舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

金子隼也&廣瀬智紀「『僕って隼也の恋人かな?』という気持ちになっています」舞台『魔道祖師』邂逅編インタビュー

「稽古の帰り道、隼也が必ず改札まで送ってくれるんです。振り向くとずっと笑顔で両手を振ってくれていて、『僕って隼也の恋人かな?』という気持ちになっています」

こんなキュンなエピソードが飛び出したのは、舞台『魔道祖師』邂逅編で魏無羨(ウェイ・ウーシエン)役を演じる金子隼也さんと、藍忘機(ラン・ワンジー)役を演じる廣瀬智紀さんのインタビュー。

一方の金子さんも、
「稽古で僕の服を引っ張るシーンが終わる度に、毎回丁寧に丁寧に、引っ張ったところを直してくださるんです」
と、負けじと稽古中のキュンとしたエピソードを教えてくれました。

舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

2025年3・4月に上演される舞台『魔道祖師』邂逅編は、中国発の世界的メガヒットBLファンタジー小説を原作とした初の舞台化作品。これまで実写ドラマやアニメなど、メディアミックス展開された作品は次々と大ヒットしてきました。今回は世界初の試みとなる『魔道祖師』の舞台化ということで、多くのファンが期待を寄せています。

作品の要はやはりメインキャラクターである魏無羨と藍忘機の関係性。ということで、今回初共演となるおふたりの仲良し度を探るべく、稽古でのエピソードを中心にお互いの推しポイントや微笑ましい稽古場エピソードをたっぷり語ってもらいました。

記事後半では、おふたりの意外な一面に迫る一問一答も。「え、そうなの!?」「意外!」と、お互いを深く知り合っていく様子をお楽しみください!

初共演の二人が築く関係値「廣瀬さんはずっと優しい」「隼也はとにかく可愛い」

――今回初共演ということで、まずはお互いの印象について教えてください。

金子隼也(以下、金子):
仏様! 本当に優しいんですよ。最初会ったときの印象のまま、今も変わらず優しく隣にいてくださるので、いつもホッとしています。

廣瀬智紀(以下、廣瀬):
隼也はずっと可愛いです。魏無羨役が隼也と知ってからSNS等も拝見させてもらい、「どんな人なのかな?」と想像していたのですが、一緒に稽古をやってみると本当にずっと可愛いんですよ。

金子:
本当ですか!? 嬉しい~(ニコニコ)。

廣瀬:
自分が年上ということもあると思うのですが、一生懸命に稽古に取り組む姿勢や、ときには苦戦している姿さえも可愛いですし、普段からニコッとしているところも可愛いですし……稽古場では席が隣なんですが、時々「ふぅ」と一呼吸置いていることがあって。もうそれだけでも可愛くて(笑)。彼としては、すごく大変な役なので苦労している部分もあるかと思うのですが、僕はとにかく「可愛いなぁ」と思いながら見守らせてもらっています。

金子:
魏無羨はずっと喋っているので、一度シーンが終わると「よし、ここは終わったぞ、じゃあ次」という感じで、たしかに一息ついていますね(笑)。

――金子さんは初舞台となります。隣に廣瀬さんがいてくださるというのはやはり心強いですか?

金子:
本当にその通りですね。パンク状態になってしまって、僕のミスで「もう一度」ということもあるんですが、そういうときも廣瀬さんは本当に優しいんです。「いいよいいよ」と笑顔でアドバイスもくださって。廣瀬さんがいてくださるおかげで、不安材料がひとつずつ消えていくのを感じています。

――これまでにもらったアドバイスで、とくに心に残っていることはなんでしょうか。

金子:
稽古では、僕がセリフで頭がいっぱいになって、殺陣を忘れてしまったことがあって。そういうときは、廣瀬さんがさりげなく「この後、一緒に殺陣やろう」と殺陣稽古に誘ってくれるんです。自分が忘れてしまっている分、僕からは言い出しにくかったので、優しく誘ってくださって本当に嬉しかったです。

廣瀬:
僕としても、お互いに声を掛け合ってやれたらいいなと思っていたので、タイミングを見計らっていたんです。稽古序盤は覚えることも膨大なので、まずはそっちに力を割いてもらって、慣れてきたら一緒にやりたいなと思っていて。僕自身も立ち回りの確認をしたかったので、そのときはちょうどいいタイミングだなと思って声をかけさせてもらいました。

――すごくいい雰囲気で稽古が進んでいるんですね。金子さんは初めての舞台のお仕事ということで、意外だったことやカルチャーショックを感じることはありましたか。

金子:
最初にものすごく苦労したのは、まだセットのない稽古場での動きですね。稽古場にはミニチュアの舞台美術装置が置いてあるのですが、実際の稽古場はセットの位置がテープで印されているだけで。「あ、ここが階段なんだ」とか、「これってどこから入るんだろう?」とか。最初は通れないところを出入りしようとしていました(笑)。

あとは、カメラを通さないお芝居というのも、難しいなと思いましたね。カメラが追ってくれていれば、こちらがどう動いても映してくださいますけど、舞台上だとそうはいかないじゃないですか。この角度で右腕を上げると、こっちの客席には表情が見えなくなっちゃう、とか。その立居振舞いを学んでいく過程は、新しい発見だなと日々感じています。

舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

「まるで恋人みたい」稽古場で起きた胸キュンエピソード

――日々一緒に稽古をしていて、お互いの芝居の「素敵だな」と感じる推しポイントはどんなところですか。

金子:
凛とした姿勢も、セリフひとつひとつの重みも、本当に藍忘機なんですよ。芝居中に思わず緊張してしまうくらい藍忘機そのものなので、普段の優しい廣瀬さんを知っているからこそ、そのギャップが推せるなと思っています。

本当に優しいんですよ! 今日の取材で絶対言おうと決めていたエピソードがあるんですが、話していいですか!?

