ヤマコシ ショウコ
フルート奏者兼Webライター。好きなショタは小夜左文字、アイドルはランカ・リー、RPGはドラクエ。
ヨーロッパのアニメ・マンガ事情はどんな感じなのでしょうか?
アニメはテレビで観られるのか、マンガは本屋に売っているのか?そもそもどうやってアニメやマンガと出会ったのか?など……。
そこで現在オーストリア・ウィーン在住の30代オタク女子ライターが、ドイツのアニメ・マンガファンに向けて広くアンケートを実施。
ドイツはフランスやイギリスなどと並んでヨーロッパのなかでもアニメ市場が大きく、国内最大級のアニメイベントでは15万人以上の来場者数なども記録しています。
前回はドイツに住む方々の「好きなアニメとその理由」について紹介しました。
『ONE PIECE』『葬送のフリーレン』『お隣の天使様』etc.ドイツ人に好きなアニメと理由をヨーロッパ在住ライターが聞いてみた!【ドイツのアニメ事情①】
第2回目となる今回は「好きな声優とその理由」と「どこで、どのようにアニメ・マンガと出会ったか」のアンケートを実施。
意外や意外、ドイツ人はあまり声優に興味がないのかもという結果に。そんななかでも人気の声優とは?またアニメ・マンガとの出会いについては、筆者独自の調査も含めて深掘りしていきます!
INDEX
今回アンケートにて「好きな声優はいますか?」という質問をしたところ、約半数が「いない」と回答。筆者の周りには「絶対にオリジナル音声+ドイツ語字幕で見る」というアニメファンが多いので、少々意外でした。
ちなみに「いない」と答えた方のなかには、筆者の友人たちと同様に「好きな声優はいないけど、必ず日本語の音声とドイツ語字幕で見る」との回答も複数見受けられました。
そんななかで名前が挙がった日本の声優さんとその理由をいくつか紹介します。
中田譲治
「彼の声は凄すぎるし、彼はいつもたまたま私が大好きなアニメに出ているんだ。あと2015年に彼とサイン会で会う機会があって。サイン会が予定よりも早く終わったから、最後尾に並んでいた私と友達は30分ほど彼と話せたんだ。自分たちがあの日どれほど幸運だったか、決して忘れないよ」(29歳)
「彼の声はすぐにわかるんだ。類を見ない力強い声を持っているよね。一度彼の声を聞けば、あらゆるアニメで彼の声が聞こえるようになるよ 😀 彼はだいたい私の好きなキャラクターの声を担当しているし。
あと彼はとても良い人だと思う。残念ながら彼と直接話したことはないけれど、彼と話したことのある私の友人たちはみんな、彼のことを思慮深くて面白い人だと言っていたよ」(30歳)
津田健次郎&早見沙織
「感情を完璧に声に乗せられる声優さんがたくさんいるから、本当は選べないんだけど。特にこの2人が最高かな。日本語よりもドイツ語でアニメを観る方が好きという人が、私にはまったく理解できないね」(23歳)
釘宮理恵
「『灼眼のシャナ』シャナや『ゼロの使い魔』ルイズ、『ハヤテのごとく!』三千院ナギなどを通して、彼女の声はすぐわかるようになったよ。いろんな感情や気分の表現できるよね。」(33歳)
杉田智和
「『涼宮ハルヒの憂鬱』キョンと『ファイアーエムブレム』のクロムの声は信じられないくらいの説得力があった」(23歳)
平野綾
「彼女は私の好きなキャラクターの声を多く担当しているし、才能に溢れているから。歌声や自信に満ちた振る舞いも好きだよ」(19歳)
津田健次郎
「たとえアニメがあまり面白くなくても、彼がメインキャラとして登場していたら観るのをやめられないよ :D」(19歳)
小原好美
「『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の藤原千花が好き。かわいくて元気な声で、キャラクターが放つさまざまな感情をしっかり表現しているね」(21歳)
ここからは「どこで日本のアニメやマンガを知ったか」の質問に対する回答をいくつか紹介します。
「『ゴジラ』や『ウルトラマン』などの怪獣映画を観て育ったから、幼少期から日本のテレビ番組に触れてきた。だから10代になってアニメやマンガにハマるのは避けることができなかったよ」(29歳)
「90年代にドイツのテレビでアニメをよく観ていたよ。アニメっていう概念を知ったのはもっと後の話だけど」
(35歳)
「当時両親がマンガ店を経営していて、そこで『ONE PIECE』と出会い、オタクになったんだ」(23歳)
「小さいときに『ポケモン』のアニメをテレビで観て、そこからマンガも知ったよ」(21歳)
