『着物ちゃんとロリータちゃん』1巻(LAZA COMICS/まんだらけ)

「好き」に蓋をした人へ勇気をくれる。コスプレ経験者が『着物ちゃんとロリータちゃん』に感じた共感ポイント

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。今月の深堀りテーマは“推しゃれ”。

夏の暑さが和らぎ、過ごしやすくなってくる10月。衣替えを悩んだり、明るい色味から落ち着いた色味の服やメイクを選ぶようになったり……さらに、月末にはハロウィンが控えていたりと、ファッションへ思いを馳せることが多くなる時期。numanでは、「推し」と「おしゃれ」を掛け合わせたさまざまなコンテンツを掲載中です。

強めギャル2人の私服が、実はロリータと着物だった! そんなギャップを軸に描かれる岡野く仔氏の『着物ちゃんとロリータちゃん』(LAZA COMICS/まんだらけ)。

着物とロリータだけでなく、コスプレや男装、女装...といった様々なファッションのジャンルに焦点を当てています。それぞれが「好き」を貫きたいと願いながらも悩む姿が「リアル」だと読者の共感を呼んでいます。

今回はそんな『着物ちゃんとロリータちゃん』の魅力と、作中のキャラと同じ悩みを抱えるというコスプレ経験者でもある宮本デンさんが“共感ポイント”を深堀していきます。

『着物ちゃんとロリータちゃん』1巻(LAZA COMICS/まんだらけ)

『着物ちゃんとロリータちゃん』1巻(LAZA COMICS/まんだらけ)

「好き」に蓋をしてしまった人がもう一度、「好き」に挑戦したくなる

本作の主人公は、学校ではギャルでありつつも「ロリータ」が私服の洋月美絽(みろ)と「着物」が私服の和島紗織の二人。二人は学校でも私服でも「好き」を貫いた装いをしていますが、私服に関しては周りに秘密にしています。

この「私服の趣味は知られたくない...」という気持ち、程度の差はあれど共感できる人は多いのではないでしょうか? 例えば雑誌やテレビで「この服装素敵だな」と思っても「周りから見たら変じゃないかな? 似合わないかも」と感じて結局やめてしまう、といった経験は誰しもあるかと思います。

そんな風に「好き」に蓋をしてしまった経験がある人にとって、もう一度挑戦してみようかなと思わせてくれるのが、本作において「好き」を貫きファッションを楽しむ美絽と紗織の姿です。

『着物ちゃんとロリータちゃん』2巻(LAZA COMICS/まんだらけ)

『着物ちゃんとロリータちゃん』2巻(LAZA COMICS/まんだらけ)

そしてこの二人は学校でのギャルの姿も大切にしていることがわかります。その「隠れるための姿」も否定しないところが、より読者に勇気を与えてくれるのです。

そして何より二人は仲良しで可愛い! お互いの隠れたファッションを知った二人は、それぞれのファッションの基本を大切にしながらも、お揃いの柄を見つけたり小物を揃えたりして、テイストを近づけていきます。

この華やかなファッションの描写が毎回眼福で、お互いを大切に思う気持ちが前面に現れているのが本当に尊いです。着物とロリータは一見正反対に見えますが、だからこそヘッドアクセサリーや柄が揃っていると、そのギャップでより可愛いのかもしれません。

それぞれの悩みをどう解決するか。コスプレの技術は全方位に活かせる?

美絽と紗織の周りには、ファッションについて様々な悩みを抱える人物が登場します。中でも印象的だったのが、男装をしたくとも素直になれなかった加賀保(たもと)

実は筆者も、ボーイッシュどころか男装といえるほどの服装や髪型が好きです。保の男物をそのまま着ただけでは骨格の違いで似合わなくて打ちのめされる場面や、男性になりたいわけではなく格好良くなりたい、という気持ちに深く共感しました。

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宮本デン

音楽と酒とネット文化、そしてアニメ・ゲームに心酔するサブカルライター。大衆が作り出すカオスがどこまでいくのか見届けたいという思いで、日々執筆活動を行っています。表現に対する深読みや考察が大好きなオタク。あなたの好きなカルチャーを、深く独自に掘り下げます。

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