双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
――多くのオーナー代理(※ユーザーの呼称)さんを魅了している、シナリオについてお伺いします。リアリティある物語を追求するうえで、とくにこだわった部分は?
K.I:
これは(シナリオ担当の)藍田先生のお力が大きいのですが……。先ほど、キャラクターの年齢設定が高めというお話がありましたが、『ブレマイ』はいい意味で2次元キャラクターっぽくない、複合的で奥行きのある人物であることにこだわっていて。最初の印象で内面まで把握できたり、一言で「○○キャラ」と説明できたりする人物にはしないようにしています。
実際に人と人とが知り合っていく過程って、最初は内面が分からずに、コミュニケーションを取る中で少しずつ知っていくじゃないですか。そして、分からない一面があるからこそ「もっと知りたい」と思う。
だから、『ブレマイ』ではそういった“知り合う過程のリアルさ”を感じながら、キャラクターへの解像度を高めていける仕掛けにしているんです。そこが、メインストーリーの魅力だと思います。
とはいえ、キャラクターが21人もいるので、メインストーリーでは21人分をしっかり掘り下げることは難しいんですけどね。
――たしかにそうですよね。そこに対してはどんな工夫をされているのでしょうか。
K.I:
メインストーリーの中でもちょっとした会話の中に、「もっとこのキャラを知りたい」という欲求を掻き立てる要素が散りばめられているのが、藍田先生が描く会話劇のすごいところだなと。
キャラの人となりが分かるような振る舞いや、キャラ同士の関係性、そして「深堀りしたい」と感じさせるような意味深なワードなど。そういったものがさりげなく、そしてリアルに埋め込まれているので、メインストーリーを読んでいただければ自然と気になるキャラができて、“知りたい欲求”が生まれる仕組みにしています。
『ブレマイ』の物語はまだまだ序盤なので、現時点ではメインストーリーを読んでも欲求は完全には解消しないかと思いますが、それをモチベーションにしてゲームを進めていただければ、パーソナルソングやパーソナルストーリーなどでキャラクターへの理解が更に深められる構造になっています。
ただ、そこでもまた”匂わせ発言”があるんです(笑)。「もっと知りたい」という気持ちが自然と連鎖していくように、多くの謎や伏せられた情報をあえて残し、順を追って明かしていくところが、『ブレマイ』ならではの魅力だと考えています
『ブレマイ』の物語は、長い時間をかけてお届けしていきます。まだまだここではお話できない謎や伏線も多く用意しているので、ここが順次解き明かされていくのを、ぜひ楽しみにお待ちいただけたらと思います。
――「知りたい」の連鎖……まさにキャラクターの“沼”が待ち構えているわけですね。
K.I:
現場でもその表現はよく出てきますね(笑)。
――『ブレマイ』は、音楽と3マッチパズルを組み合わせた「グルーヴマッチパズル」を採用しています。読者アンケートでは独自のリズム感に魅了される声もありましたが、なぜ3マッチパズルに音楽を掛け合わせようと考えたのでしょう。
K.I:
『スタマイ』で約8年間、マッチパズルゲームを運営してきたノウハウがあったことが、まず理由の一つです。早い段階からカジュアルで概念的なゲームを採用することは決めていましたが、普通のマッチパズルにしてしまうと、すでに『スタマイ』でやっているので新規性がない。
もう一工夫したいというところで、『ブレマイ』の世界観やキャラクターの魅力を肌で感じていただくための媒体として、「音楽」を選びました。
先ほどの、物語世界を”外側から彩る”というコンセプトの話にも通じますが、『ブレマイ』は現実世界を舞台にしたリアルなテイストなので、無理にキャラクター達をバトルさせたり、踊らせたりするのは、世界観に対して立て付けが悪く、違和感や幼稚さが生まれてしまう。「音楽」という概念的なコンテンツと、「パズル」という概念的な遊びで、ゲーム部分もリアルでおしゃれな風合いでまとめることを考えました。
そうして誕生したのが「グルーヴマッチパズル」です。ただ、この世にまったく同じものがない新しいゲームシステムということもあり、遊びやすさを追及するためのブラッシュアップにはかなり力を注ぎましたね。
