推しコラム『あなたのお城の小人さん ~御飯下さい、働きますっ~』アイキャッチ

マンガ『あなたのお城の小人さん~御飯下さい、働きますっ~』は日常×異世界×グルメがもたらす感動と癒し効果がすごい!【numan編集部員 今週の推し作品】

人生に潤いを与えてくれる存在である“推し”。「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnumanで、マンガ・アニメ・映画好きの編集部員が推し作品を週に1本紹介していく「numan編集部員 今週の推し作品」

今回紹介する作品は、美袋和仁先生(イラスト:п猫R先生)の小説(SQEXノベル刊、1~4巻発売中 )を原作に描かれた栗原一実先生によるマンガ作品『あなたのお城の小人さん ~御飯下さい、働きますっ~』(スクウェア・エニックス『マンガUP!』連載中)。

 

推しコラム『あなたのお城の小人さん ~御飯下さい、働きますっ~』

©KazuhitoMinagi/SQUARE ENIX
©PenekoR/SQUARE ENIX
©Kazumi Kurihara/SQUARE ENIX

 

とある出来事をきっかけに、異世界で小さい女の子に転生してしまった元OL・相模千尋。食べ物を求めてお城をさまよった千尋は、優しい料理人と出会ったことをきっかけに料理長・ドラゴの娘になります。お城の厨房でお手伝いを始め、「小人さん」のあだ名で周囲の人に愛される千尋。美味しい食べ物を求めて元気に城の中や森の中、そして世界中を駆け回る日々を送りますが……彼女の金色の瞳には大きな秘密が? ほのぼのとした雰囲気と、健気な主人公に癒される異世界転生作品です。

本作の推しポイントは、“心温まるストーリー”“主人公の健気なかわいらしさ”。千尋のかわいい姿にただ癒されるだけでなく、人の優しさや食の大切さを教えてくれる異世界転生ストーリーは感動と癒しの効果がすごいです。

周囲の人の温かさに涙が止まらない

まず第一の推しポイントは、“心温まるストーリー”

第1巻では、ひとりの女性が謎の空間で小さな女の子と出会ったところから始まります。女性は驚きながら女の子に「大丈夫……?」と近寄りますが、女の子は「……おなか すいた…」とつぶやき「スー」と消えてしまいます。女性は困惑しながら「待って!」と言いますが自身も意識を失います。そして目覚めると2歳ほどの小さな女の子になっていました。

女性は戸惑いながらも、すぐに自身の置かれた状況を整理します。自分の名前は相模千尋だということ。日本人の会社員で、仕事の帰りに事故にあったこと。自分の魂が入った小さな女の子は第8王女だが、メイドによって人気のない部屋に放置されたこと……。

壮絶なスタートですが、諦めずに水と食料を求め王城を探し回ります。しかし衰弱した体でまともに動くことはできず、厨房の棚の下でひっそりと休むうちに再度意識を失ってしまう千尋。目を覚ますと、毛布にくるまれていることに気が付きます。厨房の見習い料理人・アドリスが、千尋を見つけて助けてくれたのです。第1話「厨房の小人さん」でアドリスが千尋に微笑む描写は、筆者イチオシの感動場面です。

その後、アドリスのおかげで生き延びることができた千尋は「御飯ください 働きますっ!」と伝えます。厨房でこっそりと芋の皮むきなどの下ごしらえを手伝い、対価としてごはんをもらう日々が続きました。アドリスは、決して豪華ではない食事でも喜び一生懸命働く千尋をかわいいと思いながらも、「幼い子にとって過酷な状況を変えてあげたい」と考え、料理長・ドラゴに相談。

「薄暗く人気のない部屋に放置されていた」という千尋の過去を知ったドラゴは、無責任な親に腹を立て「今日からお前は俺の子だ」と優しい笑顔で千尋を養子に迎えます。素性もわからない子どもをためらいなく受け入れるドラゴの姿に、筆者は感動で涙を流しました。

