス、ハイジャンプ、ステージ上での側転など、全身全霊をかけたダイナミックなパフォーマンスは圧巻だった。
これまでの全ての想いをぶつけるように全身で楽曲を表現する内田の姿に、まさにアニソン界の未来への"希望"を感じずにはいられない。会場の観客も、内田の紡ぐパワフルな歌声を全身で感じていたのではないだろうか。
内田の「TVアニメ『デッドマウント・デスプレイ』といえば……」というつなぎで登場したのは、水瀬いのり。
同作品の第2クールOPテーマ「スクラップアート」を、タイトな黒い衣装に身を包み、都会の夜景をバックに激しく歌い上げる。そのパワフルなパフォーマンスに、会場のボルテージは一気に上昇した。
MCでは「(『スクラップアート』は)前回のキンスパでは歌えなかった曲」と説明した上で、「アーティスト活動を続けてきてよかったなと思えるように、これからも歌い続けていきたい」と思いを伝える水瀬。アーティストとしての成長と、それを支えてくれたファンへの感謝の気持ちが伝わってくる。
続いて同作品の第1クールEDテーマ「アイオライト」について、水瀬は髪につけた紫色のエクステに触れながら、「多色にきらめく私を、いろんな作品と見てほしい。この曲を通して、ここにいるアーティストの皆さんそれぞれ違う良さがあってこそ美しいということを伝えられたらと思います」と想いを明かした。
それぞれ好きなアーティストが違ったとしても、アニソンでつながれる。そんなキンスパならではの一夜にふさわしい、すばらしいメッセージだった。
そして、いよいよDAY2も終盤に。
DJ 明日光栗栖(アスコー・クリス)の登場で会場が一気に盛り上がる中、センターステージに水樹奈々が現れ、TVアニメ『戦姫絶唱シンフォギアXV』のオープニング主題歌「METANOIA -Aufwachen Form-」を全力でぶちかました。
メインステージでは炎が立ち上がり、DJと彼女のバンド・Cherry Boysの演奏が、水樹の歌声に迫力を与えている。
2曲目は、最新曲であるTVアニメ『HIGHSPEED Étoile』のOPテーマ「ADRENALIZED」。ステージを駆けながら全身全霊で歌う、アニメ界のトップランナーであり絶対的な歌姫ならではの圧倒的なパフォーマンスに、会場は熱狂の渦に包まれた。
MCでは、2015年から始まったキンスパの歴史を振り返り、「キングレコード作品に愛を注いでくださっている皆さんのおかげです」と感謝の気持ちを述べる水樹。
「2日間でセットリストもガラッと変えて、キングレコードだけ、しかもアニソンだけでライブができるって、本当にすごいことだなと思います。それは皆さんがアニメを愛し、共に人生を歩んでくださったから。これからも、皆さんの人生の伴侶となるような曲をたくさん生み出していきたいし、演じていきたいなと思います」という言葉に、彼女のアニソンに対する深い愛情と、ファンへの感謝の気持ちがひしひしと伝わってくる。
さらに、今年で創立93年を迎えるキングレコードの歴史の中で「アニソン」が大きな存在感を放っていることに感慨を覚えると語る。
その長い歴史の中で培われてきたアニソン魂を「一緒に燃やして燃やして、永遠に燃やしまくっていくぞ!」と観客を鼓舞すると、会場からは大歓声が沸き起こった。
フィナーレを飾ったのは、水樹奈々を代表する曲の一つTVアニメ『魔法少女リリカルなのはA's』のオープニング主題歌「ETERNAL BLAZE」。観客もステージの水樹も、一体となって大きくジャンプしながら盛り上がる。
まさに水樹の言葉通り、アニソン魂を燃やしまくったあの瞬間は、一生忘れられない。
水樹奈々という唯一無二のアーティストが生み出す一体感と興奮、そしてアニソンの持つ無限の可能性を、心の奥底で感じることができた。
アンコールとして行われたコラボコーナーは、まさに夢の共演の連続だった。
angelaのボーカル・atsuko、愛美、カノエラナがカバーした「アノーイング!さんさんウィーク!」は、TVアニメ『先輩がうざい後輩の話』のオープニングテーマだ。
本作の主人公である新米社会人・五十嵐双葉をはじめとするキャラクター達が贈る応援歌にふさわしく、センターステージで3人が肩を寄せ合って楽しそうに歌う姿に、思わずほほえんでしまった。
それぞれ個性の異なる3人のシンガーが織りなすハーモニーは、まさに元気のもらえる奇跡のコラボレーションと言えるだろう。
続いて登場した堀江由衣、上坂すみれ、岡咲美保、そして七人のカリスマ声優によるTVアニメ『スクールランブル』オープニング主題歌「スクランブル」は、会場が一体となった圧巻のパフォーマンスだった。
ステージ上のアーティストと観客が、ぐるぐると手を回しながら一緒に歌う光景は感動的だ。豪華すぎる歌唱と、ゲストミュージシャンのユッコ・ミラーによるサックスの生演奏のコラボは、キンスパだからこそ実現できたのだろう。