――ぜひぜひ、お願いします!

金子:
魏無羨が藍忘機に首根っこを掴まれて引っ張られるシーンがあるんですね。稽古中は私服なので、服の首元を後ろに引っ張られる形になるのですが、廣瀬さんはそのシーンが終わる度に、毎回丁寧に丁寧に、引っ張ったところを直してくださるんですよ! それが僕としてはすっごく嬉しいし、毎回キュンとしています!

廣瀬:
え、そんなことしてる?

金子:
毎回してくれています!

廣瀬:
……完全に無意識ですね(笑)。たぶん、「お洋服が伸びちゃうといけないな」と思ってやっているんだと思います。

金子:
そうだったんですね。でも毎回すごく嬉しいので、言えてよかったです。

舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

――廣瀬さんから見た、金子さんのお芝居の推しポイントも教えてください。

廣瀬:
隼也が持っている軽やかさですかね。それは魏無羨にも通じる部分なので、稽古で彼を見ていると、魏無羨として早く舞台上を縦横無尽に駆け回ってほしいなという気持ちになります。隼也の表現したいところに向けて突き進んでいく姿に、いつもワクワクさせてもらっていますし、そういうところが素敵だなと思っています。

――先ほども服を直してくれる廣瀬さんのエピソードがありましたが、ほかに稽古場で印象的だった出来事はありますか。

廣瀬:
稽古終わりのタイミングが重なったときは隼也と一緒に帰るのですが、必ず改札まで送ってくれるんです。改札を通ったあとも、振り向くと「ありがとうございました!」って笑顔で両手を振ってくれていて、「僕って隼也の恋人かな?」という気持ちになっています(笑)。

金子:
たしかに毎回お見送りしていますね(笑)。先輩への礼儀としてという部分もあるのですが、一緒に稽古できた日はたくさん一緒にいたいなと。稽古するシーンによっては、廣瀬さんに会えない日もあるんですよ。そういう日はすごく寂しくて……。

廣瀬:
僕が2日間くらい、稽古場にいない日があって。そうしたら、次に行ったときに隼也が「やっと来た~!」って、駆け寄って手をギュッと取って喜んでくれたんですよ。そんなに待っていてくれたんだと嬉しかったですし、そんなことされたら、もうただただ可愛いですよね(笑)。

舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

これまでのメディアミックス作品と肩を並べられるような作品にしたい

――役作りについてお伺いします。ご自身の演じるキャラクターを、現時点ではどう捉えて稽古に臨まれていますか。

金子:
魏無羨は自由奔放で周りをかき乱すシーンが多い人物ですが、その中にも自分の核となるものをしっかりと持っている。そういうギャップが感じられるところに彼の魅力が詰まっていると思ったので、自由に見えて意外と計算しているところを、動きなどで丁寧に表現できるよう、稽古の中で努力しているところです。

廣瀬:
藍忘機は品行方正で礼儀や掟を重んじている人間なので、そういった真面目な部分をまずはしっかり見せていきたいなと。そこから、魏無羨と出会うことで、普段は隠れている新たな一面が出てくるので、藍忘機の奥にある魅力を引き出していきたいと思っています。

藍忘機に関しては、自分から表現するというよりかは、魏無羨がかき乱すところに巻き込まれていって、そこでどういう感情を抱くのか、というところが大事だなと。寡黙で言葉数が少ない人物だからこそ、舞台ならではの表現として、動きや言葉ひとつの重みといった部分で、繊細にお見せできたらいいなと思っています。

――おふたりのシーンでの見どころや、お客様に注目してほしいポイントを教えてください。

金子:
春画のシーンが僕は大好きで! 魏無羨はすごく魏無羨らしいし、逆に藍忘機に関しては新しい一面が垣間見えるシーンなので、ここから稽古でより詰めていって良いシーンにしたいですね。

廣瀬:
サブタイトルに「邂逅編」とあるように、二人の出会いに重きが置かれているので、過去での出会い、そして現代での意外な形での再会という部分で、その対比に注目してもらえたらと思います。

あとは舞台ならではの表現も楽しんでもらいたいですね。剣を使っての立ち回りのシーンもあるので、舞台らしいダイナミックな表現にも注目してもらえたら嬉しいです。

――魏無羨と藍忘機の出会いを描く「邂逅編」は、東京公演は3月22日から、京都公演は4月4日からの上演。まさに出会いの季節にぴったりな作品になりそうですね。

金子:
様々な形でメディアミックス展開されている作品の、初の舞台化となります。『魔道祖師』の世界に触れたことがある方にも、舞台を機に初めて触れるという方にも楽しんでいただけるよう、稽古を重ねていきたいと思っています。ぜひ舞台ならではの表現を楽しみに、劇場にいらしていただけたら嬉しいです。

廣瀬:
原作の持つ魅力的な世界観をしっかり舞台に落とし込んで、舞台『魔道祖師』として、これまでのメディアミックス作品と肩を並べられるような作品にしていきたいです。カンパニー一同、リスペクトを持って作品に向き合ってまいりますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

舞台『魔道祖師』邂逅編 金子隼也&廣瀬智紀インタビュー

おふたりを深堀り!一問一答

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双海 しお

エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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