「RTLⅡというドイツの放送局で『ポケモン』『ドラゴンボール』『爆転シュート ベイブレード』『ONE PIECE』『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』『モンスターファーム』などが放送されていて、それらを観ていなかったらアニメに触れていなかっただろうね。でもアニメっていうカテゴリーを知ったのは後の話で、アニマックスで『エルフェンリート』と『これが私の御主人様』を観てからかな」(33歳)
「1990年代後半にダイヤルアップサーバーでとってもキレイな絵を見つけて、オペレーターにチャットでそれは何なのか聞いたんだ。そこでマンガという言葉に出会ったよ。アニメは幼少期から知らないうちに観ていて、特に『新竹取物語 1000年女王』がすごく印象に残ったんだ。まあその頃はそれが「アニメ」だということを知らなかったけど」(年齢非公開)
アンケートは15歳から54歳まで幅広い年齢層の方が回答してくださいました。
その結果、年齢に限らず主にドイツのテレビでアニメを知ったという回答が大多数でした。
「幼少期から観ていたけど当時「アニメ」という概念を知らなかった」というのも面白い回答。日本での例を考えるとすれば、「アニメ」だと思っていたけど「カートゥーン」だった、みたいな感じでしょうか?
アンケート結果で名前が多く挙がった放送局「RTLⅡ(現在の名称はRTL ZWEI)」について、ドイツのアニメ事情をより深掘りするために調べてみました。
「RTLⅡ」では1993年から2012年まで数多くのアニメを放送していたようです。
特に1993年から2006年までが「RTLⅡ」のアニメ放送最盛期だったようで『ちびまる子ちゃん』など日本のお茶の間アニメから、『名探偵コナン』などゴールデンタイム枠、『おジャ魔女どれみ』など日曜朝枠アニメまで、13年間で70ものアニメが放送されていました。
しかしいつしか視聴率がグッと下がり、2007年以降は放送される数が大幅に減少。残念ながら現在は放送が打ち切られています。なぜ視聴率が下がったのか明確な理由はわかりませんでした。しかし、考えられる理由として多くの方が「検閲が厳しかった」と語っています。
ドイツに限らず多くの外国人にとって、アニメはいまだに「子どもが観るもの」という考えが根付いています。当時、その考えから「RTLⅡ」では“幼稚園生でも観られるように”アニメが検閲されていたようです。
具体的には『名探偵コナン』や『NARUTO -ナルト-』などで血が流れたり武器が刺さったりしている描写を映さないための改変がされていたのだとか。そうした検閲はドイツだけでなくアメリカなどでもいまだに行われており、『鬼滅の刃』では女性キャラクターの胸が見えないよう服が変更されるなどしています。
ちなみに現在ドイツではごく一部の民間放送局でのみアニメが放送されています。ラインナップは『ドラゴンボール』や『美少女戦士セーラームーン』、『ポケットモンスター』などの有名作品のみ。
なお、筆者の周りのアニメファンによると現在は動画ストリーミングサービスの「Crunchyroll」や「Netflix」を利用してアニメを観る人が多いんだとか。深夜アニメなども動画ストリーミングサービスを活用すれば観られます。筆者もそうしたサービスのおかげで海外でもアニメを観られています。
ドイツのアニメファンは思ったよりも声優に関心がなかったり、昔は今よりも多くのアニメがテレビで放送されていたという事実を知ったり……筆者の予想とはいろいろ異なる結果となりました。
声優に関しては、ドイツで声優という職業がまだあまり浸透していないのも理由として考えられるかもしれません。声優一本で働いている方もいるようですが、基本的には俳優業のかたわら携わる仕事だからです。
筆者は最近、オーストリア人のアニメファン宅に行っては毎回『鬼滅の刃』を鑑賞しているのですが、「我妻善逸の声優さん(下野紘)が私の推し!」と語ったときは、そういえば反応が薄かったなと……。いち声優ファンとしては少し残念ではあります。
次回の【ドイツのアニメ事情③】では「アニメでドイツ語が頻繁に使われていることについてどう思いますか?また、それはなぜだと思いますか?」のアンケート結果から、ドイツのアニメ事情を深掘りします!
調査タイトル:「Umfrage für die deutsche Anime Situation」
調査対象:ドイツに住むアニメ・マンガファン
調査方法:インターネット
調査期間:2024年2月25日~2024年3月28日
ヤマコシ ショウコ
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