とみたまゆり
ライター。ブックレビューサイトで書籍・漫画のレビュー等を執筆。好きな漫画がだいたい地獄展開になっていくのが悩み。画像は私が考えたかっこいい最強の剣。
あまりに見事だったので、プロのパフォーマーかと思ったのですが、周りの人は目もくれずに通り過ぎていく。
私は「すごいパフォーマンスをしているのに、どうして誰も見ていないんだろう?」と不思議に思いながら通り過ぎたのですが、今思うと、その“黒い人”は私にだけ見えていたのかもしれません。
都内屈指の心霊スポットと呼ばれる芸能事務所兼稽古場の「ヨコザワ・プロダクション」に行ったときには、さまざまな不思議体験をしました。ヨコザワ・プロダクションでは、モノがなくなったり、反対になかったはずのモノが現れたり、という現象がよく起きるんです。
では、なくなったモノはどこに行くのか。もしかしたら、別空間に移動しているのかもしれません。モノがテレポートするためには大きなエネルギーが必要なので、私たちが住む世界とは別の世界ほどのエネルギーがあれば、モノの転移も可能なのでは? なんて考えています。
――起きた現象をさまざまな角度から分析していくんですね。角さんの著書(『オカルト異世界話』竹書房)でも、ヨコザワ・プロダクションのエピソードは印象的でした。どんな場所なんですか?
角:ヨコザワ・プロダクションは、古びた雑居ビルに入っています。新宿の歌舞伎町にあれば違和感ない外観ですが、三軒茶屋のおしゃれなエリアにあるので、異様な印象を受けるのはたしかですね。飲食店も入っているビルなので、機会があれば行ってみてください。
――三軒茶屋に行く機会があれば、行ってみます……(笑)。ちなみに、角さんのように怖い体験をしたときにできる対処法はありますか?
角:自分の身に起きた出来事から気をそらすと、恐怖心から解放されやすいです。一時期、ネットでは“エロいことを考えると怖くなくなる”という説が囁かれてましたが、一理あると思います。最近は家庭用のVR専用ゲーム機もあるので、VRの世界に没入するという逃げ道もありますね。
なにか“悪いもの”に憑かれたと感じたら、両肩にライターの火を灯したり、誰かに思いっきり肩甲骨を叩いてもらうのもベーシックな除霊方法です。ほかにも、日本酒と塩をぬるま湯に混ぜて頭からかける方法もありますね。より手軽なのは除菌・消臭作用のある「ファブリーズ」による除霊。霊は汚れや雑菌が溜まる場所を好むので、ファブリーズで空間を清潔に保つのもアリです。
――素人でもできる除霊法があるんですね。角さんも自分に憑いた悪いものを除霊するんですか?
角:私自身は、よほど危険な相手でない限り“憑いたまま”にしています。仕事柄、取り憑かれてからの経過を観察したいので、基本的には除霊しません。ただ、自分自身が納得してそうしているつもりなのですが、霊に“そう思わされている”可能性もあるので、危うさはあります。
ある女性が悪霊に取り憑かれてしまい、彼女の家族が除霊ができる住職のお寺に連れて行こうとしたところ、その女性は「除霊したくない」と断固拒否したそうです。お寺に向かう道中も、車のドアを開けて車外に飛び出そうとしたとか……。私もそうならないように、気をつけています。
――「numan」はアニメや声優、舞台などエンタメ業界で推し活する人を応援するサイトなのですが、エンタメ業界の怖い話はありますか?
角:たくさんありますよ! 作品名は伏せますが、心霊スポットに行く映像企画や、短編のホラー映画の撮影現場で制作スタッフが亡くなるケースはよく耳にします。撮影中にスタッフが謎の奇病にかかって亡くなったことを公表せずに公開された映画や、撮影後にカメラマンが怪死してしまった作品など、挙げるとキリがないです。
ホラーコンテンツを作っていると、霊たちは「自分たちの話をしている」と思って集まってきます。そのため、ホラー映画を作っている時点で心霊現象が起きやすい環境なのですが、そこで無礼な態度を取ったり、お礼を言わずに帰ったりすると霊を怒らせてしまう。とくに心霊スポットでの撮影に関しては、私たちが彼らの家に土足で入る行為なので、慎重に進める必要があります。
もうひとつ怖いのが、監督の指示で動いたスタッフに悲劇が起きやすいこと。たとえば「この祠が邪魔だから移動して」と言われ、指示通りに行動したスタッフが亡くなってしまった、なんて話も聞きました。実行犯が狙われる傾向があるので、難しいかもしれませんが、嫌な予感がしたら拒否しましょう。
――飛んだとばっちりですね……。今回は、酷暑の夏にピッタリなオカルト話をお聞きできて楽しかったです。最後に、角さんが考える“オカルトの魅力”について教えてください。
角:オカルトの世界を知ると、既存のルールに囚われない視点や考え方を持つきっかけにもなります。自分の価値観が広がっていくのを感じられるのも魅力ですね。オカルトに対して「興味はあるけどちょっと怖い…」という読者の方には、天使や妖精、パワースポットなど、可愛くてキラキラした“陽のオカルト”がおすすめです。
「こんなことはありえない」と拒絶すれば、それで終わってしまいますが「こことは別の世界が存在するのかも」と考えると、その分だけ世界も広がるはずです。夏も終盤ですが、この機会にオカルトデビューするのも一興ですよ!
<執筆:とみたまゆり、企画・編集:三鷹むつみ>
■コミックエッセイ「オカルト異世界ばなし」
著者 グラハム子 作画、角由紀子 原作
出版社:竹書房
判型:A5
ページ数 144ページ
定価:1,320円(税込)
オカルト研究家の角由紀子が今注目する都市伝説・UFO・スピリチュアル話を『親に整形させられた私が母になる』のグラハム子が漫画化。
とみたまゆり
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