怖すぎるBL

冷や汗ビッシャア!ガチ腐女子が「怖すぎた」BLコミック5冊を紹介する…『蛇喰い鳥』は恐怖で変な声が漏れました

『蛇喰い鳥』芽玖いろは:驚きすぎて変な声が大音量で漏れました

驚きのあまり声が大音量で漏れました“夜の街で偶然、男同士のSEXに遭遇した二条。
翌日の大学で抱かれていた方の男を見かけ、彼・千鳥が大学職員だと知る。
昼間に大学で見る彼と、夜の街で男に抱かれて喘いでいた彼。
二条は、その二面性が気になり始める。
バイト先に訪れた千鳥と話すと、妙に色気を感じるし、笑顔が可愛いと思った。
もっともっと色んな顔が見たくて、たまらなくなって……。”
(コミックス あらすじより)

色っぽくて綺麗なお兄さんは、好きですか?
【カップリング属性】年下リア充大学生×大学の学務課の職員

本作は全世界の年下攻め×美人受け好きな腐女子様にオススメするなら、と聞かれたらTOP3に入ります!(大声)

大学の友人と行った飲み屋の個室トイレから響く喘ぎ声。だけど、それは抱く方も、抱かれる方も男の声で。二条(攻め)は好奇心からトイレから出てきた男の顔を確認してやった。すると後日、大学で抱かれていた方の男・千鳥(受け)が学務課の職員であることに気づいてしまう……と、はじまりはそんな最悪の出会い方です。にもかかわらず、二条は千鳥のことが気になってしまう。

『蛇喰い鳥』芽玖いろは

『蛇喰い鳥』芽玖いろは

決してそれだけではないかもしれませんが、二条の千鳥への興味の根底にははじめから下心があったのだと思わせる描写は作中のあらゆるコマに散らばっていて、(無双してたリア充大学生モテ男がウロチョロしてるぞ…それは恋なんだぜ…)と読み進めながらニヤニヤが止まりません。

普通そんな強烈な出会い方をしたら、却って避けるものではないのでしょうか? あるいは一目惚れのようなものだったのか? などコマとコマの間を埋める妄想がはかどります、モグモグ。偶然の再会を重ねるうち、二条は千鳥の魅力にずぶずぶとハマってゆくのですが、その二条の一人あわてふためく様子がたまらなく可愛くて(初恋かよ!!!!)と画面にツッコミを入れたくなりました。

欲しいものは特に苦労する事もなく手に入れてきたのであろう主人公の二条が、初めて直面する簡単には手に入らない葛藤。二条のモノローグがメインでストーリーは進められていくために、一方通行の恋に奮闘するお話のようです。しかし二人が結ばれて明かされる秘密。

ペラ、とページをめくって、その明かされた秘密を知った瞬間、ニワトリのような鳴き声が自分の口から大音量で漏れました! 驚きすぎてホラーでもないのに心臓が跳ねるというか何というか、とりあえず尻がイスから浮きました。

しかも芽玖いろは先生、当時この作品がデビュー作!BL界の鮮烈デビューを飾るのにふさわしい一作。ぜひ未読の方はネタバレなしで読んで、一緒に尻をイスから浮かせましょう。

『真夜中のクライングモア』遠藤巻緒:闇属性の腐女子にドンズバ刺さる

“緒方純の十代はぶっ壊れていた。
ゲイだとバレていじめられ、死にたいと思いながらも学校に通う毎日。
そんなとき出会った、オネエ口調の同級生・松永湊。
まわりとわけ隔てなく接してくれる湊に心惹かれていく純。

湊との出会いが、純を救う――はずだった…。
(コミックス あらすじより)

陵辱される思春期――。僕のヒーローが僕を殺(おか)す。
【カップリング属性】オネエ口調の高校生×いじめられっ子高校生

鬼才・遠藤巻緒先生のデビュー作です。主人公の高校生・緒方(受け)は壮絶ないじめにあっています。きっかけは中学の頃、友達とトイレで触り合っていたのを見られたこと。

そこから始まる脅迫と屈辱、エスカレートしていく終わりのないいじめの悪循環。その緒方の心のより所がオネエ口調で飄々と話す松永ですが、実は松永もまた相当なトラウマを抱えており、その発散の矛先が暴力に向かうという凶暴さ。展開は重くしんどい内容です。

お互いに闇を抱えたまま一緒にいることで、二人の闇の濃さはより一層深くなったような気がします。しかし緒方にとっての松永は、深刻ないじめ地獄に堕ちている自分の一筋の光でありヒーロー。

松永がどんな人物であれ、緒方にとって松永がヒーローだったことは揺らぎない真実だと感じます。

『真夜中のクライングモア 』(一迅社)

『真夜中のクライングモア 』(一迅社)

絶望の中で緒方が勝手に作り上げたヒーローだったとしても、それが緒方の力強い救いになったのならそれで良かったと思えますし、松永が正しいか正しくないかもここではさておき、ただひたすらに、緒方にとって松永の存在は誰が何と言おうと正義の味方だったということです。この救いの少ないお話の中で大事なのはこの一点だと言えます。

またストーリーの始まり方でミスリードされますが、中盤以降であっ!と気づかされる展開もあり物語の構成も巧妙な仕掛けになっているので、そちらも見どころのひとつ!上手さに驚き(これがデビュー作って才能怖すぎでしょうが…)と別の意味でも発売当時、怖かったです。

99%の絶望の中で見つけた1%の光を、主人公が絶対に手放さないところまでの流れまでが込みで、少々辛く、痛々しい系BL。トラウマ持ちモノで、すべてを読み終えると重い読後感とともに、肝と心がスッと冷えるお話でこれまた違った角度と意味で「冷えるBL」。闇属性好きの腐女子の皆さんにはドンズバど真ん中の一作だと確信しています!

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

以上、上記5作品を「冷えるBL」としてピックアップしてみました。定番モノから意外なモノまで様々な作品で心を冷やし、この夏の暑さを乗り切るために涼しいお部屋でぜひとも『BL冷え』をしてください。

(執筆:加藤日奈)

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加藤日奈

アニメ系やコミック、2.5次元舞台俳優、声優系インタビューやコラムなどWEBメディアを中心に活動するフリーライター。所有するBLコミック小説が3,000冊を超えて増殖し続けている紙派の腐女子。

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