加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
本日2月14日はバレンタイン♡ そこで今回は、BLコミック3000冊を所有するガチ腐女子のライターが「バレンタイン」をテーマにしたBL作品からコミック2冊、小説2冊をご紹介します。彼らのバレンタインにまつわるエピソードで悶絶しましょう。
INDEX
「山田と少年」(プランタン出版)
“クリスマスの夜、仕事帰りの山田(26)は、泣きながら酔っ払っている男子高校生・千尋を拾う。彼は、同性に惹かれてしまうことを悩む少年だった――…。ノンケの社会人と、ゲイの高校生。偶然出会った二人が性別を超え少しずつ心の距離を縮めていく。”(あらすじより)
「男に興味ないはずなのに、この子が愛しいとかへんだな…」
【カップリング属性】今どきのふつうなノンケ社会人×同性が好きな男子高校生
クリスマスの雪の夜、建設業の作業員でまだ若いのにちょっとくたびれた風貌のノンケ山田は偶然のきっかけで、自分がゲイであることに悩む男子高校生・千尋と出会います。
最初こそポロポロと抱える悩みを打ち明ける千尋の話を聞き、初詣では『自分の恋愛運を千尋に回してもいいからあいつが幸せになれますように!』と祈る山田でしたが、その飾らぬ人の良さに惹かれ始めてしまった千尋は『気になる人に渡したいバレンタインのお菓子を山田のアパートの台所を借りて試作したい』と言います。
耳たぶをバラのように真っ赤にして自分と話す千尋を見て、健気で愛しいと思い始めた山田。その少しずつ心の距離が縮まっていく様子がピュアで自然体でなんとも可愛い! 女子だらけのバレンタイン売り場へ二人で出向き、恥ずかしがる“おじさん”の山田と熱心にラッピングなどを選ぶ千尋の対比が面白すぎて笑えます。
【電子配信】三田織先生・大人気作『山田と少年』のアフターエピソードを描いた『バラのアーチをくぐってきてね【山田と少年番外編】』(300円)が、3/28より電子配信開始★同日発売のドラマCD『山田と少年』にも収録される内容ですので、合わせてお楽しみください! pic.twitter.com/g4JVHGkWLy
— Canna編集部 (@c_canna) March 9, 2018
うすうす自分のことを千尋は好きなのではと、確信が持てないながらも平静を装う山田の様子のおかしさっぷりもですが、美味しそうに仕上がったチョコブラウニーを山田に渡すことなくしれっと帰っていく千尋が意外でびっくり!
渡されると気負っていた山田は拍子抜け。ところがポストの音がカタンと鳴り、千尋は山田に手渡すのが恥ずかしいあまりにポストに入れようとしていたのでした。
一見しっかり者でひとり親家庭ゆえ、兄弟の面倒も頑張ってみている千尋の、かわいいエプロンが実は好きだったり、山田と話すと耳たぶをバラのように赤くするピュアさだったり、完成したチョコ菓子を手渡せずポストに入れようとしたり、そんな健気で意外な可愛い一面を知った山田は“愛しい”や“好きかもしれない”と思い始めることになるのでした。
全編にわたってゆったりと時間が過ぎ、もどかしいほどお互いを純粋に思いやる二人の恋の流れは柔らかくほんわか。そのなかでもバレンタインエピソードの場面はモダキュンで、読みながら自分の中にある汚れが浄化されるような気持ちになりました! 優しい線画と優しいセリフを心ゆくまで堪能していただきたい一作です。
「春と夏となっちゃんと秋と冬と僕」(ふゅーじょんぷろだくと)
“どこにでもありそうな田舎に暮らす、どこにでもいそうな男子学生のシマとナツオ。だけど彼らの恋は世界にただ一つだけの、特別で幸せな恋。毎日を愛しんで暮らしたくなるような、自然溢れる小さな町で四季折々の変化を感じながら、ただひたすらにシマとナツオの恋愛を傍観できる。甘さに悶え、切なさに涙し、ページを捲るごとに染み渡る、萌えの塊。”(あらすじより)
カシャンと割れそうな程にあやうくて美しい日々。
【カップリング属性】デレデレで大好きが隠せない男子高校生×何でも受け止めてくれる男前な男子高校生
『オールドファッションカップケーキ』がドラマ化され大ヒット作となった佐岸左岸先生のデビュー作である本作。男子高校生のシマとナツオというラブラブな愛でしっかりと結ばれているカップルの姿を一年間、四季折々の景色を通してたっぷり描かれているこの作品は一ページ基本四コマでまとまっています。
内容によっては次の四コマにも繋がれているので、ぶつ切り感はまったくない見事なストーリーの流れ! 今回のテーマ『バレンタイン』については二月の出来事として描かれています。
#2月14日→#ゾンビ→#本命チョコと連なるコマの中で、放課後の教室でシマが女子から義理チョコをもらったことにナツオは猛烈にヤキモチを焼いて怒っています。黒板消し係のシマを背後の教壇に座って足で挟み込みプンスコ怒るナツオ。
なにこれ可愛い! かわいい! KAWAII! と悲鳴を上げそうになりつつもコマを追っていくと、その後帰りのバス停でバスを待つ間シマは怒っているナツオに本命チョコ(ナツオが食べたかった種類の!)をさりげなく渡すという男前な攻め様っぷりを発揮! ナツオはあれだけ女子からの義理チョコにヤキモチを焼いていたのに、なんと恋人シマへのチョコは用意していません…!
それに対しサラリと「期待してないよ」と懐の深さを見せるシマ。そのあとのコマのやりとりが尊すぎて、恋する高校生のストレートな気持ちにきゅんきゅんします。本作は幼なじみらしくじゃれ合ったり、ケンカしたり、いろんな呼び名で呼び合ったり。
二人が、ただ仲のいい幼なじみから恋愛関係に踏み越えた、まさにそのきっかけやポイントは描かれていないけれど、その辺を想像する余地がある所もまた味わい深いです。周りの他の友達とは違う、二人だけの甘酸っぱい恋の世界が広がっていて、尊いとはまさにこのこと。
四季を描いた田舎のほのぼのした風景が、優しい懐かしさのようなものも感じさせてくれます。その魅力を余すところなく伝えてくれる佐岸左岸先生の画力の高さは、とてもデビュー作とは思えません!
素晴らしい才能とセンスあふれるこの作品は、本当にページを読み進めるごとに心のすみずみに染み渡る萌えの塊。甘酸っぱいバレンタインエピソードとともに、本当に毎日を愛しんで暮らしたくなるような各月ごとの景色や可愛いシマナツも、心ゆくまでご堪能ください。
加藤日奈
アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。
この記事に関連するタグ
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます
特集記事
ランキング
電ファミ新着記事
2025.2.14