さらに、森口博子、保志総一朗、七海ひろき、KATSU(G)によるTVアニメ『∀ガンダム』オープニング主題歌「ターンAターン」のカバー。
西城秀樹の名曲が、このキンスパのステージでよみがえる瞬間は、まさに鳥肌モノだった。アニソンの歴史を感じさせる選曲に、胸が熱くなる。それぞれのアーティストが持ち味を存分に発揮しながら、カッコ良くハモる姿に酔いしれた。
なんと言っても、このアンコールで印象的だったのは宮野真守、蒼井翔太、そして内田雄馬の『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズに出演している3名によるステージだ。
まずは、宮野真守と蒼井翔太のデュエットによる「カノン」。アニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%』の主題歌だ。
作中で一ノ瀬トキヤ、美風 藍というメインキャラクターを演じる2人は、どちらも『うた☆プリ』シリーズの歴史を長年支えてきた重要なキャスト。そんな2人が揃ってステージに立つ姿に、感動せずにはいられない。
宮野が「翔太!」と呼びかけ、背中を預けてパフォーマンスをする場面からは、幾度となく共演を重ねてきた2人だからこその絶対的な信頼関係が伝わってきた。
そこにさらにポップアップで登場したのは、内田雄馬。宮野真守と内田雄馬によるアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ』主題歌「シャイン」のデュエットには、鳥肌が止まらなかった。
曲間で交わされる握手や、2人で作るハートマークに、ファンは卒倒必至だろう。
レーベルメイトとしての友情もあり、もちろんパフォーマンスの息もぴったり。シンクロ率の高さが見事に融合した、奇跡のコラボレーションだった。
サビ前の<Feel me>というささやくような歌詞はもはや宮野の“お得意芸”と言っても過言ではないが、それを内田雄馬の声で聴けたことにも、興奮が収まらない。
そしてクライマックスは宮野真守、蒼井翔太、内田雄馬の3人による、TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』主題歌の「オルフェ」。全身全霊のパフォーマンスで繰り広げられるステージは、まさに圧巻の一言。歌声をつなぎ、声を重ね合わせる3人の姿に、『うた☆プリ』の絆の強さを感じる。
最後に宮野が「みんなで飛ぶぞ!」と叫んだ瞬間には、本当に夢の世界へと飛んでいってしまうような感覚にすら陥った。
まさか、ST☆RISH、QUARTET★NIGHT、HE★VENS声優陣による豪華コラボが聴けるとは、思ってもいなかった。
当時から追いかけていたファンにとっては、予想だにしなかった夢のコラボレーション。まさに奇跡としか言いようのない、豪華すぎるステージの連続に、人生の運を使い果たしてしまったのではないかと思うほどだった。
レーベルメイトの絆を感じさせるもう一つの感動的なコラボレーションが、水樹奈々と、岡咲美保、水瀬いのりによるステージ。
まず初めに、水樹奈々と岡咲美保がTVアニメ『ロザリオとパンパイア CAPU2』オープニング主題歌「DISCOTHEQUE」を披露。
実は水樹がゲスト出演した回の「NHKのど自慢」で、当時女子高生だった岡咲美保が「DISCOTHEQUE」を歌ったことが、2人の関係の始まりだったという。そんなエピソードを聞くと、この2人のコラボにさらに深い感慨を覚える。
続いては、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズで共演した水樹奈々と水瀬いのりによる「Glorious Break」。
アニメ『戦姫絶唱シンフォギアGX』の挿入歌とあって、ファンにとってはたまらない組み合わせだ。センターステージに立つ水瀬と、メインステージの奥にいる水樹。2人の歌声が重なり合いながら、徐々に距離を縮めていく演出に胸が熱くなった。
声優としてデビューする前から、水樹のファンクラブに入るほどの大ファンだという水瀬にとっては、まさに尊敬する先輩との夢のようなコラボ。そんな水瀬の喜びがステージ上からひしひしと伝わってくるようだった。
DAY1で50曲、そしてここまで49曲歌ってきたDAY2のステージ。最後に水樹奈々が観客に2日間の感謝を伝えると、この日出演した全アーティストが集結し、フィナーレへ。
2日間で通算100曲目には、アニメ『蒼穹のファフナー』主題歌の「Shangri-La」を全員で歌い上げた。
約5時間におよぶ圧巻のステージは、キングレコードだからこそ実現した奇跡のイベントだと言っても過言ではない。
所属アーティストたちの絆の深さ、アニソンに対する熱い想い、そしてファンを大切にする姿勢。その全てが詰まった、感動のステージの連続だった。