リリース当初は「難しい」というお声も多く頂戴していたものの、月日を重ねるごとに「意外と奥深いぞ」「やっているうちに面白くなってきた」という声が大きくなってきた感触があり、嬉しかったです。
――BGMとして流れるインスト曲が、すごくおしゃれですよね。そこも本作の特徴として狙っていた部分なのでしょうか。
K.I:
そうですね。ほかの女性向けゲームにはないようなユニークな強みがないと厳しいと思っていたので、BGMはその強みの一つになればと考えていました。ユーザーさんから「BGMにここまで力を入れている女性向けゲームはほかにない!」と言ってもらえるくらい、音楽が売りの一つになることを目指していました。
――スタッフクレジットを拝見すると、「BEMANI(KONAMI)」などの音ゲー楽曲を手掛けた方がミュージックコンポーザーとして参加されています。
K.I:
世の中にある多種多様なゲームの中で、インスト曲に力を入れていてそれが主力となっているゲームって何かと考えたら、やっぱり音ゲーだなと思いまして。そういったジャンルで活躍されている方々にも今回お声がけさせていただきました。
ほかにも、ボカロPの方や、ジャズシーンで活躍する本格的なミュージシャンの方にもインスト曲の制作をお願いをしています。ほかの女性向けソーシャルゲームでは前例がないような作曲家陣だと思います。
音楽プレーヤーのように好きな曲を再生して楽しめる、ジュークボックス機能を実装したのもこだわりの一つですね。お気に入りの一曲を選んで、リラックスできる。そんな時間こそリアルな都会のテイストに合っていて、おしゃれな体験の一つとして楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。
ジュークボックス機能に関しては、『ブレマイ』のユニークなウリの一つなので、もっと使い勝手を良くしていきたいなということも、今考えているところです。
――これからさらに進化する予定なのですね。音楽といえば、各キャラが所属している部署ごとに音楽ジャンルが分かれているのも印象的でした。
K.I:
本部はディスコ、交際部はヒップホップ、管理部はジャズ、強行部はブレイクビーツ、交渉部はコンピューターミュージック、特務部はロックと、部署ごとの6ジャンルをベースにしていて、定期的に開催しているゲーム内イベントでさらにプレイリストを補強していくという考え方で新曲を追加しています。
また、音楽ジャンルに関しては、現実の東京を舞台にしている『ブレマイ』だからこその強みもあると考えています。
例えば、もし中世が舞台のファンタジー作品だったらオーケストラサウンドや民族的音楽など、サウンドジャンルを絞って世界観に統一性を持たせることになるかと思うんです。でも、『ブレマイ』ではあえてジャンルを絞る必要がない。現実世界にある商業的な音楽ジャンルをそのまま活かすことが、世界観の補強にもつながっていると思っています。
――2024年10月にハーフアニバーサリーを迎え、さらなる盛り上がりを見せる『ブレマイ』。これからの展望についてお聞かせください!
K.I:
ありがたいことに大きな反響をいただき、我々も手応えを感じています。
今後については、本当にやりたいことが星の数ほどあって、どこから手を付けていこうか……という感じです。音楽面での展開も力を入れていきたいですし、『スタマイ』同様に舞台やアニメなど、メディアミックス的な展開にも力を入れていきたいです。
でもまずは、ゲーム内のストーリーにご注目いただきたいですね! メインストーリーはまだ動き始めたばかりですが、必ず皆さんがあっと驚くような、心に迫るエピソードがたくさん待っています。「絡んだ糸を、解いて断ち切る物語」という巨大なドラマの動向に、ぜひ期待して頂けましたら幸いです。今後とも、『ブレマイ』をよろしくお願いいたします!
(文=双海しお、編集=柴田捺美)
双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます
特集記事
ランキング
電ファミ新着記事
ランキング
2022.12.17
特集記事