王城内にあるドラゴの屋敷で暮らすことになった千尋を、屋敷の使用人たちが丁寧にお世話をしてくれます。お風呂に入り、きれいな姿になったことで本来の髪の色と瞳の色「金髪に金の光彩」がわかると、王族であることが明らかに……。どんな理由で千尋が放置されたかわからない状況の中、千尋の命を守るためにドラゴと周りの人々は匿うことを決めます。そして、ドラゴは千尋を守るために「可愛すぎて誘拐されないように“家の外ではフードで髪を隠す”」と約束させました。

第1話から優しさが溢れている本作。生きるために一生懸命な千尋と千尋を守る優しい人たちが織りなすストーリーに感動し、心が温まります

美味しいものを求めて駆け回る千尋が、健気でかわいい

もうひとつの推しポイントは“主人公が健気でかわいい”ところです。ドラゴに引き取られた後も、厨房の下ごしらえをこっそり手伝う千尋。料理人たちは「小人さん」とあだ名をつけて微笑ましく見守ります。「働かざる者食うべからず」の心で一生懸命働く姿は、誰もが癒されることでしょう。

厨房でお手伝いをする中、日本で暮らした記憶を持つ千尋は、甘みがない料理に疑問を持ちます。第2話「王弟殿下の小人さん」で異世界には砂糖が存在しないことに衝撃を受けますが、蜂蜜はあるとドラコに教えてもらう。さらに、蜂蜜は凶暴な獣や魔物がいる森にあり、採取が困難なため王族でも滅多に口にできない貴重な代物だと。

甘いものを作るため、蜂蜜と木苺などの果物を探しに行きたい千尋。ドラゴに禁止された森へどうにか行けないかと考え込んでいると、庭で偶然出会った王族の青年ロメールが騎士団を率いて森へ連れて行ってくれます。千尋の幼い容姿と大人びた返答のギャップ。そして、髪を必死にフードで隠す姿に興味を持ったロメール。千尋の存在に疑問を持ちつつも、深く事情を聞かずにいてくれます。第1話でドラゴと“家の外ではフードで髪を隠す”と約束した千尋がフードを被り必死に正体を隠す姿はとても愛らしく、心が癒されます

森で木苺の苗を手に入れた千尋は、奇跡的に蜂蜜も手に入れます。森の主である「蜂」のテリトリーに、知らぬうちに足を踏み入れてしまった千尋と騎士団。もし戦えば、報復として国中が襲われる……。そう考え、千尋と国を守るために自身を危険にさらして状況の解決に挑むロメール。王族らしい誇りある彼の行動は、非常にカッコよく胸が熱くなります。蜂蜜を手に入れた経緯は、ぜひ本作を読んで楽しんでほしいです。紳士で聡明、さらに勇敢でもある筆者の推し・ロメールが大活躍します。

美味しい食べ物は“心の栄養”

読んでいる最中に食べ物が食べたくなるほど、丁寧で鮮やかに描かれた料理も本作の見所です。第3話「ドラゴの娘の小人さん」で千尋は、手に入れた甘味でスイーツを作ります。「茹でたメレンゲのリンゴソースがけ」「ジャムクッキー」などオシャレなスイーツを作った千尋は、前世でもスイーツを自作していたのではないかと考察しています。

そして、ドラゴに手伝ってもらいながら小さな体で一生懸命作る千尋がかわいい……!

異世界で日常を過ごす本作は食事の描写が多く、「食べること」の重要性が強調されています。異世界ならではの食材の調達方法。限られた食材の中で美味しいものを作る方法。美味しいものを食べることで得られる、“心の栄養”の大切さが描かれています。

千尋のかわいい姿にただ癒されるだけでなく、人の優しさや食の大切さを教えてくれる本作。日常×異世界×グルメがもたらす感動と癒しを、numan読者の皆さんもぜひ体感してみてください。

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羽賀こはく

横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。

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