アニソンの「過去」と「未来」が出会った、この奇跡の2日間。その感動は、きっと観客の心の中で永遠に輝き続けるだろう。
(執筆:すなくじら、撮影:MASA / 増田 慶 / 田村与)
■日時:
2024年5月11日(土)開場 14:00 開演 16:00
2024年5月12日(日)開場 12:00 開演 14:00
■場所:
Kアリーナ横浜
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい6丁目2−14
■出演者:
・DAY1(5/11)
愛美、蒼井翔太、麻倉あきら、angela、上坂すみれ、内田雄馬、岡咲美保、奥井雅美、カノエラナ、國府田マリ子、saji、椎名へきる、Suara、高橋洋子、田村ゆかり、七海ひろき、保志総一朗、堀江由衣、水樹奈々、水瀬いのり、宮野真守、森口博子、米倉千尋(五十音順)
・DAY2(5/12)
愛美、蒼井翔太、angela、上坂すみれ、内田雄馬、岡咲美保、カノエラナ、saji、七人のカリスマ声優、高橋洋子、千葉翔也、ツルシマアンナ、七海ひろき、HACHI、ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02、保志総一朗、堀江由衣、水樹奈々、水瀬いのり、宮野真守、森口博子、RISE(Extreme Hearts)(五十音順)
DAY2 (5/12)セットリスト
M1.EXCITING!/宮野真守
M2.Quiet explosion/宮野真守
M3.MAGICAL DESTROYER/愛美
M4.メリトクラシー/愛美
M5.Star journey/保志総一朗
M6.ココロトラベル/岡咲美保
M7.ペタルズ/岡咲美保
M8.Blessing/千葉翔也
M9.めちゃめちゃカリスマ/七人のカリスマ声優
M10.カリスマジャンボリー/七人のカリスマ声優
M11.ビー玉/HACHI
M12.1日は25時間。/ツルシマアンナ
M13.イロドリ/カノエラナ
M14.Queen of the Night/カノエラナ
M15.アシンメトリー/堀江由衣
M16.バニラソルト/堀江由衣
M17.スターチス/saji
M18.ツバサ/saji
M19.大好きだよって叫ぶんだ/RISE(Extreme Hearts)
M20.SUNRISE(ver.RISE)/RISE(Extreme Hearts)
M21.It’s My Soul/七海ひろき
M22.POP TEAM EPIC/上坂すみれ
M23.ハッピーエンドプリンセス/上坂すみれ
M24.ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +/ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
M25.SUMMIT OF DIVISIONS/ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
M26.サムライハート/森口博子
M27.ETERNAL WIND 〜ほほえみは光る風の中〜/森口博子
M28.TENSIONS – welcome to the stage/高橋洋子
M29.残酷な天使のテーゼ/高橋洋子
M30.Eclipse/蒼井翔太
M31.EVOLVE/蒼井翔太
M32.乙女のルートはひとつじゃない!/angela
M33.KINGS/angela
M34.晴れのちハレルヤ!/angela × 蒼井翔太
M35.Comin’ Back/内田雄馬
M36.Hope/内田雄馬
M37.スクラップアート/水瀬いのり
M38.アイオライト/水瀬いのり
M39.METANOIA -Aufwachen Form-/水樹奈々
M40.ADRENALIZED/水樹奈々
M41.ETERNAL BLAZE/水樹奈々
M42.アノーイング! さんさんウィーク!/atsuko × 愛美 × カノエラナ
M43.スクランブル/堀江由衣 × 上坂すみれ × 岡咲美保 × 七人のカリスマ声優
M44.ターンAターン/森口博子 × 保志総一朗 × 七海ひろき × KATSU
M45.カノン/宮野真守 × 蒼井翔太
M46.シャイン/宮野真守 × 内田雄馬
M47.オルフェ/宮野真守 × 蒼井翔太 × 内田雄馬
M48.DISCOTHEQUE/水樹奈々 × 岡咲美保
M49.Glorious Break/水樹奈々 × 水瀬いのり
M50.Shangri-La/ALL LINE UP
すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
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